用語集

全187件の神経科学用語を収録しています。

脊髄
脊髄(せきずい)は、背骨(せぼね)の中を通る、太い神経の束です。脳と体の各部分を結ぶ主要な通信ケーブルのような役割を果たしており、脳からの指令を手足や内臓に伝えたり、体からの感覚情報(痛み、触覚、温度など)を脳に送り返したりしています。また、脳の関与なしに素早い反応を可能にする「反射」の中枢でもあります。脊髄の健康は、体の動きや感覚に直結する非常に重要な要素です。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第7回講義ノート 図1:下降性疼痛抑制系の構造 【図解】第8回講義ノート 図2:皮質脊髄路(錐体路)の経路 【図解】第9回講義ノート 図1:錐体外路の主要経路 【図解】第12回講義ノート 図1:運動制御の階層構造 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第21回講義ノート 図1:下降性調整経路の全体像 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 [神経系] 内臓, 脳, 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
辺縁系
辺縁系(へんえんけい)は、脳の奥深く、大脳(だいのう)の中心部を取り囲むように位置する神経構造の集まりです。主に感情、記憶、意欲、そして学習といった、人間らしい心の働きを司っています。特に「扁桃体(へんとうたい)」が恐怖や喜びなどの感情処理を担い、「海馬(かいば)」が新しい記憶の形成に重要な役割を果たしていることが特徴です。生命維持に必要な本能的な行動とも深く関連しています。 【図解】第24回講義ノート 図2:嗅覚経路と辺縁系:感情と痛みの交差点 [神経系] 脳, 痛み, 情動・心理
知覚異常
知覚異常(ちかくいじょう)とは、触覚(しょっかく)や温度覚(おんどかく)など、体の感覚が異常に感じられる状態を指します。具体的には、痛みがないのにチクチク、ジンジンとしたしびれを感じたり、触れていないのに熱い、冷たいと感じたりする感覚です。これは、末梢神経(まっしょうしんけい)の損傷や、感覚を処理する脊髄(せきずい)や脳の経路に問題が生じることで起こります。感覚過敏(かんかくかびん)や感覚鈍麻(かんかくどんま)といった症状も知覚異常に含まれます。 【図解】第15回講義ノート 図1:しびれの二つのタイプ:知覚鈍麻と知覚異常 [神経系] 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚
知覚鈍麻
知覚鈍麻(ちかくどんま)とは、皮膚などで感じる感覚(触覚、痛覚、温度覚など)が通常よりも鈍くなったり、弱くなったりする状態を指します。感覚を伝える神経経路の一部に障害が起こることで生じ、触っていることはわかるものの、その感覚がぼんやりしている、または弱くしか感じられないといった症状が現れます。特に、局所的な神経の損傷や圧迫によって、その神経が支配する特定の領域にのみ感覚の低下が見られることが、局在神経学において重要な所見となります。 【図解】第15回講義ノート 図1:しびれの二つのタイプ:知覚鈍麻と知覚異常 [神経系] 痛み, 感覚
側坐核
報酬系の中枢的な脳領域。ポジティブな刺激により活性化され、ドーパミン放出、ATP産生、内因性オピオイド産生を促進する。患者の意欲(モチベーション)の再燃に重要な役割を果たす。 [神経解剖学] 痛み, 情動・心理
中脳水道周辺灰白質
中脳水道周辺灰白質(ちゅうのうすいどうしゅうへんかいはくしつ)は、脳幹(のうかん)の中脳(ちゅうのう)にある、脳脊髄液(のうせきずいえき)が流れる水道の周りを取り囲む灰色の神経細胞の集まりです。特に「痛みの制御」に重要な役割を果たしており、ここが活性化することで、脳が自ら痛みを和らげる仕組み(内因性疼痛抑制系)を働かせます。また、恐怖や情動反応、睡眠・覚醒の調整にも関わる、生命維持に不可欠な部位です。 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 情動・心理
暖気運転
