用語集 全117件の神経科学用語を収録しています。
カテゴリ トピックタグ 対光反射 対光反射(たいこうはんしゃ)は、目に入ってくる光の量に応じて瞳孔(どうこう)の大きさが自動的に変わる反射です。明るい場所では瞳孔が小さくなり(縮瞳)、目に入る光を制限して網膜(もうまく)を保護し、暗い場所では瞳孔が大きくなり(散瞳)、より多くの光を取り込んで視覚を助けます。この反射は、脳幹(のうかん)と呼ばれる生命維持に重要な部分の機能が正常であるかを評価するための重要な指標として、神経学的検査で用いられます。 [神経系] 脳, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 臨床検査 小脳 小脳(しょうのう)は、大脳(たいのう)の後ろ下部に位置する、小さな脳の構造です。主な役割は、運動の協調性(きょうちょうせい)とバランスの維持(いじ)です。私たちが滑らかに歩いたり、正確に物に手を伸ばしたりできるのは、小脳が運動の計画と実行の誤差を修正しているからです。平衡感覚(へいこうかんかく)や姿勢の制御にも不可欠で、障害されると運動失調(うんどうしっちょう)というふらつきが生じます。 【図解】第12回講義ノート 図1:運動制御の階層構造 【図解】第12回講義ノート 図2:遠心性コピー(エフェレンスコピー)の仕組み 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第16回講義ノート 図2:小脳と大脳基底核の協調:動と静のバランス 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第22回講義ノート 図1:縦橋線維と橋核の構造 【図解】第22回講義ノート 図2:中小脳脚の入出力関係 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭 自律神経 自律神経(じりつしんけい)は、私たちが意識しなくても、心臓の鼓動、呼吸、消化、体温調節など、生命維持に必要な体の働きを自動でコントロールしている神経システムです。アクセルの役割を果たす交感神経(こうかんしんけい)と、ブレーキの役割を果たす副交感神経(ふくこうかんしんけい)の2つから成り立っており、これらがバランスを取りながら体の内部環境を一定に保つ(ホメオスタシス)重要な役割を担っています。 【図解】第14回講義ノート 図1:感覚運動ループと自律神経の関係 【図解】第14回講義ノート 図2:T6(胸椎6番)を境界とした筋群の分布 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 [神経系] 筋肉, 内臓, 脊髄, 末梢神経, 感覚, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査 中脳 中脳(ちゅうのう)は、脳幹(のうかん)の一部で、間脳(かんのう)と橋(きょう)の間に位置する小さな構造です。主に視覚や聴覚の反射中枢として機能し、目や頭の動きを素早く調整して、音や光の刺激に反応する役割を担っています。また、運動の制御や意識の維持にも関わっており、重要な神経伝達経路がここを通っています。 【図解】第7回講義ノート 図1:下降性疼痛抑制系の構造 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査 脳幹 脳幹(のうかん)は、大脳(たいのう)と脊髄(せきずい)をつなぐ、脳の土台のような重要な部分です。主に中脳(ちゅうのう)、橋(きょう)、延髄(えんずい)の三つの部分から成り立っています。呼吸や心拍、血圧の調整、意識の維持など、生命維持に不可欠な基本的な機能をコントロールしています。また、顔や目、舌などを動かすための神経(脳神経)の通り道や出発点でもあります。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第31回講義ノート 図2:聴覚路の第7次ニューロン伝達と大脳皮質の左右性 [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 末梢神経, 運動, 自律神経, 血管・循環, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 嚥下・発声 橋 橋(きょう)は、脳幹(のうかん)の一部で、中脳(ちゅうのう)と延髄(えんずい)の間に位置しています。名前の通り、大脳(だいのう)と小脳(しょうのう)の間で情報をやり取りする「橋渡し」のような重要な役割を果たしています。特に、顔の感覚や運動、眼球の動き、そして睡眠や覚醒といった生命維持に不可欠な機能の調節に関わる神経核(しんけいかく)が多数含まれています。 