用語集

全217件の神経科学用語を収録しています。

前大脳動脈
大脳の内側面と上側面を支配する主要な脳血管。帯状回や下肢の運動・感覚エリアを支配し、この動脈の障害は足の麻痺や歩行困難に直結する。 [神経解剖学] 脳, 感覚, 運動, 血管・循環
情動学習
扁桃体を中心とした神経回路による学習機構。恐怖条件付けなど、情動を伴う経験から学ぶプロセス。 [神経解剖学] 脳, 情動・心理
CeLC
扁桃体中心核の外側部分(Centrolateral part of Central nucleus)。自律神経反応を制御する重要な領域。 [神経解剖学] 脳, 自律神経, 情動・心理
パーキンソン病
黒質のドパミン神経が変性する神経変性疾患。静止時振戦、筋固縮、無動などの症状を呈する。基底核の直接路・間接路の不全が原因。 [病態生理学] 筋肉, 脳, 運動
エピソード記憶
特定の時間と場所に関連した個人的な経験の記憶。扁桃体の活動性が低い場合、危険な経験から学ぶまでに通常より長時間を要する。 [神経学] 脳, 情動・心理
瞬目反射
眉間をタッピングすると瞼が反射的に閉じる反応。基底核や脳幹の抑制予備力を測る検査で、4回目以降も反応が続く場合はTND(異常神経興奮状態)の可能性がある。 [臨床神経学] 脳, 運動, 臨床検査
黒質
中脳に位置し、ドパミンを産生する神経細胞が集中している領域。パーキンソン病では黒質のドパミン神経が変性する。 [運動系] 脳, 運動
直接路
大脳基底核における神経経路の一つで、黒質からのドパミン投射により活性化され、運動を促進する(アクセル役)。 [運動系] 脳, 運動
皮質橋小脳路
皮質橋小脳路(CPCT)は、大脳皮質から橋核を経由し、小脳へと投射する主要な運動制御経路である。この経路は、随意運動の計画、協調、および学習に不可欠であり、特に複雑な運動や姿勢制御の洗練に関与する。損傷すると、運動失調(アタキシア)を引き起こす。 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム [神経系] 脳, 痛み, 運動, 臨床検査
基底核
大脳皮質からの入力を受け、視床への出力を調整することで、適切な運動を可能にする神経核群。直接路と間接路の二つの経路を持つ。 [運動系] 脳, 運動
ドパミン
中脳の黒質から産生される神経伝達物質で、運動制御、報酬系、情動に関与する。パーキンソン病ではドパミン不足が症状を引き起こす。 [生化学] 脳, 運動, 情動・心理
上位中枢
上位中枢(じょういちゅうすう)とは、脳や脊髄(せきずい)といった中枢神経系(ちゅうすうしんけいけい)のなかで、特に高度な情報処理や意思決定、複雑な運動の計画などを司る領域のことです。具体的には、大脳皮質(だいのうひしつ)や小脳(しょうのう)などがこれにあたります。これらは、反射などの基本的な機能を担う下位中枢(かいちゅうすう)を統合・制御し、人間らしい複雑な行動や思考を実現する最高司令部のような役割を果たしています。 【図解】第19回講義ノート 図2:単シナプス反射の三層構造 [神経系] 脳, 脊髄, 運動, 臨床検査
脊髄
脊髄(せきずい)は、背骨(せぼね)の中を通る、太い神経の束です。脳と体の各部分を結ぶ主要な通信ケーブルのような役割を果たしており、脳からの指令を手足や内臓に伝えたり、体からの感覚情報(痛み、触覚、温度など)を脳に送り返したりしています。また、脳の関与なしに素早い反応を可能にする「反射」の中枢でもあります。脊髄の健康は、体の動きや感覚に直結する非常に重要な要素です。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第7回講義ノート 図1:下降性疼痛抑制系の構造 【図解】第8回講義ノート 図2:皮質脊髄路(錐体路)の経路 【図解】第9回講義ノート 図1:錐体外路の主要経路 【図解】第12回講義ノート 図1:運動制御の階層構造 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第21回講義ノート 図1:下降性調整経路の全体像 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 [神経系] 内臓, 脳, 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
