用語集
全131件の神経科学用語を収録しています。
- 上丘
- 上丘(じょうきゅう)は、中脳(ちゅうのう)の屋根部分にある小さな隆起(りゅうき)です。主に、視覚情報に基づいて、眼球や頭部を素早く動かす反射的な定位(ていい)運動を制御する役割を担っています。例えば、視野の端で急に動くものがあった際に、無意識にそちらへ視線や顔を向ける「注意の切り替え」の中心的な司令塔として機能しています。これは、私たちが周囲の環境に迅速に対応するために非常に重要な働きです。 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 [神経系] 脳, 脊髄, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- ATP
- ATP(アデノシン三リン酸)は、私たちの体、特に脳の細胞が活動するための「エネルギー通貨」のようなものです。細胞が思考したり、信号を伝えたり、物質を運んだりする際に必要なエネルギーを瞬時に供給します。ATPが分解されるときにエネルギーが放出され、これにより神経細胞(ニューロン)が情報を正確にやり取りできます。これは、生命活動の根幹を支える非常に重要な分子です。 【図解】第4回講義ノート 図1:神経細胞のエネルギーシステム 【図解】第5回講義ノート 図1:ATP不足が痛みを生むメカニズム 【図解】第5回講義ノート 図2:朝の痛みとデスクワーク不調の共通原因 【図解】第26回講義ノート 図2:眼球の回転軸とATP枯渇のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第30回講義ノート 図1:聴覚伝達路の多段階構造(第7次ニューロンまで) [神経系] 痛み, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 中脳
- 中脳(ちゅうのう)は、脳幹(のうかん)の一部で、間脳(かんのう)と橋(きょう)の間に位置する小さな構造です。主に視覚や聴覚の反射中枢として機能し、目や頭の動きを素早く調整して、音や光の刺激に反応する役割を担っています。また、運動の制御や意識の維持にも関わっており、重要な神経伝達経路がここを通っています。 【図解】第7回講義ノート 図1:下降性疼痛抑制系の構造 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 交感神経
- 交感神経(こうかんしんけい)は、自律神経系(じりつしんけいけい)の一部で、主に身体を「闘争か逃走(fight-or-flight)」の状態に準備させる役割を担っています。ストレスや危険を感じた際に活性化し、心拍数や血圧を上げ、瞳孔(どうこう)を広げ、筋肉への血流を増やすなど、緊急事態に対応するためのエネルギーを動員します。リラックス時や休息時に優位になる副交感神経(ふくこうかんしんけい)と対になって、身体のバランスを保っています。 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経系] 筋肉, 運動, 自律神経, 血管・循環, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 情動・心理, 臨床検査
- 脳幹
- 脳幹(のうかん)は、大脳(たいのう)と脊髄(せきずい)をつなぐ、脳の土台のような重要な部分です。主に中脳(ちゅうのう)、橋(きょう)、延髄(えんずい)の三つの部分から成り立っています。呼吸や心拍、血圧の調整、意識の維持など、生命維持に不可欠な基本的な機能をコントロールしています。また、顔や目、舌などを動かすための神経(脳神経)の通り道や出発点でもあります。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第31回講義ノート 図2:聴覚路の第7次ニューロン伝達と大脳皮質の左右性 [神経系] 筋肉, 脳, 脊髄, 末梢神経, 運動, 自律神経, 血管・循環, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 嚥下・発声
- 病的反射
- 病的反射(びょうてきはんしゃ)とは、通常は健康な大人では見られない、病的な状態の時にだけ現れる反射のことです。特に、大脳皮質(だいのうひしつ)など上位の中枢神経(ちゅうすうしんけい)に障害がある場合に、その抑制が外れて出現することが多いです。代表的なものに、足の裏を刺激すると親指が反り上がる「バビンスキー反射」などがあり、神経疾患の診断において重要な手がかりとなります。 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 [神経系] 脳, 脊髄, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 副交感神経
