用語集
全55件の神経科学用語を収録しています。
- 1A線維 (いちえーせんい)
- 筋紡錘からの情報を伝える太い有髄神経線維。深部固有感覚を担い、姿勢の把握に重要な役割を果たす。 [解剖学] 筋肉, 末梢神経, 感覚, 運動
- 1B線維 (いちびーせんい)
- 腱器官からの情報を伝える太い有髄神経線維。深部固有感覚を担い、姿勢の把握に重要な役割を果たす。 [解剖学] 筋肉, 末梢神経, 感覚, 運動
- Aβ線維 (えーべーたせんい)
- 触覚や振動覚を伝える太い有髄神経線維。深部固有感覚を担い、姿勢の把握に重要な役割を果たす。 [解剖学] 末梢神経, 感覚, 運動
- 横隔神経 (おうかくしんけい) Phrenic Nerve
- C3からC5の神経根から出て、横隔膜の運動を支配する神経。呼吸運動の主役である横隔膜を支配し、横隔膜が十分に可動できず、慢性的な酸欠状態に陥ると、神経のエネルギー(ATP)産生に影響を与え、神経は自己修復すらままならず、痛みは長引く一方となる。 [解剖学] 筋肉, 痛み, 運動
- オトガイ舌筋 (おとがいぜっきん) Genioglossus
- 舌を前方に突き出す運動を担う筋肉で、脳神経12番(舌下神経)に支配される。患者に舌を出してもらった際、どちらかに偏位していれば、それは対側の脳皮質の機能低下を疑うサインとなる。舌は脳の状態を映し出す「鏡」として、神経学的診察において極めて有用な指標である。 [解剖学] 筋肉, 末梢神経, 運動, 嚥下・発声
- 外側系(視床) (がいそくけい) Lateral thalamic system
- 痛みの視床経路の一つ。脊髄から視床の外側核群(腹側後外側核など)を経由して第一次感覚野(頭頂葉)に至る経路。「右指の先がチクッとする」という具体的な痛みの場所・強さ・性質を識別する「情報処理系」を担う。内側系(情動系)と対をなす。 [解剖学] 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 情動・心理
- 外転 (がいてん) Abduction
- 眼球が耳側(外側)に向かう運動。外直筋が主に担当するが、上下斜筋の停止部が眼球の後・外方にあるため、これらの筋肉も外転の力を加える。眼球運動は複数の筋肉による共同運動である。 【図解】第26回講義ノート 図2:眼球の回転軸とATP枯渇のメカニズム [解剖学] 筋肉, 末梢神経, 痛み, 運動, 眼・視覚, 臨床検査
- 顎関節 (がくかんせつ)
- 下顎骨と側頭骨をつなぐ関節。顎の歪みや噛み締めにより顎関節の機能が障害されると、三叉神経の機能低下を引き起こし、口蓋帆張筋の働きが悪くなって耳管の開閉障害が生じる。 [解剖学] 筋肉, 関節, 末梢神経, 聴覚・前庭, 嚥下・発声
- ガッセル神経節 (がっせるしんけいせつ)
- 三叉神経の感覚神経節であり、側頭骨錐体部のメッケル腔に位置する。三叉神経の3つの分枝(眼神経V1、上顎神経V2、下顎神経V3)の感覚線維の細胞体が集まる部位であり、顔面の感覚情報を脳幹に伝達する前に中継される。三叉神経節とも呼ばれる。 [解剖学] 脳, 末梢神経, 感覚, 自律神経, 眼・視覚
- 関節包 (かんせつほう)
- 関節を包む結合組織の袋。内側の滑膜が関節液を産生する。侵害受容器が高密度に分布しており、変形した軟骨片による持続的侵襲でATPが漏出し発痛の源となる。 [解剖学] 関節, 痛み, 感覚
- 胸郭 (きょうかく) Thorax / Thoracic cage
- 肋骨・胸骨・胸椎によって構成されるカゴ状の骨格。肺と心臓を保護し、呼吸運動の基盤となる。胸郭の可動性低下は呼吸筋の機能不全を招き、酸素供給の低下から慢性痛の一因となる。 [解剖学] 筋肉, 内臓, 脊髄, 痛み, 運動
- 筋膜 (きんまく) Fascia
- 筋肉や臓器を包む結合組織の膜。近年の研究では、筋膜が感覚受容器を含み、固有受容覚や侵害受容に関与することが示唆されている。 [解剖学] 筋肉, 内臓, 痛み, 感覚
- 結合腕傍核 (けつごうわんぼうかく) Parabrachial nucleus