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 【図解】第22回講義ノート 図1:縦橋線維と橋核の構造 【図解】第22回講義ノート 図2:中小脳脚の入出力関係 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム [神経系] 脳, 痛み, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭 感覚 感覚(かんかく)とは、私たちが外界や自分の体の状態を認識するための基本的な情報収集の仕組みです。目(視覚)、耳(聴覚)、鼻(嗅覚)、舌(味覚)による特殊な感覚と、皮膚や筋肉、関節などから得られる触覚、痛覚、温度覚、位置覚などの体性感覚(たいせいかんかく)に分けられます。これらの情報は神経を通じて脳に送られ、私たちが世界を理解し、適切に行動するための土台となります。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第7回講義ノート 図2:ロンベルグ検査と姿勢制御 【図解】第8回講義ノート 図1:感覚―運動ループの仕組み 【図解】第13回講義ノート 図1:急性痛と慢性痛の違い 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 【図解】第14回講義ノート 図1:感覚運動ループと自律神経の関係 【図解】第14回講義ノート 図2:T6(胸椎6番)を境界とした筋群の分布 【図解】第15回講義ノート 図1:しびれの二つのタイプ:知覚鈍麻と知覚異常 【図解】第15回講義ノート 図2:感覚検査における情報処理の滞り 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第16回講義ノート 図2:小脳と大脳基底核の協調:動と静のバランス 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第21回講義ノート 図1:下降性調整経路の全体像 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経系] 筋肉, 関節, 脳, 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査 感覚入力 感覚入力(かんかくにゅうりょく)とは、私たちの体が外界や体内から情報を受け取るプロセスのことです。目、耳、鼻、舌、皮膚などの感覚受容器(かんかくじゅようき)が光、音、におい、味、触覚、温度などの刺激を電気信号に変換し、神経(しんけい)を介して脳や脊髄(せきずい)に送られます。この情報が処理されることで、私たちは周囲の状況を認識し、適切に行動することができます。 【図解】第8回講義ノート 図1:感覚―運動ループの仕組み 【図解】第14回講義ノート 図1:感覚運動ループと自律神経の関係 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 [神経系] 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 嚥下・発声, 臨床検査 後大脳動脈 後頭葉の視覚野(エリア17, 18, 19)を支配する脳血管。視力に問題がないのに「見えづらい」と訴える場合、PCA領域の血流低下による皮質の画像化エラーを疑う必要がある。 [神経解剖学] 脳, 血管・循環, 眼・視覚, 臨床検査 ロンベルグ試験 ロンベルグ試験(しけん)は、患者(かんじゃ)さんに目を閉じた状態で立ってもらい、体の揺れを観察(かんさつ)する神経学的(しんけいがくてき)な検査(けんさ)です。主に、体の平衡感覚(へいこうかんかく)を保つために重要な、脊髄(せきずい)を通る深部感覚(しんぶかんかく)(位置や動きを感じる感覚)の障害(しょうがい)がないかを調べます。目が開いている状態では視覚(しかく)で補(おぎな)えますが、目を閉じて揺れが大きくなる場合は、深部感覚の異常(いじょう)が疑(うたが)われます。 [神経系] 脊髄, 感覚, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査 中大脳動脈 大脳外側面の広範囲を支配する最大の脳血管。言語野(ブローカ・ウェルニッケ)や前頭眼野を含む。その枝であるレンズ核線条体動脈は脆弱で、高血圧による破綻が錐体路への致命的なダメージを招く。 [神経解剖学] 脳, 脊髄, 運動, 自律神経, 血管・循環, 眼・視覚 文字覚 文字覚(もじかく)は、文字を見るだけで、その文字が持つ意味や音を瞬時に理解できる、人間の高度な視覚認知機能の一つです。脳の側頭葉(そくとうよう)にある「視覚的単語形式領域(しかくてきたんごけいしきりょういき)」(Visual Word Form Area: VWFA)という特定の領域が、この処理の中心的な役割を果たしています。この領域は、文字の形を抽象的な情報として認識し、言語野(げんごや)へと橋渡しすることで、流暢な読書を可能にしています。 [神経系] 脳, 眼・視覚 ホフマン反射 ホフマン反射(ホフマンはんしゃ)は、指の爪(つめ)や末節骨(まっせつこつ)を軽く弾いたときに、親指の屈曲(くっきょく)と他の指のわずかな外転(がいてん)が起こる反射です。これは、錐体路(すいたいろ)と呼ばれる運動を司る神経経路に異常がないかを調べるために用いられる、病的反射(びょうてきはんしゃ)の一つです。健康な人には通常見られず、もし出現した場合は、脳や脊髄(せきずい)の運動系に障害がある可能性を示唆(しさ)する重要なサインとなります。 [神経系] 関節, 脊髄, 末梢神経, 運動, 眼・視覚, 臨床検査 キネマティクス キネマティクス(Kinematics)は、運動学の一部門で、物体がどのように動くかを、その動きを引き起こす力(原因)を考慮せずに記述する学問分野です。具体的には、手足や眼球などの身体部位の「位置」「速度」「加速度」といった運動の幾何学的側面を数学的に分析し、動きの軌跡(きせき)を詳細に把握します。神経学においては、脳がどのように運動を計画・制御しているかを理解する上で、実際の動きを定量的に評価するための基礎となります。 [神経系] 運動, 眼・視覚 ATP ATP(アデノシン三リン酸)は、私たちの体、特に脳の細胞が活動するための「エネルギー通貨」のようなものです。細胞が思考したり、信号を伝えたり、物質を運んだりする際に必要なエネルギーを瞬時に供給します。ATPが分解されるときにエネルギーが放出され、これにより神経細胞(ニューロン)が情報を正確にやり取りできます。これは、生命活動の根幹を支える非常に重要な分子です。 【図解】第4回講義ノート 図1:神経細胞のエネルギーシステム 【図解】第5回講義ノート 図1:ATP不足が痛みを生むメカニズム 【図解】第5回講義ノート 図2:朝の痛みとデスクワーク不調の共通原因 【図解】第26回講義ノート 図2:眼球の回転軸とATP枯渇のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第30回講義ノート 図1:聴覚伝達路の多段階構造(第7次ニューロンまで) [神経系] 痛み, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査 交感神経 交感神経(こうかんしんけい)は、自律神経系(じりつしんけいけい)の一部で、主に身体を「闘争か逃走(fight-or-flight)」の状態に準備させる役割を担っています。ストレスや危険を感じた際に活性化し、心拍数や血圧を上げ、瞳孔(どうこう)を広げ、筋肉への血流を増やすなど、緊急事態に対応するためのエネルギーを動員します。リラックス時や休息時に優位になる副交感神経(ふくこうかんしんけい)と対になって、身体のバランスを保っています。 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経系] 筋肉, 運動, 自律神経, 血管・循環, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 情動・心理, 臨床検査 上丘 上丘(じょうきゅう)は、中脳(ちゅうのう)の屋根部分にある小さな隆起(りゅうき)です。主に、視覚情報に基づいて、眼球や頭部を素早く動かす反射的な定位(ていい)運動を制御する役割を担っています。例えば、視野の端で急に動くものがあった際に、無意識にそちらへ視線や顔を向ける「注意の切り替え」の中心的な司令塔として機能しています。これは、私たちが周囲の環境に迅速に対応するために非常に重要な働きです。 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 [神経系] 脳, 脊髄, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査 EW核 (いーだぶりゅーかく) Edinger-Westphal nucleus エディンガー・ウエストファル核。中脳に位置し、副交感神経の中枢として瞳孔括約筋や毛様体筋を支配する。対光反射や近見調節を担い、副交感神経機能の指標となる。 [神経系] 筋肉, 脳, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 臨床検査 一次視覚野 (いちじしかくや) Primary Visual Cortex (Area 17, V1) 後頭葉の鳥距溝周囲に位置する視覚情報の最初の処理中枢(ブロードマン17野)。網膜からの視覚情報は視交差を経て視放線を通り、この領域に到達する。視野情報は脳内で元の視野と同じ位置関係で再構成される(網膜地図)。視野検査で右視野の欠損があれば左側の一次視覚野の機能低下を示唆する。 [神経系] 脳, 眼・視覚, 臨床検査 エディンガー・ウエストファール核 (えでぃんがー・うえすとふぁーるかく) 中脳に位置し、瞳孔の対光反射(縮瞳)を制御する副交感神経核。