用語集
全135件の神経科学用語を収録しています。
- 深部腱反射
- 深部腱反射(しんぶけんはんしゃ)とは、医師がハンマーで膝の下の腱などを軽く叩いたときに、足が自然と跳ね上がるような無意識の反応のことです。これは、筋肉が急に伸ばされたときに、それ以上伸びるのを防ぐために筋肉自体が縮むという、脊髄(せきずい)を介した単純な神経回路(反射弓)によって起こります。この反射の強さを調べることで、末梢神経や脊髄、さらには脳からの制御経路に異常がないかを評価する重要な手がかりとなります。 [神経系] 筋肉, 関節, 脊髄, 末梢神経, 運動, 臨床検査
- 後大脳動脈
- 後頭葉の視覚野(エリア17, 18, 19)を支配する脳血管。視力に問題がないのに「見えづらい」と訴える場合、PCA領域の血流低下による皮質の画像化エラーを疑う必要がある。 [神経解剖学] 脳, 血管・循環, 眼・視覚, 臨床検査
- 対光反射
- 対光反射(たいこうはんしゃ)は、目に入ってくる光の量に応じて瞳孔(どうこう)の大きさが自動的に変わる反射です。明るい場所では瞳孔が小さくなり(縮瞳)、目に入る光を制限して網膜(もうまく)を保護し、暗い場所では瞳孔が大きくなり(散瞳)、より多くの光を取り込んで視覚を助けます。この反射は、脳幹(のうかん)と呼ばれる生命維持に重要な部分の機能が正常であるかを評価するための重要な指標として、神経学的検査で用いられます。 [神経系] 脳, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 臨床検査
- 瞬目反射
- 眉間をタッピングすると瞼が反射的に閉じる反応。基底核や脳幹の抑制予備力を測る検査で、4回目以降も反応が続く場合はTND(異常神経興奮状態)の可能性がある。 [臨床神経学] 脳, 運動, 臨床検査
- 多シナプス反射
- 多シナプス反射(たシナプスはんしゃ)とは、感覚受容器から受け取った情報が、脊髄(せきずい)内で複数の介在ニューロン(かいざいニューロン)を介して運動ニューロンに伝達され、筋肉の収縮を引き起こす複雑な反射のことです。単シナプス反射(たんシナプスはんしゃ)と異なり、複数の神経細胞の「つなぎ目」(シナプス)を経由するため、より柔軟で協調的な動作、例えば手足を引っ込める「屈曲反射(くっきょくはんしゃ)」などを可能にする役割があります。これは、危険から身体を守るための重要な防御機構です。 【図解】第11回講義ノート 図2:単シナプス反射と多シナプス反射の比較 [神経系] 筋肉, 関節, 脊髄, 感覚, 運動, 臨床検査
- 単シナプス反射
- 単シナプス反射(たんシナプスはんしゃ)とは、反射弓(はんしゃきゅう)の中で、感覚ニューロン(かんかくニューロン)と運動ニューロン(うんどうニューロン)がたった一つのシナプス(神経細胞間の接合部)を介して直接結合し、応答が起こる最も単純な反射のことです。膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)(膝の下を叩く検査)が代表的で、刺激に対して非常に速く筋肉が収縮する役割を持っています。この単純な構造により、遅延が少なく、素早い身体の制御に貢献しています。 【図解】第11回講義ノート 図2:単シナプス反射と多シナプス反射の比較 【図解】第19回講義ノート 図2:単シナプス反射の三層構造 [神経系] 筋肉, 関節, 感覚, 運動, 臨床検査
- 屈筋抑制
- 屈筋抑制(くっきんよくせい)とは、反射(はんしゃ)や随意運動(ずいいうんどう)を行う際に、主役となる筋肉(主動作筋:しゅどうさきん)の反対側にある筋肉(拮抗筋:きっこうきん)の活動を自動的に緩める(抑制する)仕組みのことです。これにより、動きがスムーズかつ効率的になります。例えば、腕を曲げる(屈曲)とき、上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)が収縮すると同時に、反対側の上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)の緊張が和らぎ、関節の動きを妨げないように調整されています。これは神経系の重要な協調(きょうちょう)機能の一つです。 【図解】第17回講義ノート 図1:T6を境界とした屈筋抑制のメカニズム [神経系] 筋肉, 関節, 運動, 臨床検査
- 反射運動