- 脳幹の橋(きょう)に位置する核群。進化的に小脳の出入り口(上小脳脚の傍)に位置し、現在では痛み情報を視床を介さず直接扁桃体へ送る「ショートカット路」として機能する。呼吸・循環・味覚・睡眠のコントロールセンターのすぐ隣に位置するため、これらの機能と痛みの情報が混線しやすい。コロナ後遺症による味覚障害が全身の痛みや情動低下を引き起こす一因とされる。 [解剖学] 脳, 痛み, 運動, 血管・循環, 情動・心理
- 腱器官 (けんきかん)
- 腱に存在し、筋肉の張力を検出する感覚受容器。深部固有感覚の一部を担い、姿勢の把握に重要な役割を果たす。 [解剖学] 筋肉, 感覚, 運動
- 口蓋帆張筋 (こうがいはんちょうきん)
- 軟口蓋の筋肉の一つで、三叉神経の運動枝である下顎神経(V3)の翼突筋神経によって支配される。嚥下や欠伸の際に収縮し、耳管を開放して中耳腔の圧力を調整する。この筋肉の機能不全は、耳管開放症や耳管狭窄症を引き起こす。英語名はtensor veli palatini。 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [解剖学] 筋肉, 末梢神経, 運動, 聴覚・前庭, 嚥下・発声
- 口蓋帆張筋 (こうがいはんちょうきん)
- 耳管の開放を司る筋肉。三叉神経下顎神経(V3)の内側翼突筋神経により支配され、嚥下時に収縮して耳管を開き、中耳腔の気圧を調整する。 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [解剖学] 筋肉, 末梢神経, 聴覚・前庭, 嚥下・発声
- 後下小脳動脈 (こうかしょうのうどうみゃく)
- 椎骨動脈から分岐し、延髄外側と小脳下面を栄養する動脈。英語名はPosterior Inferior Cerebellar Arteryで、略称はPICA。この動脈の閉塞により、ワレンベルグ症候群(延髄外側症候群)が生じる。延髄外側には三叉神経脊髄路核、脊髄視床路、下小脳脚などの重要な神経構造が含まれる。 [解剖学] 脳, 脊髄, 末梢神経, 運動, 血管・循環
- 鼓膜張筋 (こまくちょうきん)
- 鼓膜の緊張を調整する筋肉。三叉神経下顎神経(V3)により支配され、大きな音から内耳を保護する役割を持つ。 【図解】第30回講義ノート 図2:三叉・顔面神経による聴覚調整機構 [解剖学] 筋肉, 末梢神経, 聴覚・前庭
- 耳管 (じかん)
- 中耳腔と鼻咽腔を結ぶ管。通常は閉鎖しているが、嚥下時に口蓋帆張筋が収縮して開放され、中耳腔の気圧を調整する。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第30回講義ノート 図1:聴覚伝達路の多段階構造(第7次ニューロンまで) 【図解】第30回講義ノート 図2:三叉・顔面神経による聴覚調整機構 [解剖学] 筋肉, 脊髄, 末梢神経, 聴覚・前庭, 嚥下・発声
- 子宮間膜 (しきゅうかんまく) Uterine Ligament / Broad Ligament
- 子宮を骨盤壁に固定する膜状の結合組織。広間膜(こうかんまく)とも呼ばれる。子宮は正中線に位置する臓器であり、脳に対して身体の中心位置を示す固有受容情報を常に発信している。骨盤の歪みや不良姿勢により子宮間膜が一方向へ牽引(ねじれ)されると、脳への位置情報にエラーが発生し、集約説を介して首の痛み、腰痛、肩こり、めまいなど全身の不定愁訴を誘発する。 [解剖学] 関節, 内臓, 痛み, 感覚, 運動, 聴覚・前庭
- 歯根膜 (しこんまく)
- 歯根と歯槽骨の間にある結合組織。咀嚼時の圧力を感知し、三叉神経中脳路核を介して小脳へ情報を伝える。 [解剖学] 脳, 末梢神経, 運動
- 視軸 (しじく) Visual Axis
- 眼球の中心(黄斑)と注視点を結ぶ仮想的な直線。外眼筋の作用を理解する上で重要な概念であり、視軸と筋の長軸が重なる角度で筋肉は最大作用を発揮する。 【図解】第26回講義ノート 図1:外眼筋の最大作用角度:23度と50度の戦略 [解剖学] 筋肉, 眼・視覚
- 視床下部 (ししょうかぶ) Hypothalamus