- 副交感神経(ふくこうかんしんけい)は、自律神経(じりつしんけい)の一部で、「休息と消化」を司る神経系です。体がリラックスしている時に働き、心拍数を下げたり、血圧を安定させたり、消化活動を促進したりする役割があります。戦ったり逃げたりする時に働く交感神経(こうかんしんけい)とバランスを取りながら、体のエネルギーを温存し、回復させるために重要な働きをしています。 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経系] 筋肉, 運動, 自律神経, 血管・循環, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
- ロンベルグ試験
- ロンベルグ試験(しけん)は、患者(かんじゃ)さんに目を閉じた状態で立ってもらい、体の揺れを観察(かんさつ)する神経学的(しんけいがくてき)な検査(けんさ)です。主に、体の平衡感覚(へいこうかんかく)を保つために重要な、脊髄(せきずい)を通る深部感覚(しんぶかんかく)(位置や動きを感じる感覚)の障害(しょうがい)がないかを調べます。目が開いている状態では視覚(しかく)で補(おぎな)えますが、目を閉じて揺れが大きくなる場合は、深部感覚の異常(いじょう)が疑(うたが)われます。 [神経系] 脊髄, 感覚, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 感覚
- 感覚(かんかく)とは、私たちが外界や自分の体の状態を認識するための基本的な情報収集の仕組みです。目(視覚)、耳(聴覚)、鼻(嗅覚)、舌(味覚)による特殊な感覚と、皮膚や筋肉、関節などから得られる触覚、痛覚、温度覚、位置覚などの体性感覚(たいせいかんかく)に分けられます。これらの情報は神経を通じて脳に送られ、私たちが世界を理解し、適切に行動するための土台となります。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第7回講義ノート 図2:ロンベルグ検査と姿勢制御 【図解】第8回講義ノート 図1:感覚―運動ループの仕組み 【図解】第13回講義ノート 図1:急性痛と慢性痛の違い 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 【図解】第14回講義ノート 図1:感覚運動ループと自律神経の関係 【図解】第14回講義ノート 図2:T6(胸椎6番)を境界とした筋群の分布 【図解】第15回講義ノート 図1:しびれの二つのタイプ:知覚鈍麻と知覚異常 【図解】第15回講義ノート 図2:感覚検査における情報処理の滞り 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第16回講義ノート 図2:小脳と大脳基底核の協調:動と静のバランス 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第21回講義ノート 図1:下降性調整経路の全体像 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経系] 筋肉, 関節, 脳, 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
- 脊髄
- 脊髄(せきずい)は、背骨(せぼね)の中を通る、太い神経の束です。脳と体の各部分を結ぶ主要な通信ケーブルのような役割を果たしており、脳からの指令を手足や内臓に伝えたり、体からの感覚情報(痛み、触覚、温度など)を脳に送り返したりしています。また、脳の関与なしに素早い反応を可能にする「反射」の中枢でもあります。脊髄の健康は、体の動きや感覚に直結する非常に重要な要素です。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第7回講義ノート 図1:下降性疼痛抑制系の構造 【図解】第8回講義ノート 図2:皮質脊髄路(錐体路)の経路 【図解】第9回講義ノート 図1:錐体外路の主要経路 【図解】第12回講義ノート 図1:運動制御の階層構造 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第21回講義ノート 図1:下降性調整経路の全体像 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 [神経系] 内臓, 脳, 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 自律神経
