用語集
全60件の神経科学用語を収録しています。
- 中大脳動脈
- 大脳外側面の広範囲を支配する最大の脳血管。言語野(ブローカ・ウェルニッケ)や前頭眼野を含む。その枝であるレンズ核線条体動脈は脆弱で、高血圧による破綻が錐体路への致命的なダメージを招く。 [神経解剖学] 脳, 脊髄, 運動, 自律神経, 血管・循環, 眼・視覚
- 前大脳動脈
- 大脳の内側面と上側面を支配する主要な脳血管。帯状回や下肢の運動・感覚エリアを支配し、この動脈の障害は足の麻痺や歩行困難に直結する。 [神経解剖学] 脳, 感覚, 運動, 血管・循環
- CeLC
- 扁桃体中心核の外側部分(Centrolateral part of Central nucleus)。自律神経反応を制御する重要な領域。 [神経解剖学] 脳, 自律神経, 情動・心理
- 側坐核
- 報酬系の中枢的な脳領域。ポジティブな刺激により活性化され、ドーパミン放出、ATP産生、内因性オピオイド産生を促進する。患者の意欲(モチベーション)の再燃に重要な役割を果たす。 [神経解剖学] 痛み, 情動・心理
- ブロードマンエリア6番
- 高次運動野(premotor cortex)の位置。ミラーニューロンが豊富に存在し、観察による暖機運転や動画刺激による運動プログラムの発火を担当する脳領域。 [神経解剖学] 脳, 運動
- 後大脳動脈
- 後頭葉の視覚野(エリア17, 18, 19)を支配する脳血管。視力に問題がないのに「見えづらい」と訴える場合、PCA領域の血流低下による皮質の画像化エラーを疑う必要がある。 [神経解剖学] 脳, 血管・循環, 眼・視覚, 臨床検査
- 情動学習
- 扁桃体を中心とした神経回路による学習機構。恐怖条件付けなど、情動を伴う経験から学ぶプロセス。 [神経解剖学] 脳, 情動・心理
- レンズ核線条体動脈
- 中大脳動脈の枝で、脳卒中動脈とも呼ばれる。非常に脆弱で、高血圧等による破綻が錐体路への致命的なダメージを招く。脳卒中の最も一般的な原因の一つ。 [神経解剖学] 脳, 脊髄, 運動, 自律神経, 血管・循環
- 扁桃体
- 大脳辺縁系に属する器官で、恐怖や不快感などの情動を処理し、刺激を報酬と懲罰に分別する。中心核、基底外側核、外側核から構成される。 [神経解剖学] 脳, 情動・心理
- アブミ骨筋 (あぶみこつきん)
- 顔面神経(CN VII)が支配する筋肉で、アブミ骨を蝸牛の窓から引き離し、内耳への振動入力を物理的に制限する。この反射の消失は聴覚過敏を招く。 【図解】第30回講義ノート 図2:三叉・顔面神経による聴覚調整機構 [神経解剖学] 筋肉, 末梢神経, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 一次運動野 (いちじうんどうや)
- 大脳皮質の前頭葉に位置する運動の最終出力部位。随意運動の指令を発し、皮質脊髄路の起始部となる。 [神経解剖学] 脳, 脊髄, 運動
- エディンガー・ウェストファル核 (えでぃんがー・うぇすとふぁるかく)
- 中脳にある動眼神経の副交感神経核。瞳孔括約筋と毛様体筋を支配し、対光反射と調節反射を制御する。 [神経解剖学] 筋肉, 脳, 末梢神経, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 臨床検査
- 延髄傍巨大細胞網様核 (えんずいぼうきょだいさいぼうもうようかく)
- PAG(中脳水道周囲灰白質)からの鎮痛指令を脊髄後角へ伝達する下降性疼痛抑制系の中継核。μオピオイド受容体が集中し、強力な下降性抑制を実行する。 [神経解剖学] 脳, 脊髄, 痛み
- オニオンスキン配置 (おにおんすきんはいち)
- 三叉神経脊髄路核における顔面感覚の玉ねぎ状配置。中心(口周囲)が吻側レベル、外側(側頭部・耳周囲)が尾側レベルに対応する。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 [神経解剖学] 脊髄, 末梢神経, 感覚
- オニオンスキン配置 (おにおんすきんはいち)