- 間脳に位置し、自律神経系とホルモン系(内分泌系)の最高司令塔。体温・血圧・心拍・食欲・睡眠・性行動・ストレス反応などを統合的に調節する。痛み情報が視床下部に入力されると、心拍数上昇・血圧変動・ストレスホルモン(コルチゾール)分泌が促進される。閉経に伴うホルモン低下は視床下部を介した痛み抑制機構を弱め、50代以降の女性に不定愁訴が増加する一因となる。 [解剖学] 脳, 痛み, 自律神経, 血管・循環, 内分泌, 情動・心理
- 篩板 (しばん) Cribriform Plate
- 頭蓋底の篩骨にある多孔性の骨板。嗅神経と前篩骨神経が通過する。外傷により篩板付近の微細な神経が損傷されると、角膜の感覚入力が鈍化し、涙の分泌反射が機能不全に陥る。 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム [解剖学] 末梢神経, 感覚, 運動, 眼・視覚, 臨床検査
- 尺骨神経 (しゃっこつしんけい) Ulnar Nerve
- 内側神経束から分岐する末梢神経で、手の内在筋や小指側の感覚を支配する。主にC8とT1の神経根要素を含み、前腕の屈筋群の一部、手の内在筋(特に小指球筋や骨間筋)、小指と薬指の尺側半分の感覚を支配する。肘部管症候群やギヨン管症候群など、絞扼障害の好発部位として臨床的に重要である。 [解剖学] 筋肉, 末梢神経, 感覚
- 神経幹 (しんけいかん) Trunk
- 腕神経叢の第一段階の構造で、上幹・中幹・下幹の三つに分かれる。C5とC6が合流して上幹(じょうかん)、C7が独立して中幹(ちゅうかん)、C8とT1が合流して下幹(げかん)を形成する。各神経幹はその後、体の前面(屈筋群)へ向かう前部と、背面(伸筋群)へ向かう後部に分岐する。 [解剖学] 筋肉, 末梢神経
- 神経束 (しんけいそく) Cord
- 腕神経叢の第三段階の構造で、外側神経束・内側神経束・後神経束の三つに分かれる。前部と後部に分かれた繊維が再び集まり、外側神経束(がいそくしんけいそく)、内側神経束(ないそくしんけいそく)、後神経束(こうしんけいそく)の三つの束を形成する。これらの神経束から、正中神経、尺骨神経、橈骨神経などの末梢神経が分岐する。 [解剖学] 脊髄, 末梢神経
- 髄鞘 (ずいしょう) Myelin sheath
- 神経線維(軸索)を取り巻く絶縁性の脂質膜。電気信号の伝導速度を高め、外部からの圧迫や損傷から神経を保護する。髄鞘が薄いC線維やAδ線維は圧迫に弱く、感作が起こりやすい。 [解剖学] 末梢神経, 痛み
- 髄板内核 (ずいばんないかく) Intralaminar nuclei of thalamus
- 視床の内側に位置する核群の総称。内側系(情動系)の中継点として、脊髄からの痛み情報を扁桃体・帯状回・前頭前野などの辺縁系に伝える。意識・覚醒・注意の調節にも関与する。慢性痛の形成において、この経路を通じた扁桃体への繰り返し入力が「痛みの記憶」を固定化させる。 [解剖学] 脳, 脊髄, 痛み, 情動・心理
- 髄膜 (ずいまく) Meninges
- 脳と脊髄を包む3層の膜(硬膜・くも膜・軟膜)の総称。侵害受容器が密集しており、脳疾患(くも膜下出血・髄膜炎など)では激しい頭痛を伴う。脳実質には侵害受容器が存在しないため、開頭手術中に会話が可能だが、髄膜への刺激は強烈な痛みを生じさせる。 [解剖学] 脊髄, 痛み, 感覚
- 正中神経 (せいちゅうしんけい) Median Nerve
- 外側神経束と内側神経束の両方から繊維を受け取る末梢神経で、C5からT1までのすべての神経根要素を含む。腕神経叢から分岐する主要な末梢神経の一つで、正中神経エリアの広範な障害が何を意味するのか、中枢(脳)への影響を含めた深い考察が可能となる。 [解剖学] 末梢神経
- 脊髄小脳路 (せきずいしょうのうろ)
- 脊髄から小脳へ筋・腱・関節からの固有感覚情報を伝える神経路。無意識的な姿勢制御や運動協調に関与し、1A・1B線維からの入力を小脳へ届ける。 [解剖学] 筋肉, 関節, 脳, 脊髄, 感覚, 運動
- 節後線維 (せつごせんい) Postganglionic fiber