- 自律神経(じりつしんけい)は、私たちが意識しなくても、心臓の鼓動、呼吸、消化、体温調節など、生命維持に必要な体の働きを自動でコントロールしている神経システムです。アクセルの役割を果たす交感神経(こうかんしんけい)と、ブレーキの役割を果たす副交感神経(ふくこうかんしんけい)の2つから成り立っており、これらがバランスを取りながら体の内部環境を一定に保つ(ホメオスタシス)重要な役割を担っています。 【図解】第14回講義ノート 図1:感覚運動ループと自律神経の関係 【図解】第14回講義ノート 図2:T6(胸椎6番)を境界とした筋群の分布 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 [神経系] 筋肉, 内臓, 脊髄, 末梢神経, 感覚, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 大脳皮質
- 大脳皮質(だいのうひしつ)は、大脳の最も外側を覆う、しわの寄った灰色の層です。人間の思考、記憶、言語、意識的な運動など、高次の精神機能(こうじのせいしんきのう)を司る「司令塔」のような役割を果たしています。この皮質は、感覚情報を受け取って処理し、複雑な意思決定を行う中枢であり、局在神経学では、特定の機能が皮質の特定の領域(例:運動野、体性感覚野)に割り当てられていることが重要な概念となります。 【図解】第7回講義ノート 図1:下降性疼痛抑制系の構造 【図解】第8回講義ノート 図2:皮質脊髄路(錐体路)の経路 【図解】第12回講義ノート 図1:運動制御の階層構造 【図解】第21回講義ノート 図1:下降性調整経路の全体像 【図解】第22回講義ノート 図1:縦橋線維と橋核の構造 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第31回講義ノート 図2:聴覚路の第7次ニューロン伝達と大脳皮質の左右性 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 運動, 聴覚・前庭
- 橋
- 橋(きょう)は、脳幹(のうかん)の一部で、中脳(ちゅうのう)と延髄(えんずい)の間に位置しています。名前の通り、大脳(だいのう)と小脳(しょうのう)の間で情報をやり取りする「橋渡し」のような重要な役割を果たしています。特に、顔の感覚や運動、眼球の動き、そして睡眠や覚醒といった生命維持に不可欠な機能の調節に関わる神経核(しんけいかく)が多数含まれています。 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 【図解】第22回講義ノート 図1:縦橋線維と橋核の構造 【図解】第22回講義ノート 図2:中小脳脚の入出力関係 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム [神経系] 脳, 痛み, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭
- 小脳
- 小脳(しょうのう)は、大脳(たいのう)の後ろ下部に位置する、小さな脳の構造です。主な役割は、運動の協調性(きょうちょうせい)とバランスの維持(いじ)です。私たちが滑らかに歩いたり、正確に物に手を伸ばしたりできるのは、小脳が運動の計画と実行の誤差を修正しているからです。平衡感覚(へいこうかんかく)や姿勢の制御にも不可欠で、障害されると運動失調(うんどうしっちょう)というふらつきが生じます。 【図解】第12回講義ノート 図1:運動制御の階層構造 【図解】第12回講義ノート 図2:遠心性コピー(エフェレンスコピー)の仕組み 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第16回講義ノート 図2:小脳と大脳基底核の協調:動と静のバランス 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第22回講義ノート 図1:縦橋線維と橋核の構造 【図解】第22回講義ノート 図2:中小脳脚の入出力関係 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭
- アブミ骨筋 (あぶみこつきん)
- 顔面神経(CN VII)が支配する筋肉で、アブミ骨を蝸牛の窓から引き離し、内耳への振動入力を物理的に制限する。この反射の消失は聴覚過敏を招く。 【図解】第30回講義ノート 図2:三叉・顔面神経による聴覚調整機構 [神経解剖学] 筋肉, 末梢神経, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
- ウェーバー検査 (うぇーばーけんさ)
