用語集

全22件の神経科学用語を収録しています。

RVM (あーるぶいえむ)
吻側延髄腹側内側部(Rostral Ventromedial Medulla)の略称。PAGからの鎮痛指令を脊髄後角へ伝達するセロトニン系の中継核。温熱的侵害刺激(熱感・冷感・化学火傷)の下行性抑制を担い、ソマトスタチンの放出を介在ニューロン経由でシャットアウトする。→吻側延髄腹側内側部 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 内分泌
IML (アイエムエル) Intermediolateral Cell Column
脊髄側角の中間外側核。日中に光刺激が入ると視床下部を経て興奮し、交感神経性投射によってメラトニン合成酵素(NAT)に強力なブレーキ(抑制)をかける。メラトニン生成の神経回路における重要な制御点。 [神経系] 脳, 脊髄, 自律神経, 内分泌
アドレナリン (あどれなりん) Adrenaline
副腎髄質から分泌されるホルモンで、交感神経系の活性化に関与する。夜間低血糖時に脳が危機を感知して放出し、交感神経を緊急発動させることで覚醒や心拍数増加を引き起こす。 [内分泌] 内臓, 自律神経, 内分泌
α₂アドレナリン受容体 (あるふぁにじゅうあどれなりんじゅようき)
脊髄後角の一次侵害受容ニューロン末端に存在する抑制性受容体。DLPTルートから下行したノルアドレナリンがこの受容体に結合すると、substance Pの放出が強力に抑制され、機械的侵害刺激の脳への伝達がブロックされる。クロニジンなどのα₂作動薬が鎮痛薬として用いられる根拠となる受容体。 [神経系] 脊髄, 痛み, 内分泌
HPA軸 (えいちぴーえーじく) Hypothalamic-Pituitary-Adrenal axis
視床下部-下垂体-副腎系。ストレス応答や内分泌調節に関与する神経内分泌系の主要経路。女性ホルモンの急激な変動が視床下部にストレス信号を送り、隣接する自律神経中枢にも影響を与える。 [神経系] 内臓, 脳, 自律神経, 内分泌, 情動・心理
エストロゲン (えすとろげん) Estrogen
卵胞ホルモン。女性の生理周期や更年期において急激に変動し、視床下部への強力なストレス信号となる。隣接する自律神経中枢にも影響を与え、自律神経失調症状を引き起こす。 [内分泌] 脳, 運動, 自律神経, 内分泌, 情動・心理
下降性抑制系 (かこうせいよくせいけい)
中脳や網様体から脊髄へと降りてくる抑制命令。セロトニン・ノルアドレナリンを放出して痛み信号を抑制する中枢性の疼痛抑制機構。 [感覚系] 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 内分泌
機械侵害受容器 (きかいしんがいじゅようき)
強烈な機械的(物理的)侵襲にのみ反応する侵害受容器。主にAδ線維を駆動し、伝達速度5〜30m/sで鋭い一次痛を伝達する。青斑核→ノルアドレナリン系鎮痛路の標的。 [神経系] 末梢神経, 痛み, 感覚, 内分泌
substance P (さぶすたんすぴー)
機械的侵害刺激(圧迫・刺傷など)を受けた際に一次侵害受容ニューロン(Aδ線維・C線維)から放出される主要な痛覚伝達ペプチド。過剰分泌により神経原性炎症(血管拡張・血管透過性亢進)を惹起し、延髄の化学受容器引き金帯(CTZ)を刺激して嘔吐を誘発することもある。DLPTルートから下行するノルアドレナリンがα₂受容体に結合することで放出が強力に抑制される。 [神経系] 脳, 末梢神経, 痛み, 感覚, 血管・循環, 内分泌, 臨床検査
視床下部 (ししょうかぶ) Hypothalamus
間脳に位置し、自律神経系とホルモン系(内分泌系)の最高司令塔。体温・血圧・心拍・食欲・睡眠・性行動・ストレス反応などを統合的に調節する。痛み情報が視床下部に入力されると、心拍数上昇・血圧変動・ストレスホルモン(コルチゾール)分泌が促進される。閉経に伴うホルモン低下は視床下部を介した痛み抑制機構を弱め、50代以降の女性に不定愁訴が増加する一因となる。 [解剖学] 脳, 痛み, 自律神経, 血管・循環, 内分泌, 情動・心理
青斑核 (せいはんかく)
橋(きょう)に位置するノルアドレナリン作動性ニューロンの主要な集団。DLPTルートの中心核として、PAGからの指令を受けて脊髄後角へノルアドレナリンを放出し、α₂受容体を介してsubstance Pの放出を抑制することで機械的侵害刺激を遮断する。覚醒・注意・ストレス応答にも深く関与する。 [神経系] 脳, 脊髄, 内分泌, 情動・心理
節後線維 (せつごせんい) Postganglionic fiber