- 反射運動(はんしゃうんどう)とは、熱いものに触れた際に思わず手を引っ込めるなど、外部からの刺激に対して、脳の意識的な関与なしに、脊髄(せきずい)や脳幹(のうかん)といった神経回路が自動的に引き起こす素早い反応のことです。これは体を危険から守るための重要な防御機構であり、刺激と反応の間を仲介する神経経路を反射弓(はんしゃきゅう)と呼びます。意識的な思考よりも速く行動できるのが特徴です。 [神経系] 脳, 脊髄, 運動, 臨床検査
- 2点識別覚
- 皮膚に2つの刺激点が同時に加えられた時、それを2つの別々の刺激として認識する能力。大脳皮質の感覚処理機能を評価する重要な検査項目。 [臨床神経学] 脳, 感覚, 臨床検査
- アルファモーターニューロン
- アルファモーターニューロンは、脊髄(せきずい)の前角(ぜんかく)にある大きな神経細胞(しんけいさいぼう)です。主な役割は、骨格筋(こっかくきん)の筋線維(きんせんい)を直接支配し、筋肉の収縮(しゅうしゅく)と運動(うんどう)を引き起こすことです。脳からの指令や、反射(はんしゃ)の経路を通じて興奮(こうふん)し、最終的に私たちが体を動かす「実行役」を担っています。このニューロンと、それが支配する筋線維群を合わせて「運動単位(うんどうたんい)」と呼びます。 【図解】第17回講義ノート 図2:前角細胞への二重抑制メカニズム [神経系] 筋肉, 脊髄, 運動, 臨床検査
- 屈曲逃避反射
- 屈曲逃避反射(くっきょくとうひはんしゃ)は、熱いものや鋭いものなど、体に危険を及ぼす刺激が加わった際に、意識するよりも早く刺激源から手足(四肢)を引っ込める防御的な反射です。脊髄(せきずい)内で処理されるため、脳に情報が届く前に素早く動作が完了します。これは、体を守るための緊急回避システムのようなもので、反射弓(はんしゃきゅう)という神経経路によって成り立っています。 [神経系] 関節, 脊髄, 運動, 臨床検査
- 皮質橋小脳路
- 皮質橋小脳路(CPCT)は、大脳皮質から橋核を経由し、小脳へと投射する主要な運動制御経路である。この経路は、随意運動の計画、協調、および学習に不可欠であり、特に複雑な運動や姿勢制御の洗練に関与する。損傷すると、運動失調(アタキシア)を引き起こす。 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム [神経系] 脳, 痛み, 運動, 臨床検査
- 局在神経学
- 局在神経学(きょくざいしんけいがく)は、脳や脊髄(せきずい)などの中枢神経系(ちゅうすうしんけいけい)の特定の場所(局所)に生じた病変(びょうへん)が、体のどの機能(運動、感覚、言語など)の異常(症状)として現れるかを詳細に調べる医学分野です。この学問の目的は、患者さんの症状から病変のある正確な位置(部位診断)を特定し、適切な治療につなげることです。神経経路(しんけいけいろ)の解剖学的な知識が非常に重要になります。 [神経系] 脊髄, 感覚, 運動, 臨床検査, 治療・リハビリ
- 感覚
- 感覚(かんかく)とは、私たちが外界や自分の体の状態を認識するための基本的な情報収集の仕組みです。目(視覚)、耳(聴覚)、鼻(嗅覚)、舌(味覚)による特殊な感覚と、皮膚や筋肉、関節などから得られる触覚、痛覚、温度覚、位置覚などの体性感覚(たいせいかんかく)に分けられます。これらの情報は神経を通じて脳に送られ、私たちが世界を理解し、適切に行動するための土台となります。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第7回講義ノート 図2:ロンベルグ検査と姿勢制御 【図解】第8回講義ノート 図1:感覚―運動ループの仕組み 【図解】第13回講義ノート 図1:急性痛と慢性痛の違い 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 【図解】第14回講義ノート 図1:感覚運動ループと自律神経の関係 【図解】第14回講義ノート 図2:T6(胸椎6番)を境界とした筋群の分布 【図解】第15回講義ノート 図1:しびれの二つのタイプ:知覚鈍麻と知覚異常 【図解】第15回講義ノート 図2:感覚検査における情報処理の滞り 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第16回講義ノート 図2:小脳と大脳基底核の協調:動と静のバランス 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第21回講義ノート 図1:下降性調整経路の全体像 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経系] 筋肉, 関節, 脳, 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