脳幹
脳幹(のうかん)は、大脳(たいのう)と脊髄(せきずい)をつなぐ、脳の土台のような重要な部分です。主に中脳(ちゅうのう)、橋(きょう)、延髄(えんずい)の三つの部分から成り立っています。呼吸や心拍、血圧の調整、意識の維持など、生命維持に不可欠な基本的な機能をコントロールしています。また、顔や目、舌などを動かすための神経(脳神経)の通り道や出発点でもあります。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第31回講義ノート 図2:聴覚路の第7次ニューロン伝達と大脳皮質の左右性 [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 末梢神経, 運動, 自律神経, 血管・循環, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 嚥下・発声
大脳皮質
大脳皮質(だいのうひしつ)は、大脳の最も外側を覆う、しわの寄った灰色の層です。人間の思考、記憶、言語、意識的な運動など、高次の精神機能(こうじのせいしんきのう)を司る「司令塔」のような役割を果たしています。この皮質は、感覚情報を受け取って処理し、複雑な意思決定を行う中枢であり、局在神経学では、特定の機能が皮質の特定の領域(例:運動野、体性感覚野)に割り当てられていることが重要な概念となります。 【図解】第7回講義ノート 図1:下降性疼痛抑制系の構造 【図解】第8回講義ノート 図2:皮質脊髄路(錐体路)の経路 【図解】第12回講義ノート 図1:運動制御の階層構造 【図解】第21回講義ノート 図1:下降性調整経路の全体像 【図解】第22回講義ノート 図1:縦橋線維と橋核の構造 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第31回講義ノート 図2:聴覚路の第7次ニューロン伝達と大脳皮質の左右性 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 運動, 聴覚・前庭
運動野
運動野(うんどうや)は、大脳皮質(だいのうひしつ)の前頭葉(ぜんとうよう)に位置し、私たちが意図的に体を動かすための指令を生み出す、司令塔のような領域です。手足を動かす、顔の表情を作るなど、すべての随意運動(ずいいうんどう)の計画と実行の最終的な出発点となります。特に、一次運動野(いちじうんどうや)は、体の各部位に対応した地図(体部位局在:たいぶいきょくざい)を持っており、ここから出た信号が脊髄(せきずい)を通って筋肉に伝わり、運動が実現されます。 【図解】第12回講義ノート 図1:運動制御の階層構造 [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 運動
遠心性コピー
遠心性コピー(えんしんせいコピー)とは、運動指令が大脳皮質(だいのうひしつ)の運動野から筋肉へ送られる際に、その指令の「複製(コピー)」が感覚を処理する脳の領域にも同時に送られる現象です。このコピーは、自分の運動によって生じる感覚(例えば、腕を動かしたときの皮膚の感覚など)を予測し、その予測と実際の感覚を比較するために使われます。これにより、脳は外部からの刺激による感覚と、自分の動きによる感覚を区別し、運動の正確な調整や、知覚の安定性を保つ役割を果たしています。 【図解】第12回講義ノート 図2:遠心性コピー(エフェレンスコピー)の仕組み [神経系] 筋肉, 脳, 感覚, 運動
小脳
小脳(しょうのう)は、大脳(たいのう)の後ろ下部に位置する、小さな脳の構造です。主な役割は、運動の協調性(きょうちょうせい)とバランスの維持(いじ)です。私たちが滑らかに歩いたり、正確に物に手を伸ばしたりできるのは、小脳が運動の計画と実行の誤差を修正しているからです。平衡感覚(へいこうかんかく)や姿勢の制御にも不可欠で、障害されると運動失調(うんどうしっちょう)というふらつきが生じます。 【図解】第12回講義ノート 図1:運動制御の階層構造 【図解】第12回講義ノート 図2:遠心性コピー(エフェレンスコピー)の仕組み 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第16回講義ノート 図2:小脳と大脳基底核の協調:動と静のバランス 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第22回講義ノート 図1:縦橋線維と橋核の構造 【図解】第22回講義ノート 図2:中小脳脚の入出力関係 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭
随意運動
随意運動(ずいいうんどう)とは、「自分の意思で始める、目的を持った動き」のことです。例えば、手を伸ばしてコップを取る、歩き出すといった動作がこれにあたります。脳の大脳皮質(だいのうひしつ)にある運動野(うんどうや)から指令が出され、脊髄(せきずい)を通って筋肉に伝わることで実現します。この運動は、私たちが日常生活を送る上で不可欠な、最も能動的な動作の基盤となっています。 【図解】第3回講義ノート 図2:刺激から動きへの流れ(5ステップ) [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 運動
反射運動
反射運動(はんしゃうんどう)とは、熱いものに触れた際に思わず手を引っ込めるなど、外部からの刺激に対して、脳の意識的な関与なしに、脊髄(せきずい)や脳幹(のうかん)といった神経回路が自動的に引き起こす素早い反応のことです。これは体を危険から守るための重要な防御機構であり、刺激と反応の間を仲介する神経経路を反射弓(はんしゃきゅう)と呼びます。意識的な思考よりも速く行動できるのが特徴です。 [神経系] 脳, 脊髄, 運動, 臨床検査
付随運動
付随運動(ふずいうんどう)とは、意図的に特定の動作を行った際に、意識せずに同時に生じる、補助的かつ協調的な運動のことです。例えば、歩行時に腕が自然に振られる動きや、片側の手で物を掴む際に反対側の手がわずかにバランスを取る動きなどがこれにあたります。これらは主要な動作を円滑にし、姿勢の安定や効率的な運動の遂行を助ける重要な役割を果たしています。大脳基底核(だいのうきていかく)などの運動調節に関わる部位によって制御されています。 [神経系] 脳, 運動
感覚
感覚(かんかく)とは、私たちが外界や自分の体の状態を認識するための基本的な情報収集の仕組みです。目(視覚)、耳(聴覚)、鼻(嗅覚)、舌(味覚)による特殊な感覚と、皮膚や筋肉、関節などから得られる触覚、痛覚、温度覚、位置覚などの体性感覚(たいせいかんかく)に分けられます。これらの情報は神経を通じて脳に送られ、私たちが世界を理解し、適切に行動するための土台となります。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第7回講義ノート 図2:ロンベルグ検査と姿勢制御 【図解】第8回講義ノート 図1:感覚―運動ループの仕組み 【図解】第13回講義ノート 図1:急性痛と慢性痛の違い 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 【図解】第14回講義ノート 図1:感覚運動ループと自律神経の関係 【図解】第14回講義ノート 図2:T6(胸椎6番)を境界とした筋群の分布 【図解】第15回講義ノート 図1:しびれの二つのタイプ:知覚鈍麻と知覚異常 【図解】第15回講義ノート 図2:感覚検査における情報処理の滞り 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第16回講義ノート 図2:小脳と大脳基底核の協調:動と静のバランス 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第21回講義ノート 図1:下降性調整経路の全体像 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経系] 筋肉, 関節, 脳, 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
扁桃体
大脳辺縁系に属する器官で、恐怖や不快感などの情動を処理し、刺激を報酬と懲罰に分別する。中心核、基底外側核、外側核から構成される。 [神経解剖学] 脳, 情動・心理
間接路
大脳基底核における神経経路の一つで、黒質からのドパミン投射により抑制され、運動を抑制する(ブレーキ役)。 [運動系] 脳, 運動
辺縁系