自律神経節(交感神経節・副交感神経節)から効果器(臓器・血管・汗腺など)に向かう神経線維。交感神経の節後線維はノルアドレナリンを放出する無髄のC線維と相同性を持つ。交感神経が過活動になると、相同性を介してC線維も共鳴発火し、慢性痛を引き起こす。 [解剖学] 筋肉, 内臓, 末梢神経, 痛み, 自律神経, 血管・循環, 内分泌
セロトニントランスポーター (せろとにんとらんすぽーたー) Serotonin Transporter (SERT)
放出されたセロトニンを神経終末へ回収・再利用するための膜タンパク質。前帯状回に最も密集しており、機能低下するとセロトニンが枯渇してうつ病や慢性痛の合併を招く。 [生化学] 脳, 痛み, 内分泌
ソマトスタチン (そまとすたちん)
温熱的侵害刺激(熱感・冷感・化学火傷)を受けた際に脊髄後角のC線維から放出されるペプチド性神経伝達物質。RVMルートから下行するセロトニン作動性ニューロンが脊髄後角の抑制性介在ニューロンを介してその作用を選択的にシャットアウトする。substance Pとは異なり温熱性侵害刺激に特化した分子病態を担う。 [神経系] 脊髄, 末梢神経, 内分泌
大縫線核 (だいほうせんかく)
延髄に位置するセロトニン作動性ニューロンの主要な集団。RVMルートの中心核として、PAGからの指令を受けて脊髄後角へセロトニンを放出し、抑制性介在ニューロンを介してソマトスタチンの作用を遮断することで温熱的侵害刺激を抑制する。睡眠・気分・食欲調節にも関与する。 [神経系] 脳, 脊髄, 内分泌
中間外側核 (ちゅうかんがいそくかく) Intermediolateral Cell Column
IMLの日本語名称。脊髄側角に位置し、交感神経の節前ニューロンが集まる核。メラトニン生成の抑制に関与。 [神経系] 脊髄, 自律神経, 内分泌
DLPT (でぃーえるぴーてぃー)
背外側橋中脳被蓋(Dorsolateral Pontine Tegmentum)の略称。PAGから青斑核を経由して脊髄後角へノルアドレナリンを放出するノルアドレナリン系の下行性鎮痛路。機械的侵害刺激(圧迫・刺傷など)に対するsubstance Pの放出をα₂受容体を介して選択的に遮断する。RVMルートとともに二大下行性鎮痛路を構成する。 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 内分泌
副腎髄質 (ふくじんずいしつ)
副腎の内側部分。交感神経の刺激を受けてアドレナリン・ノルアドレナリンを分泌し、急性ストレス反応(脈拍・血圧・呼吸数の増加)を引き起こす。 [解剖学] 内臓, 自律神経, 血管・循環, 内分泌, 情動・心理
不定愁訴 (ふていしゅうそ) Medically unexplained symptoms
「なんとなく体がだるい」「どこが痛いとはっきり言えない全身の重だるさ」など、検査では異常が見つからないにもかかわらず様々な自覚症状が続く状態。更年期障害・自律神経失調症・線維筋痛症などに多く見られる。神経生理学的には、ホルモン低下による痛み抑制機構の弱体化、辺縁系の過敏化、下降性疼痛調整系の機能不全が複合的に関与する。 [臨床神経学] 筋肉, 脳, 痛み, 運動, 自律神経, 内分泌, 情動・心理, 臨床検査
吻側延髄腹側内側部 (ふんそくえんずいふくそくないそくぶ)
RVM(Rostral Ventromedial Medulla)とも呼ばれる延髄の中継核。PAGからの鎮痛指令を受け取り、セロトニン作動性ニューロンを介して脊髄後角へ伝達する。大縫線核・傍巨大細胞網様核を含む領域で、温熱的侵害刺激の下行性抑制を担う。 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 内分泌
分泌 (ぶんぴつ) Secretion
腺組織から特定の物質(涙、唾液、ホルモンなど)を産生・放出する生理機能。受容器が「乾き」などの刺激を察知して初めて反射として機能する。分泌機能はミトコンドリアでのATP産生に依存するため、エネルギー代謝の状態が直接影響する。 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 [生理学] 筋肉, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 内分泌, 臨床検査
夜間低血糖 (やかんていけっとう) Nocturnal hypoglycemia
就寝前の糖質摂取により血糖値が急上昇し、その反動で睡眠中に血糖値が過度に低下する状態。脳が危機を感知してアドレナリンを放出し、交感神経を緊急発動させることで、中途覚醒や悪夢、食いしばりが発生する。 [生化学] 自律神経, 内分泌, 臨床検査