- 自律神経
- 自律神経(じりつしんけい)は、私たちが意識しなくても、心臓の鼓動、呼吸、消化、体温調節など、生命維持に必要な体の働きを自動でコントロールしている神経システムです。アクセルの役割を果たす交感神経(こうかんしんけい)と、ブレーキの役割を果たす副交感神経(ふくこうかんしんけい)の2つから成り立っており、これらがバランスを取りながら体の内部環境を一定に保つ(ホメオスタシス)重要な役割を担っています。 【図解】第14回講義ノート 図1:感覚運動ループと自律神経の関係 【図解】第14回講義ノート 図2:T6(胸椎6番)を境界とした筋群の分布 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 [神経系] 筋肉, 内臓, 脊髄, 末梢神経, 感覚, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 筋伸長反射
- 筋伸長反射(きんしんちょうはんしゃ)は、筋肉が急に引き伸ばされたときに、その筋肉自身が縮む(収縮する)ことで、伸びすぎを防ぐための無意識の反応です。最も身近な例は、膝蓋腱(しつがいけん)を叩いたときに足が跳ね上がる「膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)」で、これは腱(けん)の奥にある筋肉の伸展を感知して起こります。この反射は、姿勢の維持や、急なバランスの崩れを防ぐ役割を果たしています。 [神経系] 筋肉, 関節, 運動, 臨床検査
- 介在ニューロン
- 介在ニューロン(かいざいニューロン)は、感覚ニューロンと運動ニューロンの間に位置し、情報を中継・統合する役割を担う神経細胞です。脳や脊髄(せきずい)といった中枢神経系(ちゅうすうしんけいけい)の大部分を占めています。単純な反射だけでなく、複雑な思考や運動の調整において、情報の処理や回路の制御を行う、非常に重要な「つなぎ役」を果たしています。 【図解】第17回講義ノート 図2:前角細胞への二重抑制メカニズム [神経系] 脊髄, 感覚, 運動, 臨床検査
- 病的反射
- 病的反射(びょうてきはんしゃ)とは、通常は健康な大人では見られない、病的な状態の時にだけ現れる反射のことです。特に、大脳皮質(だいのうひしつ)など上位の中枢神経(ちゅうすうしんけい)に障害がある場合に、その抑制が外れて出現することが多いです。代表的なものに、足の裏を刺激すると親指が反り上がる「バビンスキー反射」などがあり、神経疾患の診断において重要な手がかりとなります。 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 [神経系] 脳, 脊髄, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
- ロンベルグ試験
- ロンベルグ試験(しけん)は、患者(かんじゃ)さんに目を閉じた状態で立ってもらい、体の揺れを観察(かんさつ)する神経学的(しんけいがくてき)な検査(けんさ)です。主に、体の平衡感覚(へいこうかんかく)を保つために重要な、脊髄(せきずい)を通る深部感覚(しんぶかんかく)(位置や動きを感じる感覚)の障害(しょうがい)がないかを調べます。目が開いている状態では視覚(しかく)で補(おぎな)えますが、目を閉じて揺れが大きくなる場合は、深部感覚の異常(いじょう)が疑(うたが)われます。 [神経系] 脊髄, 感覚, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 感覚入力
- 感覚入力(かんかくにゅうりょく)とは、私たちの体が外界や体内から情報を受け取るプロセスのことです。目、耳、鼻、舌、皮膚などの感覚受容器(かんかくじゅようき)が光、音、におい、味、触覚、温度などの刺激を電気信号に変換し、神経(しんけい)を介して脳や脊髄(せきずい)に送られます。この情報が処理されることで、私たちは周囲の状況を認識し、適切に行動することができます。 【図解】第8回講義ノート 図1:感覚―運動ループの仕組み 【図解】第14回講義ノート 図1:感覚運動ループと自律神経の関係 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 [神経系] 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 嚥下・発声, 臨床検査