- 音叉を前額部や頭頂部の正中に当て、骨伝導により左右の聴覚を比較する検査。側頭骨を介して蝸牛を直接振動させ、中枢性・末梢性難聴の鑑別に用いられる。 【図解】第31回講義ノート 図1:ウェーバー・リンネ検査の実施方法 【図解】第31回講義ノート 図2:聴覚路の第7次ニューロン伝達と大脳皮質の左右性 [神経系] 脳, 聴覚・前庭, 臨床検査
- ATP産生 (えーてぃーぴーさんせい)
- ミトコンドリアで行われるエネルギー生成過程。酸素を用いた好気的代謝により、グルコースからATP(アデノシン三リン酸)を合成する。神経系の膜電位維持ポンプはATPに依存しており、低気圧による酸素供給効率の低下はATP産生低下を招き、神経系の過敏状態や機能低下を引き起こす。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学、第3回講義ノート:ATP不足と膜電位の関係。 【図解】第5回講義ノート 図1:ATP不足が痛みを生むメカニズム 【図解】第5回講義ノート 図2:朝の痛みとデスクワーク不調の共通原因 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 [生理学] 痛み, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 嚥下反射 (えんげはんしゃ)
- 食物や液体を口腔から咽頭、食道を経て胃に送り込む反射。舌、軟口蓋、咽頭、喉頭、食道の協調的な運動により成立する。嚥下時には口蓋帆張筋が収縮して耳管を開放し、中耳腔の圧力を調整する。嚥下障害(嚥下困難・誤嚥)がある患者では、耳管機能不全を併発することがある。 [生理学] 筋肉, 内臓, 運動, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
- 嚥下反射 (えんげはんしゃ)
- 唾を飲み込む反射。嚥下の都度、口蓋帆張筋が収縮して耳管が数秒間開放され、内外の気圧が調整される。口呼吸の患者では嚥下反射が不全になりやすく、慢性的な耳の詰まりを招く。 [神経系] 筋肉, 運動, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
- OPKテープ (おーぴーけーてーぷ) Optokinetic Tape
- 視運動性眼振を意図的に誘発させるための臨床検査ツール。縞模様のテープを流して眼球運動を観察する。パースートが維持できずにサッケードによる補正(カクカクとした動き)が早期に出現する場合、小脳のスタミナ不足や脳幹の疲弊を示唆する。 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム [臨床神経学] 脳, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 嘔気 (おうき) Nausea
- 「吐きそう」という感覚で、咽頭レベルの疑核の反応に留まる状態。嘔吐とは異なり、横隔膜や肋間筋までを動員しない。第34回講義ノート「垂直系前庭神経路の臨床解剖」で詳しく解説。 [自律神経系] 筋肉, 感覚, 自律神経, 聴覚・前庭, 嚥下・発声
- 嘔吐 (おうと) Vomiting
- 実際に吐く行為で、横隔膜や肋間筋までを動員する広範な反射。嘔気とは異なり、脳幹の統合レベルが高い状態を示す。第34回講義ノート「垂直系前庭神経路の臨床解剖」で詳しく解説。 [自律神経系] 筋肉, 脳, 運動, 自律神経, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 外直筋 (がいちょくきん) Lateral Rectus Muscle
- 眼球を外側に動かす外眼筋の一つ。外転神経(CN VI)によって支配され、前庭動眼反射(VOR)における眼球運動の制御に関与する。相反神経支配により、一方の外直筋が収縮する際に、反対側の外直筋が弛緩する。[第33回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学:水平半規管における相反抑制と三重の制御機構](/article/vestibular-system-horizontal-canal-reciprocal-inhibition)で詳しく解説されている。 [運動系] 筋肉, 末梢神経, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 外転神経核 (がいてんしんけいかく) Abducens Nucleus
