用語集

全576件の神経科学用語を収録しています。

筋トーン
筋トーン(きんトーン)とは、私たちが意識的に力を入れていない安静時にも、筋肉がわずかに保っている「張り」や「抵抗」のことです。これは、重力に逆らって姿勢を維持したり、急な動きに素早く反応したりするために、神経系が筋肉を常に準備させている状態です。筋トーンが異常に高すぎると硬直(こうちょく)に、低すぎると弛緩(しかん)につながり、神経系の異常を判断する重要な指標となります。 【図解】第17回講義ノート 図2:前角細胞への二重抑制メカニズム 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 運動
広背筋
広背筋(こうはいきん)は、人間の背中の下部から脇腹にかけて広がる、体の中で最も大きな筋肉の一つです。主に腕を体の内側や後方に引く、または回すといった動作(例:懸垂や水泳のストローク)をするときに重要な役割を果たします。この筋肉は、体幹と上肢をつなぐ主要な連結点であり、姿勢の維持や呼吸補助にも関わっています。 [神経系] 筋肉, 運動
皮質橋小脳路
皮質橋小脳路(CPCT)は、大脳皮質から橋核を経由し、小脳へと投射する主要な運動制御経路である。この経路は、随意運動の計画、協調、および学習に不可欠であり、特に複雑な運動や姿勢制御の洗練に関与する。損傷すると、運動失調(アタキシア)を引き起こす。 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム [神経系] 脳, 痛み, 運動, 臨床検査
レンズ核線条体動脈
中大脳動脈の枝で、脳卒中動脈とも呼ばれる。非常に脆弱で、高血圧等による破綻が錐体路への致命的なダメージを招く。脳卒中の最も一般的な原因の一つ。 [神経解剖学] 脳, 脊髄, 運動, 自律神経, 血管・循環
情報の交通整理
情報の交通整理とは、中枢神経系が感覚入力(侵害受容、触覚、固有受容など)を適切に選別・統合し、出力(運動指令や疼痛知覚)を調整する機能である。特に慢性疼痛においては、この選別・統合機能(ゲートコントロールや下降性疼痛抑制系など)の破綻が、痛みの増幅や持続に深く関与する。臨床的には、この破綻した情報処理能力を再構築するアプローチが重要となる。 [臨床神経学] 痛み, 感覚, 運動
遠心性コピー
遠心性コピー(えんしんせいコピー)とは、運動指令が大脳皮質(だいのうひしつ)の運動野から筋肉へ送られる際に、その指令の「複製(コピー)」が感覚を処理する脳の領域にも同時に送られる現象です。このコピーは、自分の運動によって生じる感覚(例えば、腕を動かしたときの皮膚の感覚など)を予測し、その予測と実際の感覚を比較するために使われます。これにより、脳は外部からの刺激による感覚と、自分の動きによる感覚を区別し、運動の正確な調整や、知覚の安定性を保つ役割を果たしています。 【図解】第12回講義ノート 図2:遠心性コピー(エフェレンスコピー)の仕組み [神経系] 筋肉, 脳, 感覚, 運動
下降性調整経路
下降性調整経路(かこうせい ちょうせい けいろ)は、脳のより高次な中枢(例:大脳皮質(だいのうひしつ)や脳幹(のうかん))から脊髄(せきずい)へと情報を送る神経のルートです。この経路の主な役割は、運動の開始や調整、姿勢の制御、さらには痛みの感覚の強さを「調整(ちょうせい)」することです。特に、痛みを和らげる(鎮痛)作用を持つ神経伝達物質を放出し、痛みの信号が脳に伝わるのを抑制する重要な働きを担っています。 【図解】第17回講義ノート 図1:T6を境界とした屈筋抑制のメカニズム 【図解】第17回講義ノート 図2:前角細胞への二重抑制メカニズム 【図解】第21回講義ノート 図1:下降性調整経路の全体像 【図解】第21回講義ノート 図2:1Aと1Bの使い分け [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 運動
上位中枢
上位中枢(じょういちゅうすう)とは、脳や脊髄(せきずい)といった中枢神経系(ちゅうすうしんけいけい)のなかで、特に高度な情報処理や意思決定、複雑な運動の計画などを司る領域のことです。具体的には、大脳皮質(だいのうひしつ)や小脳(しょうのう)などがこれにあたります。これらは、反射などの基本的な機能を担う下位中枢(かいちゅうすう)を統合・制御し、人間らしい複雑な行動や思考を実現する最高司令部のような役割を果たしています。 【図解】第19回講義ノート 図2:単シナプス反射の三層構造 [神経系] 脳, 脊髄, 運動, 臨床検査