- 三叉神経脊髄路核における顔面の感覚局在の配置様式。顔面の感覚情報が「玉ねぎの層状構造」のように同心円状に配置され、顔面中心部(口周囲)が脊髄路核の尾側(上位頸髄レベル)に、顔面外側部(耳周囲・側頭部)が脊髄路核の吻側(延髄レベル)に対応する。この配置により、脳幹病変の局在診断が可能となる。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 [神経解剖学] 脳, 脊髄, 末梢神経, 感覚, 臨床検査
- 外側前頭皮質 (がいそくぜんとうひしつ)
- BA9,10,11,46,47。行動の段取り・実行機能・空間認知を司る前頭皮質外側部。障害されると自発性低下・空間認知エラーが生じる。 [神経解剖学]
- 下丘 (かきゅう)
- 中脳に位置する聴覚伝達路の重要な中継核で、左右の聴覚情報の統合と反射的な音源定位を担う。第5次ニューロンの段階。 [神経解剖学] 脳, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 蝸牛 (かぎゅう)
- 内耳に位置する渦巻き状の器官で、音の振動を電気信号に変換する聴覚の中枢。コルチ器を内部に含み、周波数ごとに異なる部位が反応する。 [神経解剖学] 聴覚・前庭
- 口蓋帆張筋 (こうがいはんちょうきん)
- 三叉神経が支配する筋肉で、嚥下時に収縮して耳管を開放し、中耳の内圧調整を行う。副交感神経性の耳神経節に近接しており、風邪などで機能不全を起こしやすい。 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経解剖学] 筋肉, 末梢神経, 自律神経, 聴覚・前庭, 嚥下・発声
- 硬膜 (こうまく)
- 脳と脊髄を覆う最も外側の髄膜。三叉神経の硬膜枝が分布し、緊張や捻れを痛み信号として伝える。 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 [神経解剖学] 脊髄, 末梢神経, 痛み
- 硬膜枝 (こうまくし)
- 三叉神経の第2枝(上顎神経)および第3枝(下顎神経)から分岐し、脳硬膜に分布する感覚神経線維。 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 [神経解剖学] 脊髄, 末梢神経, 感覚
- 膠様質 (こうようしつ) Substantia gelatinosa
- 脊髄後角の第2層に位置する部位。C線維(鈍い痛み・温度感覚)が集中的に入力される。抑制性介在ニューロンが豊富で、痛みのゲートコントロールの主要な場となる。ゼラチン状の外観からこの名がついた。 [神経解剖学] 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚
- 骨迷路 (こつめいろ)
- 側頭骨内に形成された骨性の空間で、蝸牛と半規管を包含する。内部のリンパ液を共有するため、一方の異常が他方に影響を及ぼす。 [神経解剖学] 聴覚・前庭
- 鼓膜張筋 (こまくちょうきん)
- 三叉神経(CN V)が支配する筋肉で、槌骨に付着して鼓膜を緊張させる。過大な音の振動を減弱させ、聴覚を保護する。 【図解】第30回講義ノート 図2:三叉・顔面神経による聴覚調整機構 [神経解剖学] 筋肉, 末梢神経, 聴覚・前庭
- コルチ器 (こるちき)
- 蝸牛内に位置する感覚器官で、有毛細胞が音の振動を電気信号に変換する。聴覚伝達路の第1次ニューロンの起点となる。 【図解】第30回講義ノート 図1:聴覚伝達路の多段階構造(第7次ニューロンまで) [神経解剖学] 感覚, 聴覚・前庭
- 三叉神経脊髄路核 (さんさしんけいせきずいろかく)
- 三叉神経の感覚情報を処理する延髄レベルの核。V1・V2・V3の線維が腹側から背側へコラム状に配置され、顔面の感覚局在を形成する。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 [神経解剖学] 脳, 脊髄, 末梢神経, 感覚
- 耳介側頭神経 (じかいそくとうしんけい)