辺縁系(へんえんけい)は、脳の奥深く、大脳(だいのう)の中心部を取り囲むように位置する神経構造の集まりです。主に感情、記憶、意欲、そして学習といった、人間らしい心の働きを司っています。特に「扁桃体(へんとうたい)」が恐怖や喜びなどの感情処理を担い、「海馬(かいば)」が新しい記憶の形成に重要な役割を果たしていることが特徴です。生命維持に必要な本能的な行動とも深く関連しています。 【図解】第24回講義ノート 図2:嗅覚経路と辺縁系:感情と痛みの交差点 [神経系] 脳, 痛み, 情動・心理
中脳水道周辺灰白質
中脳水道周辺灰白質(ちゅうのうすいどうしゅうへんかいはくしつ)は、脳幹(のうかん)の中脳(ちゅうのう)にある、脳脊髄液(のうせきずいえき)が流れる水道の周りを取り囲む灰色の神経細胞の集まりです。特に「痛みの制御」に重要な役割を果たしており、ここが活性化することで、脳が自ら痛みを和らげる仕組み(内因性疼痛抑制系)を働かせます。また、恐怖や情動反応、睡眠・覚醒の調整にも関わる、生命維持に不可欠な部位です。 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 情動・心理
触覚
--- 触覚(しょくかく)とは、皮膚を通して外界の物理的な刺激(圧力、振動、接触など)を感じ取る感覚のことです。これは、皮膚に存在する特殊な感覚受容器(しんけいじゅようき)が刺激を受け取り、その情報が末梢神経(まっしょうしんけい)を通って脊髄(せきずい)から大脳皮質(だいのうひしつ)の体性感覚野(たいせいかんかくや)に送られることで認識されます。触覚は、物体を識別したり、痛みや温度を感じるための重要な基盤となる感覚です。 --- 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 [神経系] 脳, 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚
文字覚
文字覚(もじかく)は、文字を見るだけで、その文字が持つ意味や音を瞬時に理解できる、人間の高度な視覚認知機能の一つです。脳の側頭葉(そくとうよう)にある「視覚的単語形式領域(しかくてきたんごけいしきりょういき)」(Visual Word Form Area: VWFA)という特定の領域が、この処理の中心的な役割を果たしています。この領域は、文字の形を抽象的な情報として認識し、言語野(げんごや)へと橋渡しすることで、流暢な読書を可能にしています。 [神経系] 脳, 眼・視覚
運動の企画
運動の企画(うんどうのきかく)とは、私たちが何か行動を起こす前に、その動作をどのように行うか、頭の中で設計図を作成するプロセスです。例えば、「コップを取る」という目標に対し、腕をどれくらいの速さで、どの方向に動かし、指をどれだけ開くかといった詳細な計画を立てます。この機能は主に大脳皮質(だいのうひしつ)の前頭葉(ぜんとうよう)にある補足運動野(ほそくうんどうや)や前運動野(ぜんうんどうや)が担っており、実際の運動実行(じっこう)に先立って、スムーズで目的に合った動きを実現するための準備をしています。 [神経系] 脳, 運動
縁辺細胞
縁辺細胞(えんぺんさいぼう)は、神経系の特定の領域、特に脊髄(せきずい)の後角(こうかく)の最も外側、つまり「縁(ふち)」に位置する神経細胞のグループです。これらの細胞は、皮膚などからの感覚情報、特に痛みや温度といった重要な信号を最初に受け取る役割を担っています。受け取った情報を脊髄内の他の神経細胞や脳へと伝える「感覚入力の最初の門番」のような働きをしており、感覚処理の初期段階において非常に重要です。 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 運動
胸髄核
胸髄核(きょうずいかく)は、脊髄(せきずい)の胸部にある神経細胞の集まりです。主に、体幹や下肢の筋肉や関節から受け取った感覚情報(固有受容感覚)を小脳(しょうのう)へ中継する重要な役割を担っています。この情報伝達により、小脳は体の位置や動きを正確に把握し、バランスや運動の協調性を保つことができます。特に、後脊髄小脳路(こうせきずいしょうのうろ)と呼ばれる伝導路の起点となる細胞群として知られています。 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 [神経系] 筋肉, 関節, 脳, 脊髄, 感覚, 運動