二重抑制
二重抑制(にじゅうよくせい)とは、神経回路(しんけいかいろ)において、ある神経細胞(しんけいさいぼう)が別の神経細胞を「抑制」し、その抑制された細胞がさらに次の細胞を「抑制」する、という二段階の制御メカニズムのことです。結果として、最終的な細胞の活動は「促進」されます。これは、ブレーキを二度踏むことで、間接的にアクセルを踏むような効果を生み出す複雑な情報処理の仕組みで、運動の協調性や感覚情報のフィルタリングなど、脳の精密な働きに不可欠な制御方法です。 【図解】第17回講義ノート 図2:前角細胞への二重抑制メカニズム [神経系] 脊髄, 感覚, 運動
介在ニューロン
介在ニューロン(かいざいニューロン)は、感覚ニューロンと運動ニューロンの間に位置し、情報を中継・統合する役割を担う神経細胞です。脳や脊髄(せきずい)といった中枢神経系(ちゅうすうしんけいけい)の大部分を占めています。単純な反射だけでなく、複雑な思考や運動の調整において、情報の処理や回路の制御を行う、非常に重要な「つなぎ役」を果たしています。 【図解】第17回講義ノート 図2:前角細胞への二重抑制メカニズム [神経系] 脊髄, 感覚, 運動, 臨床検査
随意運動
随意運動(ずいいうんどう)とは、「自分の意思で始める、目的を持った動き」のことです。例えば、手を伸ばしてコップを取る、歩き出すといった動作がこれにあたります。脳の大脳皮質(だいのうひしつ)にある運動野(うんどうや)から指令が出され、脊髄(せきずい)を通って筋肉に伝わることで実現します。この運動は、私たちが日常生活を送る上で不可欠な、最も能動的な動作の基盤となっています。 【図解】第3回講義ノート 図2:刺激から動きへの流れ(5ステップ) [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 運動
橋網様体脊髄路
橋網様体脊髄路(きょうもうようたいせきずいろ)は、脳幹(のうかん)の橋(きょう)にある網様体(もうようたい)から脊髄(せきずい)へと下行する神経の通り道です。この経路の主な役割は、体の姿勢やバランスを保つことです。特に、抗重力筋(こうじゅうりょくきん)と呼ばれる重力に逆らって体を支える筋肉の活動を促進し、私たちが意識せずとも安定して立ったり座ったりできるように協調的な運動を調整しています。 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 運動
対光反射
対光反射(たいこうはんしゃ)は、目に入ってくる光の量に応じて瞳孔(どうこう)の大きさが自動的に変わる反射です。明るい場所では瞳孔が小さくなり(縮瞳)、目に入る光を制限して網膜(もうまく)を保護し、暗い場所では瞳孔が大きくなり(散瞳)、より多くの光を取り込んで視覚を助けます。この反射は、脳幹(のうかん)と呼ばれる生命維持に重要な部分の機能が正常であるかを評価するための重要な指標として、神経学的検査で用いられます。 [神経系] 脳, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 臨床検査
病的反射
病的反射(びょうてきはんしゃ)とは、通常は健康な大人では見られない、病的な状態の時にだけ現れる反射のことです。特に、大脳皮質(だいのうひしつ)など上位の中枢神経(ちゅうすうしんけい)に障害がある場合に、その抑制が外れて出現することが多いです。代表的なものに、足の裏を刺激すると親指が反り上がる「バビンスキー反射」などがあり、神経疾患の診断において重要な手がかりとなります。 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 [神経系] 脳, 脊髄, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
バビンスキー反射