動眼神経(第III脳神経)の一部として機能し、光刺激に対する瞳孔の収縮反応を司る。 筋肉, 脳, 末梢神経, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 臨床検査 エディンガー・ウェストファル核 (えでぃんがー・うぇすとふぁるかく) 中脳にある動眼神経の副交感神経核。瞳孔括約筋と毛様体筋を支配し、対光反射と調節反射を制御する。 [神経解剖学] 筋肉, 脳, 末梢神経, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 臨床検査 遠近調節 (えんきんちょうせつ) Accommodation 視覚における焦点距離の調整機能。遠方視では交感神経支配により瞳孔が散大し水晶体が薄くなり、近位視では副交感神経支配により瞳孔が縮瞳し水晶体が厚くなる。意図的に自律神経を操作できる稀有な窓口である。 [感覚系] 感覚, 自律神経, 眼・視覚 OPKテープ (おーぴーけーてーぷ) Optokinetic Tape 視運動性眼振を意図的に誘発させるための臨床検査ツール。縞模様のテープを流して眼球運動を観察する。パースートが維持できずにサッケードによる補正(カクカクとした動き)が早期に出現する場合、小脳のスタミナ不足や脳幹の疲弊を示唆する。 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム [臨床神経学] 脳, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査 外眼筋 (がいがんきん) Extraocular Muscles 眼球を動かす6つの筋肉の総称。上直筋・下直筋・内直筋・外直筋・上斜筋・下斜筋から成る。各筋肉には一次作用・二次作用・三次作用があり、単独作用時の眼球運動方向は複雑である(例:上直筋は単独では上内方を向く)。眼球運動の異常を診ることで、中枢神経の血流や酸化的リン酸化の状態を読み解くことができる。 【図解】第24回講義ノート 図1:外眼筋の単独作用と眼位 【図解】第26回講義ノート 図1:外眼筋の最大作用角度:23度と50度の戦略 【図解】第26回講義ノート 図2:眼球の回転軸とATP枯渇のメカニズム [筋肉] 筋肉, 痛み, 運動, 血管・循環, 眼・視覚 外直筋 (がいちょくきん) Lateral Rectus Muscle 眼球を外側に動かす外眼筋の一つ。外転神経(CN VI)によって支配され、前庭動眼反射(VOR)における眼球運動の制御に関与する。相反神経支配により、一方の外直筋が収縮する際に、反対側の外直筋が弛緩する。[第33回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学:水平半規管における相反抑制と三重の制御機構](/article/vestibular-system-horizontal-canal-reciprocal-inhibition)で詳しく解説されている。 [運動系] 筋肉, 末梢神経, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査 外転 (がいてん) Abduction 眼球が耳側(外側)に向かう運動。外直筋が主に担当するが、上下斜筋の停止部が眼球の後・外方にあるため、これらの筋肉も外転の力を加える。眼球運動は複数の筋肉による共同運動である。 【図解】第26回講義ノート 図2:眼球の回転軸とATP枯渇のメカニズム [解剖学] 筋肉, 末梢神経, 痛み, 運動, 眼・視覚, 臨床検査 外転神経 (がいてんしんけい) 第VI脳神経。外側直筋を支配し、眼球の外転(外側への動き)を制御する。 [脳神経] 筋肉, 末梢神経, 眼・視覚 外転神経 (がいてんしんけい) Abducens Nerve (CN VI) 第六脳神経。橋から出て、外直筋のみを支配する。外転神経麻痺では眼球が内方を向き、外転(外側を向く動き)が困難になる。 [脳神経] 筋肉, 脳, 末梢神経, 眼・視覚 外転神経核 (がいてんしんけいかく) Abducens Nucleus 第VI脳神経核で、外直筋を支配し、眼球を外側に動かす運動を制御する。前庭神経核から興奮性投射と抑制性投射の両方を受け取り、前庭動眼反射(VOR)における眼球運動の精密な制御に関与する。[第33回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学:水平半規管における相反抑制と三重の制御機構](/article/vestibular-system-horizontal-canal-reciprocal-inhibition)で詳しく解説されている。 [脳神経] 筋肉, 末梢神経, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査 下降性疼痛調整系 (かこうせいとうつうちょうせいけい) Descending pain modulation system 脳から脊髄へ向かう下行性の痛み抑制・促進システム。中脳水道周囲灰白質(PAG)→延髄吻側腹内側部(RVM)→脊髄後角という経路で、脊髄レベルでの痛み信号の伝達を調整する「脳内の天然の痛み止め」。関節の位置覚・視覚・聴覚・皮膚感覚などの正しい求心性入力によって再起動される。入力不足(求心路遮断)が続くと機能不全に陥り慢性痛の原因となる。 [生理学] 関節, 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 眼・視覚, 聴覚・前庭 下斜筋 (かしゃきん) Inferior Oblique Muscle 外眼筋の一つで、眼球を外上方へ回転させる作用を持つ。前半規管からの信号により、反対側のサテライト前庭神経核を介して収縮する。第34回講義ノート「垂直系前庭神経路の臨床解剖」で詳しく解説。 [運動系] 筋肉, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭 下直筋 (かちょくきん) Inferior Rectus Muscle 外眼筋の一つで、眼球を下方へ回転させる作用を持つ。後半規管からの信号により、同側の前庭神経核を介して収縮する。第34回講義ノート「垂直系前庭神経路の臨床解剖」で詳しく解説。 [運動系] 筋肉, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査 滑車神経 (かっしゃしんけい) 第IV脳神経。上斜筋を支配し、眼球の内下方への回旋運動に関与する。最も細い脳神経。 [脳神経] 筋肉, 関節, 末梢神経, 運動, 眼・視覚 滑車神経 (かっしゃしんけい) Trochlear Nerve (CN IV) 第四脳神経。中脳から出て、上斜筋のみを支配する。滑車神経麻痺では眼球が内上方を向き、下方視と内転が困難になる(階段を降りるときに複視を自覚)。 [脳神経] 筋肉, 脳, 末梢神経, 眼・視覚 ガッセル神経節 (がっせるしんけいせつ) 三叉神経の感覚神経節であり、側頭骨錐体部のメッケル腔に位置する。三叉神経の3つの分枝(眼神経V1、上顎神経V2、下顎神経V3)の感覚線維の細胞体が集まる部位であり、顔面の感覚情報を脳幹に伝達する前に中継される。三叉神経節とも呼ばれる。 [解剖学] 脳, 末梢神経, 感覚, 自律神経, 眼・視覚 眼位 (がんい) Eye Position 眼球が静止している際の位置。正面を見ている時の眼位は、前頭葉から脳幹に至る神経ネットワークの状態を反映する重要な情報源であり、わずかなズレは外眼筋のトーンを維持するための中枢機能の低下を示唆する。 【図解】第24回講義ノート 図1:外眼筋の単独作用と眼位 【図解】第25回講義ノート 図1: 【図解】第26回講義ノート 図1:外眼筋の最大作用角度:23度と50度の戦略 【図解】第26回講義ノート 図2:眼球の回転軸とATP枯渇のメカニズム [神経系] 筋肉, 脳, 痛み, 眼・視覚 眼窩回 (がんかかい) Orbital Gyrus 前頭葉の底面に位置し、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・体性感覚が集約される。刺激が「報酬(益)」か「罰(害)」かを判断し、行動の期待や予測を行う。 [神経系] 脳, 感覚, 眼・視覚, 聴覚・前庭 眼窩前頭皮質 (がんかぜんとうひしつ) Orbitofrontal Cortex 前頭葉の眼窩面に位置する皮質領域で、痛みの認知・評価・情動的側面の処理に関与する。嗅覚情報が直接投射されるため、匂いによる痛みの調節が可能となる。アロマセラピーが痛みを和らげるのは、この領域を介した下降性疼痛抑制系の活性化による。 【図解】第24回講義ノート 図2:嗅覚経路と辺縁系:感情と痛みの交差点 [神経系] 脳, 痛み, 眼・視覚, 情動・心理 眼瞼 (がんけん) まぶたのこと。眼球を保護し、涙液を分布させる役割を持つ。眼瞼の微細な痙攣は、中枢神経系の調整機能低下を示唆することがある。 眼・視覚 眼瞼下垂 (がんけんかすい) 上眼瞼が正常な位置より下がり、瞳孔を覆ってしまう状態。動眼神経麻痺による上眼瞼挙筋の機能低下や、加齢による腱膜の弛緩が原因となる。 [神経学] 筋肉, 末梢神経, 自律神経, 眼・視覚 眼振 (がんしん) 眼球が不随意に律動的に動く現象。前庭系の障害や中枢神経系の異常により生じ、真の眩暈(めまい)を伴う場合が多い。水平性・垂直性・回旋性など方向により病変部位の推定が可能で、神経学的診断において重要な所見となる。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学、第26回講義ノート:視運動性眼振のメカニズム。 