暖気運転(ウォームアップ)とは、本格的な運動や活動の前に、身体の準備状態を高めるための低強度な予備的活動である。これは、筋温の上昇による粘弾性(筋膜・腱)の改善、神経筋接合部における伝達効率の最適化、および中枢神経系の運動プログラムの賦活を目的とする。これにより、傷害リスクの低減やパフォーマンスの向上が図られる。 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム [臨床神経学] 筋肉, 痛み, 運動
吸気
吸気(きゅうき)とは、横隔膜や外肋間筋の収縮により胸腔が拡大し、肺内に外気を取り込む能動的な生理現象である。これは自律神経系によって制御される生命維持に必須のプロセスであり、酸素を取り込み二酸化炭素を排出するガス交換の第一段階を担う。呼吸パターンは姿勢制御や疼痛閾値にも影響を与えるため、臨床的には重要である。 [生理学] 筋肉, 内臓, 痛み, 運動, 自律神経
内因性オピオイド
辺縁系や側坐核がポジティブに活性化されると体内で産生される鎮痛物質。手技療法(外因性刺激)と異なり、脳内から分泌される鎮痛物質には副作用がない。 [神経生理学] 脳, 痛み, 情動・心理, 治療・リハビリ
呼気
呼気(Expiration)は、肺内の二酸化炭素を多く含むガスを体外へ排出する生理現象である。これは主に横隔膜や肋間筋の弛緩による胸腔容積の減少によって受動的に行われるが、強制呼気時には腹筋群が能動的に関与する。自律神経系と深く関連し、呼吸パターンは心拍変動や疼痛閾値にも影響を与えるため、臨床ではリラクセーションや体幹安定化の指標として重要視される。 [生理学] 筋肉, 内臓, 痛み, 自律神経
アロディニア
アロディニア(Allodynia)は、通常は痛みを感じない程度の弱い刺激(例:衣服が触れる、そよ風が当たるなど)が、激しい痛みとして感じられる現象です。これは、痛みを伝える神経経路が過敏になること(中枢性感作(ちゅうすうせいかんさく))によって起こります。片頭痛や帯状疱疹後神経痛など、様々な慢性疼痛(まんせいとうつう)で見られ、痛みの処理システムの異常を示す重要なサインです。 [神経系] 痛み
橋(きょう)は、脳幹(のうかん)の一部で、中脳(ちゅうのう)と延髄(えんずい)の間に位置しています。名前の通り、大脳(だいのう)と小脳(しょうのう)の間で情報をやり取りする「橋渡し」のような重要な役割を果たしています。特に、顔の感覚や運動、眼球の動き、そして睡眠や覚醒といった生命維持に不可欠な機能の調節に関わる神経核(しんけいかく)が多数含まれています。 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 【図解】第22回講義ノート 図1:縦橋線維と橋核の構造 【図解】第22回講義ノート 図2:中小脳脚の入出力関係 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム [神経系] 脳, 痛み, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭
大脳皮質
大脳皮質(だいのうひしつ)は、大脳の最も外側を覆う、しわの寄った灰色の層です。人間の思考、記憶、言語、意識的な運動など、高次の精神機能(こうじのせいしんきのう)を司る「司令塔」のような役割を果たしています。この皮質は、感覚情報を受け取って処理し、複雑な意思決定を行う中枢であり、局在神経学では、特定の機能が皮質の特定の領域(例:運動野、体性感覚野)に割り当てられていることが重要な概念となります。 【図解】第7回講義ノート 図1:下降性疼痛抑制系の構造 【図解】第8回講義ノート 図2:皮質脊髄路(錐体路)の経路 【図解】第12回講義ノート 図1:運動制御の階層構造 【図解】第21回講義ノート 図1:下降性調整経路の全体像 【図解】第22回講義ノート 図1:縦橋線維と橋核の構造 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第31回講義ノート 図2:聴覚路の第7次ニューロン伝達と大脳皮質の左右性 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 運動, 聴覚・前庭
小脳