- 自律神経節(交感神経節・副交感神経節)から効果器(臓器・血管・汗腺など)に向かう神経線維。交感神経の節後線維はノルアドレナリンを放出する無髄のC線維と相同性を持つ。交感神経が過活動になると、相同性を介してC線維も共鳴発火し、慢性痛を引き起こす。 [解剖学] 筋肉, 内臓, 末梢神経, 痛み, 自律神経, 血管・循環, 内分泌
- 前庭受容器 (ぜんていじゅようき)
- 内耳に存在する平衡感覚を司る受容器。頭部の加速度や重力方向を感知し、有毛細胞のチップリンクを介して物理的刺激を電気信号に変換する。前庭神経系の末梢部分を構成し、姿勢制御や眼球運動の調整に不可欠な役割を果たす。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学では、チップリンクの力学的メカニズムとイオンチャネルによる電位変換の詳細を解説している。 【図解】第32回講義ノート 図1:前庭有毛細胞のチップリンク構造と働き [解剖学] 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭
- 前庭神経系 (ぜんていしんけいけい)
- 内耳の前庭器官から脳へ平衡感覚の情報を伝える神経系。小脳とともに視線の固定とバランスの維持に重要な役割を果たす。 [解剖学] 脳, 感覚, 運動, 聴覚・前庭
- 第一次感覚野 (だいいちじかんかくや) Primary somatosensory cortex
- 大脳皮質の頭頂葉に位置する感覚処理の中枢(ブロードマン3・1・2野)。身体の各部位からの触覚・痛覚・温度覚・固有感覚情報を受け取り処理する。身体の各部位が脳内に「地図(ホムンクルス)」として表現されており、末梢からの入力が途絶えると地図が書き換えられ(神経可塑性)、幻肢痛などの原因となる。 [解剖学] 脳, 痛み, 感覚
- チップリンク (ちっぷりんく)
- 有毛細胞の不動毛同士を繋ぐバネ状の微細構造。物理的な頭部の傾きを機械受容性イオンチャネルのゲート開閉に直結させる。老化や急激な回旋運動により損傷すると、前庭系の情報エラーが恒常化する恐れがある。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学(図1:チップリンクの構造と働き)では、チップリンクの力学的メカニズムを詳細に解説している。 【図解】第32回講義ノート 図1:前庭有毛細胞のチップリンク構造と働き [解剖学] 関節, 運動, 聴覚・前庭
- 中空性臓器 (ちゅうくうせいぞうき) Hollow Viscus / Hollow Organ
- 内部に空洞(管腔)を持つ臓器の総称。胃、腸管、膀胱、尿管、胆管、子宮などが含まれる。中空性臓器の侵害受容器は切開には反応しないが、異常な拡張(膨張)や強い牽引、深刻な炎症に対して激しい痛みを発する特性を持つ。この特性は内臓痛の臨床的特徴を理解する上で重要である。 [解剖学] 内臓, 痛み, 感覚
- 中脳水道周囲灰白質 (ちゅうのうすいどうしゅういはいはくしつ) Periaqueductal gray (PAG)
- 中脳の中心管(中脳水道)を取り囲む灰白質領域。下降性疼痛調整系の主要な起点であり、脳内のオピオイド受容体が高密度に分布する。PAGが活性化されると、延髄を経由して脊髄後角での痛み信号の伝達が抑制される(内因性鎮痛)。モルヒネなどのオピオイド鎮痛薬はこの領域に作用する。ストレスや強い感情によっても活性化される(ストレス誘発性鎮痛)。 [解剖学] 脳, 脊髄, 痛み, 情動・心理, 臨床検査
- 中脳網様体 (ちゅうのうもうようたい)
- 中脳に存在する神経核の集合体。垂直方向の眼球運動や姿勢制御に関与し、前庭系からの情報を統合して運動出力を調整する。姿勢の崩れ(猫背や顎上がり)に伴う眼位の変位は、この領域に多大な負荷を与える。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学、第17回講義ノート:橋網様体と延髄網様体の拮抗バランス。 [解剖学] 脳, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭
- 腸腰筋 (ちょうようきん)