- 三叉神経の第3枝(下顎神経)から分岐する感覚神経。耳下腺への分泌神経線維も含む。 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経解剖学] 筋肉, 末梢神経, 感覚, 運動, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
- 耳下腺 (じかせん)
- 唾液腺の一つで、耳の前下方に位置する。アミラーゼを含む唾液を分泌し、消化を助ける。 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経解剖学] 筋肉, 運動, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
- 耳神経節 (じしんけいせつ)
- 副交感神経節の一つで、口蓋帆張筋に近接・経由する。涙腺や唾液腺の分泌調整にも関与し、代謝低下時に機能不全を起こす。 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経解剖学] 筋肉, 運動, 自律神経, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
- 耳神経節 (じしんけいせつ)
- 舌咽神経からの副交感神経線維がシナプスを形成する神経節。耳下腺への分泌神経を中継する。 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経解剖学] 筋肉, 末梢神経, 運動, 自律神経, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
- 上眼瞼挙筋 (じょうがんけんきょきん)
- 上眼瞼を持ち上げる筋肉。動眼神経に支配され、この筋肉の麻痺により眼瞼下垂が生じる。 [神経解剖学] 筋肉, 末梢神経, 眼・視覚
- 上小脳脚 (じょうしょうのうきゃく)
- 小脳と脳幹を結ぶ3つの脚の1つ。三叉神経中脳路核からの固有感覚情報を小脳へ伝える経路。 [神経解剖学] 脳, 末梢神経, 感覚, 運動
- 舌咽神経 (ぜついんしんけい)
- 第9脳神経(CN IX)。舌の後方3分の1の味覚、咽頭の感覚、耳下腺への副交感神経線維を含む。 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経解剖学] 筋肉, 末梢神経, 感覚, 運動, 自律神経, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
- 前帯状回 (ぜんたいじょうかい) Anterior cingulate cortex (ACC)
- 大脳皮質の内側面に位置する帯状回の前部。痛みの感情的・認知的評価(「どれほど辛いか」「どれほど不快か」)を担う。急性痛の情報処理において視床→S1→ACC の経路で活性化し、注意・動機づけ・情動調節にも関与する。慢性痛では過活動状態となり、痛みの「破局化」や「恐怖回避」行動の形成に寄与する。 [神経解剖学] 脳, 痛み, 情動・心理
- 側角 (そくかく) Lateral horn
- 脊髄の灰白質の側方に突出した部分。胸髄・腰髄上部に存在し、交感神経の節前線維の細胞体が集まる自律神経の中枢。痛みの自律神経反応(血圧・心拍変動など)に関与する。 [神経解剖学] 脊髄, 痛み, 自律神経, 血管・循環
- 咀嚼筋 (そしゃくきん)
- 咀嚼運動を担う筋群。咬筋、側頭筋、内側翼突筋、外側翼突筋の4つからなり、三叉神経の下顎神経が支配する。 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 [神経解剖学] 筋肉, 末梢神経, 運動, 臨床検査
- 第一次体性感覚野 (だいいちじたいせいかんかくや)
- S1。頭頂葉に位置し、ホムンクルス(脳内身体地図)を持つ。急性痛では侵害受容器からの信号を受けてS1が活性化し、痛みの正確な部位を特定できる。 [神経解剖学] 脳, 痛み, 感覚