小脳(しょうのう)は、大脳(たいのう)の後ろ下部に位置する、小さな脳の構造です。主な役割は、運動の協調性(きょうちょうせい)とバランスの維持(いじ)です。私たちが滑らかに歩いたり、正確に物に手を伸ばしたりできるのは、小脳が運動の計画と実行の誤差を修正しているからです。平衡感覚(へいこうかんかく)や姿勢の制御にも不可欠で、障害されると運動失調(うんどうしっちょう)というふらつきが生じます。 【図解】第12回講義ノート 図1:運動制御の階層構造 【図解】第12回講義ノート 図2:遠心性コピー(エフェレンスコピー)の仕組み 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第16回講義ノート 図2:小脳と大脳基底核の協調:動と静のバランス 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第22回講義ノート 図1:縦橋線維と橋核の構造 【図解】第22回講義ノート 図2:中小脳脚の入出力関係 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭
感覚
感覚(かんかく)とは、私たちが外界や自分の体の状態を認識するための基本的な情報収集の仕組みです。目(視覚)、耳(聴覚)、鼻(嗅覚)、舌(味覚)による特殊な感覚と、皮膚や筋肉、関節などから得られる触覚、痛覚、温度覚、位置覚などの体性感覚(たいせいかんかく)に分けられます。これらの情報は神経を通じて脳に送られ、私たちが世界を理解し、適切に行動するための土台となります。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第7回講義ノート 図2:ロンベルグ検査と姿勢制御 【図解】第8回講義ノート 図1:感覚―運動ループの仕組み 【図解】第13回講義ノート 図1:急性痛と慢性痛の違い 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 【図解】第14回講義ノート 図1:感覚運動ループと自律神経の関係 【図解】第14回講義ノート 図2:T6(胸椎6番)を境界とした筋群の分布 【図解】第15回講義ノート 図1:しびれの二つのタイプ:知覚鈍麻と知覚異常 【図解】第15回講義ノート 図2:感覚検査における情報処理の滞り 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第16回講義ノート 図2:小脳と大脳基底核の協調:動と静のバランス 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第21回講義ノート 図1:下降性調整経路の全体像 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経系] 筋肉, 関節, 脳, 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
急性痛
急性痛(きゅうせいつう)は、突然始まり、原因がはっきりしている痛みのことです。通常、組織の損傷や病気など、体に何らかの異常が起きたことを知らせる「警告信号」として機能します。痛みの期間は短く、原因が取り除かれると治まるのが特徴です。例えば、怪我をした時や手術後の痛みがこれにあたり、体が回復するにつれて軽減していきます。 【図解】第13回講義ノート 図1:急性痛と慢性痛の違い [神経系] 痛み
TND
TNDは、**Trigeminal Neuralgia(三叉神経痛)**の略称として用いられる場合、顔面領域の三叉神経の支配領域に発生する、電撃的な激しい痛みを特徴とする慢性的な神経障害である。通常、血管による神経根の圧迫(神経血管圧迫)が原因となり、痛みのメカニズムは脱髄と異常興奮に深く関連する。筋膜や顎関節機能不全(TMD)との鑑別が重要となる。 [臨床神経学] 筋肉, 関節, 末梢神経, 痛み, 血管・循環
表在感覚
表在感覚(ひょうざいかんかく)とは、皮膚で感じ取る感覚の総称です。具体的には、「触覚(しょくかく)」(触れた感じ)、「痛覚(つうかく)」(痛み)、「温度覚(おんどかく)」(熱さや冷たさ)の三つを指します。これらの感覚は、皮膚の表面にある受容器(じゅようき)で受け取られ、主に体の表面の安全を守る役割を果たしています。この感覚の異常は、末梢神経(まっしょうしんけい)や脊髄(せきずい)の病変を特定する上で重要な指標となります。 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 [神経系] 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚
慢性痛
慢性痛(まんせいつう)は、通常の病気や怪我(けが)が治る期間(おおむね3ヶ月)を超えても持続する痛みのことです。単なる症状ではなく、痛みそのものが病気として扱われることがあります。これは、痛みを伝える神経回路(しんけいかいろ)が過敏(かびん)になったり、脳(のう)が痛みの信号を誤って処理し続けたりすることで生じます。生活の質を著しく低下させるため、身体的(しんたいてき)な治療だけでなく、心理的(しんりてき)な側面からのアプローチも重要になります。 【図解】第13回講義ノート 図1:急性痛と慢性痛の違い 【図解】第24回講義ノート 図2:嗅覚経路と辺縁系:感情と痛みの交差点 [神経系] 脳, 痛み, 情動・心理, 治療・リハビリ
下降性疼痛抑制系
下降性疼痛抑制系(かこうせいとうつうよくせいけい)は、脳が自ら痛みを和らげるための仕組みです。脳幹(のうかん)から脊髄(せきずい)へ神経の経路が下りていき、痛みの信号をブロックしたり、弱めたりする働きをします。このシステムには、エンドルフィンなどの内因性(ないいんせい)の鎮痛物質が関わっており、ストレスや運動時などに活性化することで、痛みをコントロールする重要な役割を担っています。 【図解】第7回講義ノート 図1:下降性疼痛抑制系の構造 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 運動, 情動・心理
触覚
--- 触覚(しょくかく)とは、皮膚を通して外界の物理的な刺激(圧力、振動、接触など)を感じ取る感覚のことです。これは、皮膚に存在する特殊な感覚受容器(しんけいじゅようき)が刺激を受け取り、その情報が末梢神経(まっしょうしんけい)を通って脊髄(せきずい)から大脳皮質(だいのうひしつ)の体性感覚野(たいせいかんかくや)に送られることで認識されます。触覚は、物体を識別したり、痛みや温度を感じるための重要な基盤となる感覚です。 --- 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 [神経系] 脳, 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚
グロープラグ
**用語:** グロープラグ (Glow Plug) **カテゴリ:** 臨床概念 **定義:** グロープラグは、自動車工学の用語を転用した臨床概念であり、痛みの治療において即効性はないが、継続的な刺激や介入によって遅れて効果が現れる現象、またはその介入自体を指す。特に慢性疼痛や中枢感作が関与する場合、神経系の可塑性変化を促すには時間を要するため、即座の効果を求めず、持続的な治療の重要性を説明する際に用いられる。 [臨床神経学] 痛み, 治療・リハビリ
皮質橋小脳路
皮質橋小脳路(CPCT)は、大脳皮質から橋核を経由し、小脳へと投射する主要な運動制御経路である。この経路は、随意運動の計画、協調、および学習に不可欠であり、特に複雑な運動や姿勢制御の洗練に関与する。損傷すると、運動失調(アタキシア)を引き起こす。 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム [神経系] 脳, 痛み, 運動, 臨床検査
中脳
中脳(ちゅうのう)は、脳幹(のうかん)の一部で、間脳(かんのう)と橋(きょう)の間に位置する小さな構造です。主に視覚や聴覚の反射中枢として機能し、目や頭の動きを素早く調整して、音や光の刺激に反応する役割を担っています。また、運動の制御や意識の維持にも関わっており、重要な神経伝達経路がここを通っています。 【図解】第7回講義ノート 図1:下降性疼痛抑制系の構造 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
情報の交通整理