- ATP
- ATP(アデノシン三リン酸)は、私たちの体、特に脳の細胞が活動するための「エネルギー通貨」のようなものです。細胞が思考したり、信号を伝えたり、物質を運んだりする際に必要なエネルギーを瞬時に供給します。ATPが分解されるときにエネルギーが放出され、これにより神経細胞(ニューロン)が情報を正確にやり取りできます。これは、生命活動の根幹を支える非常に重要な分子です。 【図解】第4回講義ノート 図1:神経細胞のエネルギーシステム 【図解】第5回講義ノート 図1:ATP不足が痛みを生むメカニズム 【図解】第5回講義ノート 図2:朝の痛みとデスクワーク不調の共通原因 【図解】第26回講義ノート 図2:眼球の回転軸とATP枯渇のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第30回講義ノート 図1:聴覚伝達路の多段階構造(第7次ニューロンまで) [神経系] 痛み, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 筋紡錘
- 筋紡錘(きんぼうすい)は、骨格筋(こっかくきん)の内部に存在する小さな感覚受容器(かんかくじゅようき)です。筋肉の長さとその変化の速さを常に監視(かんし)しているセンサーの役割を果たしています。この情報が脊髄(せきずい)や脳に送られることで、無意識のうちに筋肉の緊張度(きんちょうど)が調節され、姿勢の維持や円滑な運動制御(うんどうせいぎょ)に役立っています。有名な膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)などの「伸張反射(しんちょうはんしゃ)」を引き起こす起点でもあります。 【図解】第11回講義ノート 図1:筋紡錘の構造と働き 【図解】第11回講義ノート 図2:単シナプス反射と多シナプス反射の比較 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第19回講義ノート 図2:単シナプス反射の三層構造 【図解】第20回講義ノート 図1:α-γ連関のメカニズム 【図解】第20回講義ノート 図2:ゲインとセンシビリティの関係 【図解】第21回講義ノート 図2:1Aと1Bの使い分け [神経系] 筋肉, 関節, 脳, 脊髄, 感覚, 運動, 臨床検査
- 脊髄
- 脊髄(せきずい)は、背骨(せぼね)の中を通る、太い神経の束です。脳と体の各部分を結ぶ主要な通信ケーブルのような役割を果たしており、脳からの指令を手足や内臓に伝えたり、体からの感覚情報(痛み、触覚、温度など)を脳に送り返したりしています。また、脳の関与なしに素早い反応を可能にする「反射」の中枢でもあります。脊髄の健康は、体の動きや感覚に直結する非常に重要な要素です。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第7回講義ノート 図1:下降性疼痛抑制系の構造 【図解】第8回講義ノート 図2:皮質脊髄路(錐体路)の経路 【図解】第9回講義ノート 図1:錐体外路の主要経路 【図解】第12回講義ノート 図1:運動制御の階層構造 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第21回講義ノート 図1:下降性調整経路の全体像 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 [神経系] 内臓, 脳, 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
- T6
- T6(ティーろく)は、胸髄(きょうずい)と呼ばれる背骨の中の神経レベルの一つで、第6胸椎(きょうつい)の高さから出る脊髄神経(せきずいしんけい)を指します。この神経は主に体幹、特に胸部や上腹部の感覚と、呼吸に関わる筋肉の一部を支配しています。T6レベルでの損傷は、このレベル以下の感覚や運動機能に影響を及ぼし、特に腹筋の一部麻痺や体温調節の困難さ(自律神経反射異常)につながることがあります。局在神経学において、体幹の感覚レベルを特定する際の重要な指標の一つです。 【図解】第14回講義ノート 図2:T6(胸椎6番)を境界とした筋群の分布 【図解】第17回講義ノート 図1:T6を境界とした屈筋抑制のメカニズム [神経系] 筋肉, 脊髄, 感覚, 運動, 自律神経, 臨床検査
- 上位中枢