下降性網様体脊髄路
下降性網様体脊髄路(かこうせいもうようたいせきずいろ)は、脳幹(のうかん)にある網様体(もうようたい)から脊髄(せきずい)へ指令を送る神経の通り道です。主に、姿勢の維持や体のバランス調整、そして歩行などの基本的な運動パターンを無意識のうちにコントロールする重要な役割を担っています。この経路は、意識的な運動を補助し、体が重力に逆らって安定して動けるように基盤を整えています。 [神経系] 脳, 脊髄, 運動
リマッピング
リマッピングとは、脳が特定の機能の担当領域を再編成(さいへんせい)する現象のことです。例えば、失われた手足の感覚を顔や体幹(たいかん)の領域が引き継ぐなど、大脳皮質(だいのうひしつ)の地図が書き換えられます。これは脳の持つ可塑性(かそせい)(柔軟に変化する能力)の重要な現れであり、損傷からの回復や新しい技能の習得を可能にする基本的なメカニズムです。 [神経系] 脳, 感覚
下降性調整経路
下降性調整経路(かこうせい ちょうせい けいろ)は、脳のより高次な中枢(例:大脳皮質(だいのうひしつ)や脳幹(のうかん))から脊髄(せきずい)へと情報を送る神経のルートです。この経路の主な役割は、運動の開始や調整、姿勢の制御、さらには痛みの感覚の強さを「調整(ちょうせい)」することです。特に、痛みを和らげる(鎮痛)作用を持つ神経伝達物質を放出し、痛みの信号が脳に伝わるのを抑制する重要な働きを担っています。 【図解】第17回講義ノート 図1:T6を境界とした屈筋抑制のメカニズム 【図解】第17回講義ノート 図2:前角細胞への二重抑制メカニズム 【図解】第21回講義ノート 図1:下降性調整経路の全体像 【図解】第21回講義ノート 図2:1Aと1Bの使い分け [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 運動
筋トーン
筋トーン(きんトーン)とは、私たちが意識的に力を入れていない安静時にも、筋肉がわずかに保っている「張り」や「抵抗」のことです。これは、重力に逆らって姿勢を維持したり、急な動きに素早く反応したりするために、神経系が筋肉を常に準備させている状態です。筋トーンが異常に高すぎると硬直(こうちょく)に、低すぎると弛緩(しかん)につながり、神経系の異常を判断する重要な指標となります。 【図解】第17回講義ノート 図2:前角細胞への二重抑制メカニズム 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 運動
対光反射
対光反射(たいこうはんしゃ)は、目に入ってくる光の量に応じて瞳孔(どうこう)の大きさが自動的に変わる反射です。明るい場所では瞳孔が小さくなり(縮瞳)、目に入る光を制限して網膜(もうまく)を保護し、暗い場所では瞳孔が大きくなり(散瞳)、より多くの光を取り込んで視覚を助けます。この反射は、脳幹(のうかん)と呼ばれる生命維持に重要な部分の機能が正常であるかを評価するための重要な指標として、神経学的検査で用いられます。 [神経系] 脳, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 臨床検査
病的反射
病的反射(びょうてきはんしゃ)とは、通常は健康な大人では見られない、病的な状態の時にだけ現れる反射のことです。特に、大脳皮質(だいのうひしつ)など上位の中枢神経(ちゅうすうしんけい)に障害がある場合に、その抑制が外れて出現することが多いです。代表的なものに、足の裏を刺激すると親指が反り上がる「バビンスキー反射」などがあり、神経疾患の診断において重要な手がかりとなります。 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 [神経系] 脳, 脊髄, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
バビンスキー反射