情報の交通整理とは、中枢神経系が感覚入力(侵害受容、触覚、固有受容など)を適切に選別・統合し、出力(運動指令や疼痛知覚)を調整する機能である。特に慢性疼痛においては、この選別・統合機能(ゲートコントロールや下降性疼痛抑制系など)の破綻が、痛みの増幅や持続に深く関与する。臨床的には、この破綻した情報処理能力を再構築するアプローチが重要となる。 [臨床神経学] 痛み, 感覚, 運動
ゲートコントロール機構
ゲートコントロール機構(ゲートコントロールきこう)は、痛みの感覚が脳へ伝わるのを脊髄(せきずい)のレベルで「門(ゲート)」のように調節する仕組みです。皮膚をさすったり温めたりといった非侵害的な刺激(ひしんがい-てきな-しげき)が、痛みを伝える細い神経線維(しんけいせんい)の信号よりも優先的に脊髄の「門」を閉じさせ、その結果、脳へ伝わる痛みの情報量を減らして痛みを和らげる役割を果たしています。この理論は、痛みの治療法(ちりょうほう)やTENS(経皮的電気神経刺激)などの開発に大きく貢献しました。 [神経系] 脊髄, 痛み, 感覚, 治療・リハビリ
感覚入力
感覚入力(かんかくにゅうりょく)とは、私たちの体が外界や体内から情報を受け取るプロセスのことです。目、耳、鼻、舌、皮膚などの感覚受容器(かんかくじゅようき)が光、音、におい、味、触覚、温度などの刺激を電気信号に変換し、神経(しんけい)を介して脳や脊髄(せきずい)に送られます。この情報が処理されることで、私たちは周囲の状況を認識し、適切に行動することができます。 【図解】第8回講義ノート 図1:感覚―運動ループの仕組み 【図解】第14回講義ノート 図1:感覚運動ループと自律神経の関係 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 [神経系] 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 嚥下・発声, 臨床検査
縁辺細胞
縁辺細胞(えんぺんさいぼう)は、神経系の特定の領域、特に脊髄(せきずい)の後角(こうかく)の最も外側、つまり「縁(ふち)」に位置する神経細胞のグループです。これらの細胞は、皮膚などからの感覚情報、特に痛みや温度といった重要な信号を最初に受け取る役割を担っています。受け取った情報を脊髄内の他の神経細胞や脳へと伝える「感覚入力の最初の門番」のような働きをしており、感覚処理の初期段階において非常に重要です。 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 運動
ATP
ATP(アデノシン三リン酸)は、私たちの体、特に脳の細胞が活動するための「エネルギー通貨」のようなものです。細胞が思考したり、信号を伝えたり、物質を運んだりする際に必要なエネルギーを瞬時に供給します。ATPが分解されるときにエネルギーが放出され、これにより神経細胞(ニューロン)が情報を正確にやり取りできます。これは、生命活動の根幹を支える非常に重要な分子です。 【図解】第4回講義ノート 図1:神経細胞のエネルギーシステム 【図解】第5回講義ノート 図1:ATP不足が痛みを生むメカニズム 【図解】第5回講義ノート 図2:朝の痛みとデスクワーク不調の共通原因 【図解】第26回講義ノート 図2:眼球の回転軸とATP枯渇のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第30回講義ノート 図1:聴覚伝達路の多段階構造(第7次ニューロンまで) [神経系] 痛み, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
侵害刺激
侵害刺激(しんがいしげき)とは、組織の損傷や、損傷を引き起こす可能性のある有害な刺激全般のことを指します。具体的には、熱すぎる・冷たすぎる温度、鋭い圧力、または特定の化学物質などが含まれます。この刺激は、私たちの体にある「侵害受容器(痛みを感じるセンサー)」によって感知され、危険を脳に伝えることで、私たちが痛みとして認識し、その危険から逃れるための行動を促す重要な役割を果たしています。 [神経系] 痛み, 感覚
下降性調整経路