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム [症状] 関節, 末梢神経, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査 眼振 (がんしん) Nystagmus 眼球が不随意に揺れ動く状態。前庭動眼反射(VOR)の安定化機構が破綻し、眼位の維持・注視が困難になった結果として発生する。視覚情報の80%以上を失う危機的な状況であり、脳はこれを空間認知の混乱、すなわち「めまい」として認識する。[第33回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学:水平半規管における相反抑制と三重の制御機構](/article/vestibular-system-horizontal-canal-reciprocal-inhibition)で詳しく解説されている。 [症状] 末梢神経, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査 眼振 (がんしん) 眼球の不随意的なリズミカルな運動。小脳や前庭系の機能低下により生じる。左大脳皮質の機能低下では相同性の観点から右側の小脳が機能低下し、右側に眼振が出やすくなる。 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム [神経系] 脳, 末梢神経, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査 眼神経 (がんしんけい) Ophthalmic Nerve 三叉神経(CN V)の第一枝。角膜、結膜、鼻腔粘膜の感覚を支配する。涙腺神経、長毛様体神経、前篩骨神経などに分岐し、ドライアイや頭痛の発生メカニズムに深く関与する。 【図解】第25回講義ノート 図1: 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム [脳神経] 末梢神経, 感覚, 運動, 眼・視覚, 臨床検査 眼底反射 (がんていはんしゃ) ペンライトの光が網膜に当たり、中心窩付近から跳ね返ってくる反射光。Red reflexとも呼ばれ、潜在的な斜位の評価に有効。 【図解】第25回講義ノート 図1: 【図解】第25回講義ノート 図2: [神経学] 運動, 眼・視覚, 臨床検査 眼輪筋 (がんりんきん) Orbicularis oculi muscle 眼の周囲を取り囲む筋肉で、瞼の開閉や表情形成に関与する。自律神経が整うと眼輪筋のトーンが正常化し、「目がパッチリ開いた」という実感が得られる。 [筋肉] 筋肉, 自律神経, 眼・視覚 拮抗作用 (きっこうさよう) Antagonistic Action 一方が興奮した際にもう一方が抑制される、相反する作用。前庭系では、左右の半規管が互いに「押し合う(押し比べ)」ことで平衡感覚を保っている。一方が適切に抑制されなければ、ブレーキの効かない「綱引き」状態となり、眼球の異常運動(眼振)を招く。[第33回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学:水平半規管における相反抑制と三重の制御機構](/article/vestibular-system-horizontal-canal-reciprocal-inhibition)で詳しく解説されている。 [運動系] 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査 嗅神経 (きゅうしんけい) Olfactory Nerve (CN I) 第一脳神経。鼻腔の嗅上皮から嗅球へと伸びる感覚神経で、匂いの情報を脳に伝える。嗅覚情報は視床を経由せずに(または経由して)扁桃体や眼窩前頭皮質へと直接投射されるため、感情や痛みの認知と密接に関連する。アロマセラピーが慢性痛に有効な解剖学的根拠となる。 【図解】第24回講義ノート 図2:嗅覚経路と辺縁系:感情と痛みの交差点 [脳神経] 脳, 末梢神経, 痛み, 感覚, 眼・視覚, 情動・心理, 臨床検査 橋核 (きょうかく) 橋の腹側に位置する神経核。大脳皮質(特に前頭葉や運動野)からの指令を受け取り、対側の小脳へと中継する重要な情報変換局。大脳から筋肉への指令の40倍もの情報量を小脳へ送る。 【図解】第22回講義ノート 図1:縦橋線維と橋核の構造 【図解】第22回講義ノート 図2:中小脳脚の入出力関係 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム 筋肉, 脳, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭 共同中止 (きょうどうちゅうし) 両眼が協調して同じ対象を正確に見つめる状態。外眼筋の精密な神経制御により、両眼の視線が一点に収束する。 [神経学] 筋肉, 運動, 眼・視覚