バビンスキー反射(はんしゃ)は、足の裏の外側をかかとからつま先に向かってこすった際に起こる反射です。健康な成人では、足の指が内側に曲がる(屈曲(くっきょく))のが正常な反応です。しかし、この反射が陽性(ようせい)の場合、親指が上向きに反り、他の指が開く(開扇(かいせん))動きが見られます。この陽性反応は、大脳皮質(だいのうひしつ)から脊髄(せきずい)へ指令を送る錐体路(すいたいろ)と呼ばれる運動神経の経路に損傷があることを示す重要な兆候であり、中枢神経系の異常を判断するのに役立ちます。乳幼児期には正常な反射として見られますが、歩行が可能になる頃には消失します。 [神経系] 関節, 脳, 脊髄, 運動, 臨床検査
腹壁反射
腹壁反射(ふくへきはんしゃ)は、お腹の皮膚を軽くこすったときに、刺激された側の腹筋がピクッと収縮する反射です。これは、皮膚の感覚が脊髄(せきずい)を通り、運動神経に伝わって起こる、比較的単純な神経の経路(反射弓)で確認されます。この反射の有無や強さを調べることで、脊髄や大脳皮質(だいのうひしつ)から脊髄への神経伝達経路に異常がないかを確認する、重要な神経学的検査の一つです。 [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 感覚, 運動, 臨床検査
上丘
上丘(じょうきゅう)は、中脳(ちゅうのう)の屋根部分にある小さな隆起(りゅうき)です。主に、視覚情報に基づいて、眼球や頭部を素早く動かす反射的な定位(ていい)運動を制御する役割を担っています。例えば、視野の端で急に動くものがあった際に、無意識にそちらへ視線や顔を向ける「注意の切り替え」の中心的な司令塔として機能しています。これは、私たちが周囲の環境に迅速に対応するために非常に重要な働きです。 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 [神経系] 脳, 脊髄, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
橋網様体脊髄路
橋網様体脊髄路(きょうもうようたいせきずいろ)は、脳幹(のうかん)の橋(きょう)にある網様体(もうようたい)から脊髄(せきずい)へと下行する神経の通り道です。この経路の主な役割は、体の姿勢やバランスを保つことです。特に、抗重力筋(こうじゅうりょくきん)と呼ばれる重力に逆らって体を支える筋肉の活動を促進し、私たちが意識せずとも安定して立ったり座ったりできるように協調的な運動を調整しています。 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 運動
延髄網様体脊髄路
延髄網様体脊髄路(えんずいもうようたいせきずいろ)は、脳幹(のうかん)の一部である延髄(えんずい)の網様体(もうようたい)から脊髄(せきずい)へと伸びる神経の通り道です。主に、体の姿勢やバランスを無意識のうちに調節する役割を担っています。また、歩行などの基本的な運動パターンを制御し、重力に逆らって体を支える抗重力筋(こうじゅうりょくきん)の緊張度を調整することで、スムーズな動作を可能にしています。 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 運動
伸筋
伸筋(しんきん)は、関節を伸ばす(伸展させる)働きを持つ筋肉のことです。例えば、肘(ひじ)や膝(ひざ)をまっすぐにするときに使われます。この筋肉が収縮(しゅうしゅく)することで骨が引っ張られ、関節の角度が大きくなります。曲げる働きを持つ屈筋(くっきん)と対(つい)になって働き、体の動きをコントロールする上で非常に重要な役割を担っています。 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 [神経系] 筋肉, 関節, 脳
橋(きょう)は、脳幹(のうかん)の一部で、中脳(ちゅうのう)と延髄(えんずい)の間に位置しています。名前の通り、大脳(だいのう)と小脳(しょうのう)の間で情報をやり取りする「橋渡し」のような重要な役割を果たしています。特に、顔の感覚や運動、眼球の動き、そして睡眠や覚醒といった生命維持に不可欠な機能の調節に関わる神経核(しんけいかく)が多数含まれています。 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 【図解】第22回講義ノート 図1:縦橋線維と橋核の構造 【図解】第22回講義ノート 図2:中小脳脚の入出力関係 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム [神経系] 脳, 痛み, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭
延髄
延髄(えんずい)は、脳幹(のうかん)の最も下部に位置する重要な部分です。心臓の拍動や呼吸、血圧の調整といった、生命維持に不可欠な基本的な自律機能(じりつきのう)を司っています。また、嚥下(えんげ:飲み込むこと)や嘔吐(おうと)などの反射中枢(はんしゃちゅうすう)も含んでおり、大脳と脊髄(せきずい)をつなぐ神経伝達の通り道としての役割も担っています。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 [神経系] 内臓, 脳, 脊髄, 末梢神経, 運動, 自律神経, 血管・循環, 嚥下・発声, 臨床検査
中脳
中脳(ちゅうのう)は、脳幹(のうかん)の一部で、間脳(かんのう)と橋(きょう)の間に位置する小さな構造です。主に視覚や聴覚の反射中枢として機能し、目や頭の動きを素早く調整して、音や光の刺激に反応する役割を担っています。また、運動の制御や意識の維持にも関わっており、重要な神経伝達経路がここを通っています。 【図解】第7回講義ノート 図1:下降性疼痛抑制系の構造 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
慢性痛
慢性痛(まんせいつう)は、通常の病気や怪我(けが)が治る期間(おおむね3ヶ月)を超えても持続する痛みのことです。単なる症状ではなく、痛みそのものが病気として扱われることがあります。これは、痛みを伝える神経回路(しんけいかいろ)が過敏(かびん)になったり、脳(のう)が痛みの信号を誤って処理し続けたりすることで生じます。生活の質を著しく低下させるため、身体的(しんたいてき)な治療だけでなく、心理的(しんりてき)な側面からのアプローチも重要になります。 【図解】第13回講義ノート 図1:急性痛と慢性痛の違い 【図解】第24回講義ノート 図2:嗅覚経路と辺縁系:感情と痛みの交差点 [神経系] 脳, 痛み, 情動・心理, 治療・リハビリ
筋紡錘
筋紡錘(きんぼうすい)は、骨格筋(こっかくきん)の内部に存在する小さな感覚受容器(かんかくじゅようき)です。筋肉の長さとその変化の速さを常に監視(かんし)しているセンサーの役割を果たしています。この情報が脊髄(せきずい)や脳に送られることで、無意識のうちに筋肉の緊張度(きんちょうど)が調節され、姿勢の維持や円滑な運動制御(うんどうせいぎょ)に役立っています。有名な膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)などの「伸張反射(しんちょうはんしゃ)」を引き起こす起点でもあります。 【図解】第11回講義ノート 図1:筋紡錘の構造と働き 【図解】第11回講義ノート 図2:単シナプス反射と多シナプス反射の比較 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第19回講義ノート 図2:単シナプス反射の三層構造 【図解】第20回講義ノート 図1:α-γ連関のメカニズム 【図解】第20回講義ノート 図2:ゲインとセンシビリティの関係 【図解】第21回講義ノート 図2:1Aと1Bの使い分け [神経系] 筋肉, 関節, 脳, 脊髄, 感覚, 運動, 臨床検査
下降性疼痛抑制系
下降性疼痛抑制系(かこうせいとうつうよくせいけい)は、脳が自ら痛みを和らげるための仕組みです。脳幹(のうかん)から脊髄(せきずい)へ神経の経路が下りていき、痛みの信号をブロックしたり、弱めたりする働きをします。このシステムには、エンドルフィンなどの内因性(ないいんせい)の鎮痛物質が関わっており、ストレスや運動時などに活性化することで、痛みをコントロールする重要な役割を担っています。 【図解】第7回講義ノート 図1:下降性疼痛抑制系の構造 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 運動, 情動・心理
中大脳動脈
大脳外側面の広範囲を支配する最大の脳血管。言語野(ブローカ・ウェルニッケ)や前頭眼野を含む。その枝であるレンズ核線条体動脈は脆弱で、高血圧による破綻が錐体路への致命的なダメージを招く。 [神経解剖学] 脳, 脊髄, 運動, 自律神経, 血管・循環, 眼・視覚