下降性調整経路(かこうせい ちょうせい けいろ)は、脳のより高次な中枢(例:大脳皮質(だいのうひしつ)や脳幹(のうかん))から脊髄(せきずい)へと情報を送る神経のルートです。この経路の主な役割は、運動の開始や調整、姿勢の制御、さらには痛みの感覚の強さを「調整(ちょうせい)」することです。特に、痛みを和らげる(鎮痛)作用を持つ神経伝達物質を放出し、痛みの信号が脳に伝わるのを抑制する重要な働きを担っています。 【図解】第17回講義ノート 図1:T6を境界とした屈筋抑制のメカニズム 【図解】第17回講義ノート 図2:前角細胞への二重抑制メカニズム 【図解】第21回講義ノート 図1:下降性調整経路の全体像 【図解】第21回講義ノート 図2:1Aと1Bの使い分け [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 運動
酸化的リン酸化
酸化的リン酸化(さんかてきりんさんか)は、細胞がエネルギー通貨であるアデノシン三リン酸(ATP)を大量に作り出す主要な方法です。これは、細胞のミトコンドリア(細胞内小器官)で行われ、私たちが呼吸で取り込む酸素(O2)を使って、栄養素から得られた電子のエネルギーを段階的に利用し、ATPを合成します。このプロセスは、脳を含むすべての細胞活動の駆動に必要なエネルギーを供給する、生命維持に不可欠なシステムです。 [神経系] 痛み
ピンチナーブ理論
ピンチナーブ理論(ぴんちなーぶりろん)とは、脊椎(せきつい)の椎間孔(ついかんこう)と呼ばれる神経の通り道が狭くなることで、そこを通る神経根(しんけいこん)が圧迫(あっぱく)され、痛みやしびれなどの症状を引き起こすという考え方です。この圧迫は、椎間板(ついかんばん)の変性やヘルニア、骨棘(こつきょく)の形成などによって生じることが多く、坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)などの症状の原因を説明する際に用いられます。ただし、画像検査で圧迫が見られても症状がない場合もあり、症状と圧迫の関連性には議論の余地があります。 [神経系] 関節, 脊髄, 末梢神経, 痛み, 臨床検査
RVM (あーるぶいえむ)
吻側延髄腹側内側部(Rostral Ventromedial Medulla)の略称。PAGからの鎮痛指令を脊髄後角へ伝達するセロトニン系の中継核。温熱的侵害刺激(熱感・冷感・化学火傷)の下行性抑制を担い、ソマトスタチンの放出を介在ニューロン経由でシャットアウトする。→吻側延髄腹側内側部 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 内分泌
IML (あいえむえる) Intermediolateral nucleus
中間外側核。脊髄の側角に位置し、交感神経節前線維の細胞体が存在する。大脳皮質からの下降性抑制を受けており、この抑制が減弱すると交感神経が過剰に活動する。 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 自律神経
亜急性 (あきゅうせい) Subacute
急性期(発症後2〜3日)と慢性期(6ヶ月以上)の中間段階(3日〜6ヶ月)。この時期に神経の感作が進行し、適切な治療介入がなければ慢性疼痛へ移行するリスクが高まる。 [臨床神経学] 痛み, 治療・リハビリ
アクチン (あくちん) Actin
筋肉の収縮に関与する細いフィラメント状のタンパク質。ミオシンと結合して筋収縮を引き起こし、ATPのエネルギーを使って解離することで筋弛緩が起こる。 [生化学] 筋肉, 痛み, 臨床検査
アラキドン酸カスケード (あらきどんさんかすけーど) Arachidonic acid cascade
オメガ6系脂肪酸であるアラキドン酸が過剰になると引き起こされる連続的な炎症反応。ホスホリパーゼA2によりアラキドン酸が遊離し、プロスタグランジン・ロイコトリエンなどの炎症性メディエーターが産生され、痛み・腫れ・発赤を誘発する。オメガ3系(DHA・EPA)との摂取バランスが重要。 [生化学] 痛み
α₂アドレナリン受容体 (あるふぁにじゅうあどれなりんじゅようき)
脊髄後角の一次侵害受容ニューロン末端に存在する抑制性受容体。DLPTルートから下行したノルアドレナリンがこの受容体に結合すると、substance Pの放出が強力に抑制され、機械的侵害刺激の脳への伝達がブロックされる。クロニジンなどのα₂作動薬が鎮痛薬として用いられる根拠となる受容体。 [神経系] 脊髄, 痛み, 内分泌
アロディニア (あろでぃにあ)