- 台形体核 (だいけいたいかく)
- 脳幹の橋に位置する聴覚伝達路の中継核で、左右の聴覚情報の交差と統合を行う。第2次ニューロンの段階。 [神経解剖学] 脳, 聴覚・前庭
- 帯状束 (たいじょうそく) Cingulum / Cingulate bundle
- 帯状回(前帯状回・後帯状回)の皮質下に走行する白質線維束。パペッツの情動回路の一部を構成し、海馬・扁桃体・視床・前頭前野などを連絡する。大脳皮質連合野からの適切な投射がこの帯状束を通じて情動回路へ流れ込むことで精神の安定が保たれる。不動や廃用により皮質からの投射が低下すると帯状束の「流れが淀み」、うつ状態や慢性痛の過敏化につながる。 [神経解剖学] 脳, 脊髄, 痛み, 情動・心理
- 第二次体性感覚野 (だいにじたいせいかんかくや)
- S2。痛みの情動面(嫌悪・恐怖・拒絶)を処理する。慢性痛ではS1が沈黙しS2のみが異常発火する「S1沈黙・S2発火」現象が起きる。 [神経解剖学] 痛み, 感覚, 情動・心理
- 中心窩 (ちゅうしんか)
- 網膜の中央部にある視力が最も鋭敏な領域。錐体細胞が密集し、視覚情報の精密な処理を担う。 [神経解剖学] 眼・視覚
- 中脳腹側被蓋野 (ちゅうのうふくそくひがいや)
- 中脳辺縁ドパミン系の起始核(VTA)。内因性オピオイドの産生・放出を制御する鎮痛の司令塔。眼球運動による中脳活性化の連鎖でVTAが覚醒し、側坐核を再起動させる。 [神経解剖学] 脳, 痛み, 運動, 眼・視覚
- 中脳辺縁ドパミン系 (ちゅうのうへんえんどぱみんけい)
- VTA(中脳腹側被蓋野)を起始とし、内側前脳束を経由して側坐核・扁桃体・海馬・前帯状回・前頭前野へ広大な投射を行う報酬・鎮痛の中枢システム。慢性疼痛では機能低下する。 [神経解剖学] 脳, 痛み, 運動, 情動・心理
- 中脳路核 (ちゅうのうろかく)
- 三叉神経の固有感覚(深部感覚)を処理する核。咀嚼筋や歯根膜からの情報を受け取り、上小脳脚を通って同側の小脳へ直接入力される。 [神経解剖学] 筋肉, 脳, 末梢神経, 感覚, 運動
- 聴覚野 (ちょうかくや)
- 側頭葉に位置する大脳皮質の領域で、聴覚情報の最終的な処理と認識を行う。聴覚伝達路の第7次ニューロンの終点。 【図解】第30回講義ノート 図1:聴覚伝達路の多段階構造(第7次ニューロンまで) 【図解】第31回講義ノート 図2:聴覚路の第7次ニューロン伝達と大脳皮質の左右性 [神経解剖学] 脳, 聴覚・前庭
- 槌骨 (つちこつ)
- 中耳の耳小骨の一つで、鼓膜に付着して振動を砧骨に伝える。鼓膜張筋が付着し、音の伝達効率を調整する。 [神経解剖学] 筋肉, 聴覚・前庭
- デルマトーム (でるまとーむ) Dermatome
- 単一の脊髄神経後根が支配する皮膚領域。感覚障害の分布から障害部位を推定する際に重要な概念。 [神経解剖学] 脊髄, 感覚
- 島皮質 (とうひしつ) Insular cortex (Insula)
- 大脳皮質の外側溝(シルビウス裂)の奥に位置する皮質領域。痛みの感覚と感情を統合する「痛みの情動的評価」の中枢。内受容感覚(身体内部の状態認識)・共感・嫌悪感にも関与する。幼少期の経験によって発達が左右され、過保護な環境では正常に育たず、成人後の痛み過敏につながる可能性がある。 [神経解剖学] 脳, 痛み, 感覚, 情動・心理
- 内臓求心路 (ないぞうきゅうしんろ) Visceral Afferent Pathway
- 内臓からの感覚情報(侵害刺激を含む)を中枢神経系へ伝える求心性神経経路。発生学的に、内臓専用の上行路は脳へ向けて敷設されず、既存の脊髄後角の同じ入り口(髄節セグメント)を皮膚や筋肉の体性感覚入力と共有する。この解剖学的特性が集約説の基盤であり、関連痛が生じる根本原因となっている。 [神経解剖学] 筋肉, 内臓, 脊髄, 感覚
- 内側前頭皮質 (ないそくぜんとうひしつ)
- BA24,25,32。相手の気持ちを察する・共感する・場の状況を読む高度な社会性を司る。機能低下で「空気が読めない(KY)」現象が生じる。 [神経解剖学]