バビンスキー反射(はんしゃ)は、足の裏の外側をかかとからつま先に向かってこすった際に起こる反射です。健康な成人では、足の指が内側に曲がる(屈曲(くっきょく))のが正常な反応です。しかし、この反射が陽性(ようせい)の場合、親指が上向きに反り、他の指が開く(開扇(かいせん))動きが見られます。この陽性反応は、大脳皮質(だいのうひしつ)から脊髄(せきずい)へ指令を送る錐体路(すいたいろ)と呼ばれる運動神経の経路に損傷があることを示す重要な兆候であり、中枢神経系の異常を判断するのに役立ちます。乳幼児期には正常な反射として見られますが、歩行が可能になる頃には消失します。 [神経系] 関節, 脳, 脊髄, 運動, 臨床検査
ホフマン反射
ホフマン反射(ホフマンはんしゃ)は、指の爪(つめ)や末節骨(まっせつこつ)を軽く弾いたときに、親指の屈曲(くっきょく)と他の指のわずかな外転(がいてん)が起こる反射です。これは、錐体路(すいたいろ)と呼ばれる運動を司る神経経路に異常がないかを調べるために用いられる、病的反射(びょうてきはんしゃ)の一つです。健康な人には通常見られず、もし出現した場合は、脳や脊髄(せきずい)の運動系に障害がある可能性を示唆(しさ)する重要なサインとなります。 [神経系] 関節, 脊髄, 末梢神経, 運動, 眼・視覚, 臨床検査
腹壁反射
腹壁反射(ふくへきはんしゃ)は、お腹の皮膚を軽くこすったときに、刺激された側の腹筋がピクッと収縮する反射です。これは、皮膚の感覚が脊髄(せきずい)を通り、運動神経に伝わって起こる、比較的単純な神経の経路(反射弓)で確認されます。この反射の有無や強さを調べることで、脊髄や大脳皮質(だいのうひしつ)から脊髄への神経伝達経路に異常がないかを確認する、重要な神経学的検査の一つです。 [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 感覚, 運動, 臨床検査
RVM (あーるぶいえむ)
吻側延髄腹側内側部(Rostral Ventromedial Medulla)の略称。PAGからの鎮痛指令を脊髄後角へ伝達するセロトニン系の中継核。温熱的侵害刺激(熱感・冷感・化学火傷)の下行性抑制を担い、ソマトスタチンの放出を介在ニューロン経由でシャットアウトする。→吻側延髄腹側内側部 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 内分泌
Ia線維 (アイエーせんい)
「Ia線維」の詳細な定義は準備中です。
IML (あいえむえる) Intermediolateral nucleus
中間外側核。脊髄の側角に位置し、交感神経節前線維の細胞体が存在する。大脳皮質からの下降性抑制を受けており、この抑制が減弱すると交感神経が過剰に活動する。 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 自律神経
IML (あいえむえる) Intermediolateral Cell Column
脊髄の中間外側核。交感神経節前ニューロンの細胞体が存在し、内臓や血管への交感神経出力を調整する。大脳皮質からの加工性抑制(ブレーキ)を受けることで、自律神経のバランスが維持される。 [脊髄] 内臓, 脳, 脊髄, 自律神経, 血管・循環
IML (アイエムエル) Intermediolateral Cell Column
脊髄側角の中間外側核。日中に光刺激が入ると視床下部を経て興奮し、交感神経性投射によってメラトニン合成酵素(NAT)に強力なブレーキ(抑制)をかける。メラトニン生成の神経回路における重要な制御点。 [神経系] 脳, 脊髄, 自律神経, 内分泌
Ib線維 (アイビーせんい)
「Ib線維」の詳細な定義は準備中です。
亜急性 (あきゅうせい) Subacute
急性期(発症後2〜3日)と慢性期(6ヶ月以上)の中間段階(3日〜6ヶ月)。この時期に神経の感作が進行し、適切な治療介入がなければ慢性疼痛へ移行するリスクが高まる。 [臨床神経学] 痛み, 治療・リハビリ
アクチン (あくちん) Actin
筋肉の収縮に関与する細いフィラメント状のタンパク質。ミオシンと結合して筋収縮を引き起こし、ATPのエネルギーを使って解離することで筋弛緩が起こる。 [生化学] 筋肉, 痛み, 臨床検査
アドレナリン (あどれなりん) Adrenaline
副腎髄質から分泌されるホルモンで、交感神経系の活性化に関与する。夜間低血糖時に脳が危機を感知して放出し、交感神経を緊急発動させることで覚醒や心拍数増加を引き起こす。 [内分泌] 内臓, 自律神経, 内分泌
アブミ骨筋 (あぶみこつきん)