異痛症。通常は痛みを引き起こさない刺激(触れる、撫でるなど)で痛みを感じる状態。下降性調整経路のブレーキ機能が効かなくなることで生じる。 痛み
閾値 (いきち) Threshold
神経や受容器が反応を起こすために必要な最小刺激強度。閾値が高いほど反応しにくく(高閾値)、低いほど反応しやすい(低閾値)。炎症性メディエーターやストレスにより閾値が低下すると、通常では痛みを感じない刺激でも発火する「過敏化(感作)」が生じる。 [生理学] 痛み, 感覚, 情動・心理
医源性 (いげんせい)
医療行為や医療者の言動・態度・環境によって引き起こされる現象を指す形容詞。医源性プラシーボ(治療者との信頼関係・環境的条件付けによる鎮痛効果)と医源性ノセボ(不適切な説明や態度による痛みの増悪)の両面がある。 [臨床神経学] 痛み, 治療・リハビリ
異常知覚 (いじょうちかく)
侵害受容器が低頻度で不適切に発火している状態。患者が「シビレ」と訴える症状の正体。 [感覚系] 痛み, 感覚
Aγ線維 (えーがんませんい) A-gamma fiber
有髄神経線維(直径2〜8μm)。伝導速度15〜30 m/s。筋紡錘の錘内筋線維を支配し、筋紡錘の感度(感受性)を調整するγ運動ニューロンの軸索。1A線維と密接に連携し、筋の感度が適切に保たれないと身体は微細な変化を「脅威(痛み)」と誤認する。 [感覚系] 筋肉, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動
ATP (えーてぃーぴー) Adenosine Triphosphate
細胞のエネルギー通貨として機能する分子。神経細胞の活動、神経伝達物質の放出、イオンポンプの駆動、細胞の修復など、あらゆる生命活動にATPが必要である。酸素は神経のエネルギー(ATP)産生の燃料であり、燃料がなければ神経は自己修復すらままならず、痛みは長引く一方となる。横隔膜が十分に可動できず、慢性的な酸欠状態に陥ることは、神経機能の低下に直結する。 [生理学] 筋肉, 痛み
ATP (えーてぃーぴー) Adenosine triphosphate
アデノシン三リン酸。細胞のエネルギー通貨として機能する分子。筋肉の弛緩にはATPが必要であり、交感神経過緊張により血流が低下するとATP産生が阻害され、筋肉が硬化する。 [生化学] 筋肉, 痛み, 自律神経, 血管・循環
ATP産生 (えーてぃーぴーさんせい)
ミトコンドリアで行われるエネルギー生成過程。酸素を用いた好気的代謝により、グルコースからATP(アデノシン三リン酸)を合成する。神経系の膜電位維持ポンプはATPに依存しており、低気圧による酸素供給効率の低下はATP産生低下を招き、神経系の過敏状態や機能低下を引き起こす。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学、第3回講義ノート:ATP不足と膜電位の関係。 【図解】第5回講義ノート 図1:ATP不足が痛みを生むメカニズム 【図解】第5回講義ノート 図2:朝の痛みとデスクワーク不調の共通原因 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 [生理学] 痛み, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
Aδ線維 (エーデルタせんい)
有髄神経線維の一種で、伝導速度は5-30 m/s。鋭い痛み(一次痛)を伝達する。 [感覚系] 末梢神経, 痛み, 感覚
Aδ線維 (えーでるたせんい)
有髄の細い神経線維。鋭い痛みや温度感覚を伝達し、伝導速度は比較的速い(5-30m/s)。 [末梢神経] 末梢神経, 痛み, 感覚
MIAS (エムアイエーエス) Mechanically Insensitive Afferent Nociceptor
機械刺激低感受性求心性線維(Mechanically Insensitive Afferent)の略称。関節包や骨膜に分布する侵害受容器の一種で、正常な関節運動の範囲内では非常に高い閾値を持ち一切発火しない。しかし、関節のねじれ逸脱や持続的な虚血により閾値が劇的に低下(感作)し、わずかな刺激でも激痛信号を発するようになる。サイレント受容器とも呼ばれる。 [神経生理学] 関節, 痛み, 感覚, 運動, 血管・循環