- 腰椎と大腿骨を結ぶ筋肉。座位での股関節屈曲位が続くと過収縮を起こし、みぞおち付近に痛みを生じるため、患者が「胃が悪い」と誤認することがある。辺縁系の機能低下(ワインドダウン)にも関連する。 [解剖学] 筋肉, 関節, 内臓, 脳, 脊髄, 痛み, 情動・心理
- 停止部 (ていしぶ) Insertion
- 筋肉が骨や他の組織に付着する部位。外眼筋の場合、上下直筋の停止部は眼球の前・内方にあり、上下斜筋の停止部は眼球の後・外方にある。この解剖学的配置が各筋肉の作用方向を決定する。 [解剖学] 筋肉, 眼・視覚
- 橈骨神経 (とうこつしんけい) Radial Nerve
- 後神経束から分岐する末梢神経で、上肢の伸筋群を支配する。C5からC8の神経根要素を含み、上腕三頭筋、前腕の伸筋群、手背の感覚を支配する。「下垂手(drop hand)」と呼ばれる特徴的な症状を呈する橈骨神経麻痺は、臨床現場でよく遭遇する障害である。 [解剖学] 筋肉, 末梢神経, 感覚
- 動毛 (どうもう)
- 有毛細胞の先端に存在する1本の長い感覚毛。不動毛とともにチップリンクで繋がれており、動毛側への傾斜時にイオンチャネルが開いて興奮が生じる。前庭系の方向選択性を決定する重要な構造要素である。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学(図1:チップリンクの構造と働き)。 【図解】第32回講義ノート 図1:前庭有毛細胞のチップリンク構造と働き [解剖学] 感覚, 聴覚・前庭
- 内側系(視床) (ないそくけい) Medial thalamic system
- 痛みの視床経路の一つ。脊髄から視床の髄板内核群を経由して扁桃体・帯状回・前頭前野などの辺縁系に至る経路。「嫌だ、怖い、逃げたい」という痛みの不快感・情動・記憶形成を担う「情動系」。急性痛でも扁桃体に恐怖が刻まれ、適切に処理されないと慢性痛の温床となる。外側系(識別系)と対をなす。 [解剖学] 脳, 脊髄, 痛み, 情動・心理
- 内転 (ないてん) Adduction
- 眼球が鼻側(内側)に向かう運動。内直筋が主に担当するが、上下直筋の停止部が眼球の前・内方にあるため、これらの筋肉も内転の力を加える。眼球運動は複数の筋肉による共同運動である。 【図解】第26回講義ノート 図2:眼球の回転軸とATP枯渇のメカニズム [解剖学] 筋肉, 痛み, 運動, 眼・視覚, 臨床検査
- PICA (ぴか)
- 後下小脳動脈(Posterior Inferior Cerebellar Artery)の略称。椎骨動脈から分岐し、延髄外側と小脳下面を栄養する動脈。この動脈の閉塞により、ワレンベルグ症候群(延髄外側症候群)が生じる。延髄外側には三叉神経脊髄路核、脊髄視床路、下小脳脚などの重要な神経構造が含まれる。 [解剖学] 脳, 脊髄, 末梢神経, 運動, 血管・循環
- 尾側 (びそく)
- 神経解剖学における方向を示す用語で、尾側(尾側)を意味する。脳幹においては、脊髄に近い側を尾側、中脳に近い側を吻側と呼ぶ。三叉神経脊髄路核のオニオンスキン配置では、顔面の中心部(口周囲)の感覚情報が尾側(延髄下部〜上位頸髄)に対応する。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 [解剖学] 脳, 脊髄, 末梢神経, 感覚
- 副腎髄質 (ふくじんずいしつ)
- 副腎の内側部分。交感神経の刺激を受けてアドレナリン・ノルアドレナリンを分泌し、急性ストレス反応(脈拍・血圧・呼吸数の増加)を引き起こす。 [解剖学] 内臓, 自律神経, 血管・循環, 内分泌, 情動・心理
- 不動毛 (ふどうもう)
- 有毛細胞の先端に階段状に配列された複数の感覚毛。動毛とチップリンクで繋がれており、不動毛同士もチップリンクで連結されている。不動毛側への傾斜時にはチャネルが閉じて抑制が生じる。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学(図1:チップリンクの構造と働き)。 【図解】第32回講義ノート 図1:前庭有毛細胞のチップリンク構造と働き [解剖学] 感覚, 聴覚・前庭