顔面神経(CN VII)が支配する筋肉で、アブミ骨を蝸牛の窓から引き離し、内耳への振動入力を物理的に制限する。この反射の消失は聴覚過敏を招く。 【図解】第30回講義ノート 図2:三叉・顔面神経による聴覚調整機構 [神経解剖学] 筋肉, 末梢神経, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
アミラーゼ (あみらーぜ)
デンプンを分解する消化酵素。耳下腺から分泌され、炭水化物の消化を促進する。 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 [生理学] 運動, 臨床検査
アラキドン酸カスケード (あらきどんさんかすけーど) Arachidonic acid cascade
オメガ6系脂肪酸であるアラキドン酸が過剰になると引き起こされる連続的な炎症反応。ホスホリパーゼA2によりアラキドン酸が遊離し、プロスタグランジン・ロイコトリエンなどの炎症性メディエーターが産生され、痛み・腫れ・発赤を誘発する。オメガ3系(DHA・EPA)との摂取バランスが重要。 [生化学] 痛み
α-γ連関 (アルファ・ガンマれんかん)
アルファ運動ニューロンとガンマ運動ニューロンが協調して働く仕組み。筋肉が収縮する際、ガンマ運動ニューロンが筋紡錘の両端を収縮させることで、センサー部の感度(ゲイン)を維持し、筋肉の長さ変化を正確に検出できる状態を作る。 【図解】第20回講義ノート 図1:α-γ連関のメカニズム [神経生理学] 筋肉, 運動
α₂アドレナリン受容体 (あるふぁにじゅうあどれなりんじゅようき)
脊髄後角の一次侵害受容ニューロン末端に存在する抑制性受容体。DLPTルートから下行したノルアドレナリンがこの受容体に結合すると、substance Pの放出が強力に抑制され、機械的侵害刺激の脳への伝達がブロックされる。クロニジンなどのα₂作動薬が鎮痛薬として用いられる根拠となる受容体。 [神経系] 脊髄, 痛み, 内分泌
アロディニア (あろでぃにあ)
異痛症。通常は痛みを引き起こさない刺激(触れる、撫でるなど)で痛みを感じる状態。下降性調整経路のブレーキ機能が効かなくなることで生じる。 痛み
EW核 (いーだぶりゅーかく) Edinger-Westphal nucleus
エディンガー・ウエストファル核。中脳に位置し、副交感神経の中枢として瞳孔括約筋や毛様体筋を支配する。対光反射や近見調節を担い、副交感神経機能の指標となる。 [神経系] 筋肉, 脳, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 臨床検査
閾値 (いきち) Threshold
神経や受容器が反応を起こすために必要な最小刺激強度。閾値が高いほど反応しにくく(高閾値)、低いほど反応しやすい(低閾値)。炎症性メディエーターやストレスにより閾値が低下すると、通常では痛みを感じない刺激でも発火する「過敏化(感作)」が生じる。 [生理学] 痛み, 感覚, 情動・心理
医源性 (いげんせい)
医療行為や医療者の言動・態度・環境によって引き起こされる現象を指す形容詞。医源性プラシーボ(治療者との信頼関係・環境的条件付けによる鎮痛効果)と医源性ノセボ(不適切な説明や態度による痛みの増悪)の両面がある。 [臨床神経学] 痛み, 治療・リハビリ
異常感覚 (いじょうかんかく) Paresthesia
外的刺激なしに生じる異常な感覚。ピリピリ感、チクチク感、灼熱感などを含む。一般的に「しびれ」と表現されることが多い。 [神経学] 感覚
異常知覚 (いじょうちかく)
侵害受容器が低頻度で不適切に発火している状態。患者が「シビレ」と訴える症状の正体。 [感覚系] 痛み, 感覚
1A線維 (いちえーせんい)
筋紡錘からの情報を伝える太い有髄神経線維。深部固有感覚を担い、姿勢の把握に重要な役割を果たす。 [解剖学] 筋肉, 末梢神経, 感覚, 運動
位置覚 (いちかく)
目を閉じた状態でも、自分の体の各部位がどこにあるかを認識できる感覚。固有受容感覚の一種。 感覚
一次運動野 (いちじうんどうや)
大脳皮質の前頭葉に位置する運動の最終出力部位。随意運動の指令を発し、皮質脊髄路の起始部となる。 [神経解剖学] 脳, 脊髄, 運動
一次視覚野 (いちじしかくや) Primary Visual Cortex (Area 17, V1)