- 上位中枢(じょういちゅうすう)とは、脳や脊髄(せきずい)といった中枢神経系(ちゅうすうしんけいけい)のなかで、特に高度な情報処理や意思決定、複雑な運動の計画などを司る領域のことです。具体的には、大脳皮質(だいのうひしつ)や小脳(しょうのう)などがこれにあたります。これらは、反射などの基本的な機能を担う下位中枢(かいちゅうすう)を統合・制御し、人間らしい複雑な行動や思考を実現する最高司令部のような役割を果たしています。 【図解】第19回講義ノート 図2:単シナプス反射の三層構造 [神経系] 脳, 脊髄, 運動, 臨床検査
- 左右の入力差
- 神経学的検査の核心。患者の主観に惑わされず、感覚刺激に対する左右の脳応答の差(エラー)を客観的に抽出すること。障害局在の特定に不可欠。 [臨床神経学] 感覚, 臨床検査
- バビンスキー反射
- バビンスキー反射(はんしゃ)は、足の裏の外側をかかとからつま先に向かってこすった際に起こる反射です。健康な成人では、足の指が内側に曲がる(屈曲(くっきょく))のが正常な反応です。しかし、この反射が陽性(ようせい)の場合、親指が上向きに反り、他の指が開く(開扇(かいせん))動きが見られます。この陽性反応は、大脳皮質(だいのうひしつ)から脊髄(せきずい)へ指令を送る錐体路(すいたいろ)と呼ばれる運動神経の経路に損傷があることを示す重要な兆候であり、中枢神経系の異常を判断するのに役立ちます。乳幼児期には正常な反射として見られますが、歩行が可能になる頃には消失します。 [神経系] 関節, 脳, 脊髄, 運動, 臨床検査
- ホフマン反射
- ホフマン反射(ホフマンはんしゃ)は、指の爪(つめ)や末節骨(まっせつこつ)を軽く弾いたときに、親指の屈曲(くっきょく)と他の指のわずかな外転(がいてん)が起こる反射です。これは、錐体路(すいたいろ)と呼ばれる運動を司る神経経路に異常がないかを調べるために用いられる、病的反射(びょうてきはんしゃ)の一つです。健康な人には通常見られず、もし出現した場合は、脳や脊髄(せきずい)の運動系に障害がある可能性を示唆(しさ)する重要なサインとなります。 [神経系] 関節, 脊髄, 末梢神経, 運動, 眼・視覚, 臨床検査
- 腹壁反射
- 腹壁反射(ふくへきはんしゃ)は、お腹の皮膚を軽くこすったときに、刺激された側の腹筋がピクッと収縮する反射です。これは、皮膚の感覚が脊髄(せきずい)を通り、運動神経に伝わって起こる、比較的単純な神経の経路(反射弓)で確認されます。この反射の有無や強さを調べることで、脊髄や大脳皮質(だいのうひしつ)から脊髄への神経伝達経路に異常がないかを確認する、重要な神経学的検査の一つです。 [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 感覚, 運動, 臨床検査
- 上丘
- 上丘(じょうきゅう)は、中脳(ちゅうのう)の屋根部分にある小さな隆起(りゅうき)です。主に、視覚情報に基づいて、眼球や頭部を素早く動かす反射的な定位(ていい)運動を制御する役割を担っています。例えば、視野の端で急に動くものがあった際に、無意識にそちらへ視線や顔を向ける「注意の切り替え」の中心的な司令塔として機能しています。これは、私たちが周囲の環境に迅速に対応するために非常に重要な働きです。 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 [神経系] 脳, 脊髄, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- ピンチナーブ理論
- ピンチナーブ理論(ぴんちなーぶりろん)とは、脊椎(せきつい)の椎間孔(ついかんこう)と呼ばれる神経の通り道が狭くなることで、そこを通る神経根(しんけいこん)が圧迫(あっぱく)され、痛みやしびれなどの症状を引き起こすという考え方です。この圧迫は、椎間板(ついかんばん)の変性やヘルニア、骨棘(こつきょく)の形成などによって生じることが多く、坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)などの症状の原因を説明する際に用いられます。ただし、画像検査で圧迫が見られても症状がない場合もあり、症状と圧迫の関連性には議論の余地があります。 [神経系] 関節, 脊髄, 末梢神経, 痛み, 臨床検査
- 延髄