後頭葉の鳥距溝周囲に位置する視覚情報の最初の処理中枢(ブロードマン17野)。網膜からの視覚情報は視交差を経て視放線を通り、この領域に到達する。視野情報は脳内で元の視野と同じ位置関係で再構成される(網膜地図)。視野検査で右視野の欠損があれば左側の一次視覚野の機能低下を示唆する。 [神経系] 脳, 眼・視覚, 臨床検査
1B線維 (いちびーせんい)
腱器官からの情報を伝える太い有髄神経線維。深部固有感覚を担い、姿勢の把握に重要な役割を果たす。 [解剖学] 筋肉, 末梢神経, 感覚, 運動
イネートインテリジェンス (いねーといんてりじぇんす) Innate Intelligence
生体が先天的に備えている自律的な修復・調整機能の総称。カイロプラクティック哲学に由来する概念で、神経系を介した恒常性維持(ホメオスタシス)の能力を指す。手技療法においては、施術者が「治す」のではなく、このイネートインテリジェンスが最大限に発動するよう環境と機能のエラーを整えることが本質的な役割であるとされる。 [臨床医学] 治療・リハビリ
ウェーバー検査 (うぇーばーけんさ)
音叉を前額部や頭頂部の正中に当て、骨伝導により左右の聴覚を比較する検査。側頭骨を介して蝸牛を直接振動させ、中枢性・末梢性難聴の鑑別に用いられる。 【図解】第31回講義ノート 図1:ウェーバー・リンネ検査の実施方法 【図解】第31回講義ノート 図2:聴覚路の第7次ニューロン伝達と大脳皮質の左右性 [神経系] 脳, 聴覚・前庭, 臨床検査
ウェーバー試験 (ウェーバーしけん)
音叉を頭頂部に当てて振動を与え、音がどちらの耳に大きく響くかを確認する聴力検査。伝音性難聴では障害側に、感音性難聴では健康側に音が大きく響く。耳鳴りの局在診断に有用。 [臨床神経学] 臨床検査
Aα線維 (えーあるふぁせんい) A-alpha fiber
最も太い有髄神経線維(直径12〜20μm)。伝導速度は70〜120 m/sと最速。筋紡錘の一次終末(1A線維)や腱器官(1B線維)からの固有感覚情報を伝える。運動・姿勢制御の中核を担う。 [感覚系] 筋肉, 末梢神経, 感覚, 運動
Aγ線維 (えーがんませんい) A-gamma fiber
有髄神経線維(直径2〜8μm)。伝導速度15〜30 m/s。筋紡錘の錘内筋線維を支配し、筋紡錘の感度(感受性)を調整するγ運動ニューロンの軸索。1A線維と密接に連携し、筋の感度が適切に保たれないと身体は微細な変化を「脅威(痛み)」と誤認する。 [感覚系] 筋肉, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動
ATP (えーてぃーぴー) Adenosine triphosphate
アデノシン三リン酸。細胞のエネルギー通貨として機能する分子。筋肉の弛緩にはATPが必要であり、交感神経過緊張により血流が低下するとATP産生が阻害され、筋肉が硬化する。 [生化学] 筋肉, 痛み, 自律神経, 血管・循環
ATP (えーてぃーぴー) Adenosine Triphosphate
細胞のエネルギー通貨として機能する分子。神経細胞の活動、神経伝達物質の放出、イオンポンプの駆動、細胞の修復など、あらゆる生命活動にATPが必要である。酸素は神経のエネルギー(ATP)産生の燃料であり、燃料がなければ神経は自己修復すらままならず、痛みは長引く一方となる。横隔膜が十分に可動できず、慢性的な酸欠状態に陥ることは、神経機能の低下に直結する。 [生理学] 筋肉, 痛み
ATP産生 (えーてぃーぴーさんせい)
ミトコンドリアで行われるエネルギー生成過程。酸素を用いた好気的代謝により、グルコースからATP(アデノシン三リン酸)を合成する。神経系の膜電位維持ポンプはATPに依存しており、低気圧による酸素供給効率の低下はATP産生低下を招き、神経系の過敏状態や機能低下を引き起こす。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学、第3回講義ノート:ATP不足と膜電位の関係。 【図解】第5回講義ノート 図1:ATP不足が痛みを生むメカニズム 【図解】第5回講義ノート 図2:朝の痛みとデスクワーク不調の共通原因 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 [生理学] 痛み, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査