- 延髄(えんずい)は、脳幹(のうかん)の最も下部に位置する重要な部分です。心臓の拍動や呼吸、血圧の調整といった、生命維持に不可欠な基本的な自律機能(じりつきのう)を司っています。また、嚥下(えんげ:飲み込むこと)や嘔吐(おうと)などの反射中枢(はんしゃちゅうすう)も含んでおり、大脳と脊髄(せきずい)をつなぐ神経伝達の通り道としての役割も担っています。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 [神経系] 内臓, 脳, 脊髄, 末梢神経, 運動, 自律神経, 血管・循環, 嚥下・発声, 臨床検査
- 中脳
- 中脳(ちゅうのう)は、脳幹(のうかん)の一部で、間脳(かんのう)と橋(きょう)の間に位置する小さな構造です。主に視覚や聴覚の反射中枢として機能し、目や頭の動きを素早く調整して、音や光の刺激に反応する役割を担っています。また、運動の制御や意識の維持にも関わっており、重要な神経伝達経路がここを通っています。 【図解】第7回講義ノート 図1:下降性疼痛抑制系の構造 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 交感神経
- 交感神経(こうかんしんけい)は、自律神経系(じりつしんけいけい)の一部で、主に身体を「闘争か逃走(fight-or-flight)」の状態に準備させる役割を担っています。ストレスや危険を感じた際に活性化し、心拍数や血圧を上げ、瞳孔(どうこう)を広げ、筋肉への血流を増やすなど、緊急事態に対応するためのエネルギーを動員します。リラックス時や休息時に優位になる副交感神経(ふくこうかんしんけい)と対になって、身体のバランスを保っています。 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経系] 筋肉, 運動, 自律神経, 血管・循環, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 情動・心理, 臨床検査
- 副交感神経
- 副交感神経(ふくこうかんしんけい)は、自律神経(じりつしんけい)の一部で、「休息と消化」を司る神経系です。体がリラックスしている時に働き、心拍数を下げたり、血圧を安定させたり、消化活動を促進したりする役割があります。戦ったり逃げたりする時に働く交感神経(こうかんしんけい)とバランスを取りながら、体のエネルギーを温存し、回復させるために重要な働きをしています。 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経系] 筋肉, 運動, 自律神経, 血管・循環, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
- アクチン (あくちん) Actin
- 筋肉の収縮に関与する細いフィラメント状のタンパク質。ミオシンと結合して筋収縮を引き起こし、ATPのエネルギーを使って解離することで筋弛緩が起こる。 [生化学] 筋肉, 痛み, 臨床検査
- アブミ骨筋 (あぶみこつきん)
- 顔面神経(CN VII)が支配する筋肉で、アブミ骨を蝸牛の窓から引き離し、内耳への振動入力を物理的に制限する。この反射の消失は聴覚過敏を招く。 【図解】第30回講義ノート 図2:三叉・顔面神経による聴覚調整機構 [神経解剖学] 筋肉, 末梢神経, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
- アミラーゼ (あみらーぜ)
- デンプンを分解する消化酵素。耳下腺から分泌され、炭水化物の消化を促進する。 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 [生理学] 運動, 臨床検査
- EW核 (いーだぶりゅーかく) Edinger-Westphal nucleus
- エディンガー・ウエストファル核。中脳に位置し、副交感神経の中枢として瞳孔括約筋や毛様体筋を支配する。対光反射や近見調節を担い、副交感神経機能の指標となる。 [神経系] 筋肉, 脳, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 臨床検査
- 一次視覚野 (いちじしかくや) Primary Visual Cortex (Area 17, V1)
- 後頭葉の鳥距溝周囲に位置する視覚情報の最初の処理中枢(ブロードマン17野)。網膜からの視覚情報は視交差を経て視放線を通り、この領域に到達する。視野情報は脳内で元の視野と同じ位置関係で再構成される(網膜地図)。視野検査で右視野の欠損があれば左側の一次視覚野の機能低下を示唆する。 [神経系] 脳, 眼・視覚, 臨床検査
- ウェーバー検査 (うぇーばーけんさ)
- 音叉を前額部や頭頂部の正中に当て、骨伝導により左右の聴覚を比較する検査。側頭骨を介して蝸牛を直接振動させ、中枢性・末梢性難聴の鑑別に用いられる。 【図解】第31回講義ノート 図1:ウェーバー・リンネ検査の実施方法 【図解】第31回講義ノート 図2:聴覚路の第7次ニューロン伝達と大脳皮質の左右性 [神経系] 脳, 聴覚・前庭, 臨床検査
- ウェーバー試験 (ウェーバーしけん)
- 音叉を頭頂部に当てて振動を与え、音がどちらの耳に大きく響くかを確認する聴力検査。伝音性難聴では障害側に、感音性難聴では健康側に音が大きく響く。耳鳴りの局在診断に有用。 [臨床神経学] 臨床検査
- ATP産生 (えーてぃーぴーさんせい)
- ミトコンドリアで行われるエネルギー生成過程。酸素を用いた好気的代謝により、グルコースからATP(アデノシン三リン酸)を合成する。神経系の膜電位維持ポンプはATPに依存しており、低気圧による酸素供給効率の低下はATP産生低下を招き、神経系の過敏状態や機能低下を引き起こす。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学、第3回講義ノート:ATP不足と膜電位の関係。 【図解】第5回講義ノート 図1:ATP不足が痛みを生むメカニズム 【図解】第5回講義ノート 図2:朝の痛みとデスクワーク不調の共通原因 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 [生理学] 痛み, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
- ARAS (エーラス) Ascending Reticular Activating System
- 上行性網様体賦活系の略称。脳幹から視床を通り大脳皮質へ至る覚醒信号の経路。 [神経系] 脳, 臨床検査
- エディンガー・ウエストファール核 (えでぃんがー・うえすとふぁーるかく)
- 中脳に位置し、瞳孔の対光反射(縮瞳)を制御する副交感神経核。動眼神経(第III脳神経)の一部として機能し、光刺激に対する瞳孔の収縮反応を司る。 筋肉, 脳, 末梢神経, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 臨床検査
- エディンガー・ウェストファル核 (えでぃんがー・うぇすとふぁるかく)
- 中脳にある動眼神経の副交感神経核。瞳孔括約筋と毛様体筋を支配し、対光反射と調節反射を制御する。 [神経解剖学] 筋肉, 脳, 末梢神経, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 臨床検査
- 嚥下反射 (えんげはんしゃ)
- 食物や液体を口腔から咽頭、食道を経て胃に送り込む反射。舌、軟口蓋、咽頭、喉頭、食道の協調的な運動により成立する。嚥下時には口蓋帆張筋が収縮して耳管を開放し、中耳腔の圧力を調整する。嚥下障害(嚥下困難・誤嚥)がある患者では、耳管機能不全を併発することがある。 [生理学] 筋肉, 内臓, 運動, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
- 嚥下反射 (えんげはんしゃ)
- 唾を飲み込む反射。嚥下の都度、口蓋帆張筋が収縮して耳管が数秒間開放され、内外の気圧が調整される。口呼吸の患者では嚥下反射が不全になりやすく、慢性的な耳の詰まりを招く。 [神経系] 筋肉, 運動, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
- OPKテープ (おーぴーけーてーぷ) Optokinetic Tape
- 視運動性眼振を意図的に誘発させるための臨床検査ツール。縞模様のテープを流して眼球運動を観察する。パースートが維持できずにサッケードによる補正(カクカクとした動き)が早期に出現する場合、小脳のスタミナ不足や脳幹の疲弊を示唆する。 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム [臨床神経学] 脳, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 嘔吐 (おうと) Vomiting
- 実際に吐く行為で、横隔膜や肋間筋までを動員する広範な反射。嘔気とは異なり、脳幹の統合レベルが高い状態を示す。第34回講義ノート「垂直系前庭神経路の臨床解剖」で詳しく解説。 [自律神経系] 筋肉, 脳, 運動, 自律神経, 聴覚・前庭, 臨床検査