- 第VI脳神経核で、外直筋を支配し、眼球を外側に動かす運動を制御する。前庭神経核から興奮性投射と抑制性投射の両方を受け取り、前庭動眼反射(VOR)における眼球運動の精密な制御に関与する。[第33回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学:水平半規管における相反抑制と三重の制御機構](/article/vestibular-system-horizontal-canal-reciprocal-inhibition)で詳しく解説されている。 [脳神経] 筋肉, 末梢神経, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 下丘 (かきゅう)
- 中脳に位置する聴覚伝達路の重要な中継核で、左右の聴覚情報の統合と反射的な音源定位を担う。第5次ニューロンの段階。 [神経解剖学] 脳, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 蝸牛 (かぎゅう)
- 内耳に位置する渦巻き状の器官で、音の振動を電気信号に変換する聴覚の中枢。コルチ器を内部に含み、周波数ごとに異なる部位が反応する。 [神経解剖学] 聴覚・前庭
- 顎関節 (がくかんせつ)
- 下顎骨と側頭骨をつなぐ関節。顎の歪みや噛み締めにより顎関節の機能が障害されると、三叉神経の機能低下を引き起こし、口蓋帆張筋の働きが悪くなって耳管の開閉障害が生じる。 [解剖学] 筋肉, 関節, 末梢神経, 聴覚・前庭, 嚥下・発声
- 下降性疼痛調整系 (かこうせいとうつうちょうせいけい) Descending pain modulation system
- 脳から脊髄へ向かう下行性の痛み抑制・促進システム。中脳水道周囲灰白質(PAG)→延髄吻側腹内側部(RVM)→脊髄後角という経路で、脊髄レベルでの痛み信号の伝達を調整する「脳内の天然の痛み止め」。関節の位置覚・視覚・聴覚・皮膚感覚などの正しい求心性入力によって再起動される。入力不足(求心路遮断)が続くと機能不全に陥り慢性痛の原因となる。 [生理学] 関節, 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 眼・視覚, 聴覚・前庭
- 下斜筋 (かしゃきん) Inferior Oblique Muscle
- 外眼筋の一つで、眼球を外上方へ回転させる作用を持つ。前半規管からの信号により、反対側のサテライト前庭神経核を介して収縮する。第34回講義ノート「垂直系前庭神経路の臨床解剖」で詳しく解説。 [運動系] 筋肉, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭
- 下直筋 (かちょくきん) Inferior Rectus Muscle
- 外眼筋の一つで、眼球を下方へ回転させる作用を持つ。後半規管からの信号により、同側の前庭神経核を介して収縮する。第34回講義ノート「垂直系前庭神経路の臨床解剖」で詳しく解説。 [運動系] 筋肉, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- カルシウム感受性カリウムチャネル (かるしうむかんじゅせいかりうむちゃねる)
- 細胞内カルシウム濃度の上昇により開口するカリウムイオンチャネル。有毛細胞では脱分極時に流入したカルシウムを感知して開き、カリウムイオンを細胞外に排出することで再分極を促進する。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学(図2:イオンチャネルによる電位変換)では、再分極の第4段階でこのチャネルの役割を解説している。 【図解】第32回講義ノート 図2:イオンチャネルによる電位変換メカニズム [生理学] 聴覚・前庭
- カルシウムポンプ (かるしうむぽんぷ)
- 細胞内のカルシウムイオンを能動的に細胞外へ汲み出すタンパク質。ATPをエネルギー源として働き、細胞内カルシウム濃度を正常レベルに維持する。有毛細胞では再分極の最終段階で電位を均衡状態に戻す役割を果たす。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学(図2:イオンチャネルによる電位変換)では、カルシウムポンプによる電位の均衡化メカニズムを解説している。 [生理学] 痛み, 聴覚・前庭
- 感音性難聴 (かんおんせいなんちょう)
- 内耳(蝸牛)や聴神経、中枢の電気的活動障害により生じる難聴。加齢性難聴、騒音性難聴、メニエール病などが原因となる。リンネ検査ではAC > BCだが両方とも低下する。 [神経系] 聴覚・前庭, 臨床検査
- 眼窩回 (がんかかい) Orbital Gyrus
- 前頭葉の底面に位置し、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・体性感覚が集約される。刺激が「報酬(益)」か「罰(害)」かを判断し、行動の期待や予測を行う。 [神経系] 脳, 感覚, 眼・視覚, 聴覚・前庭
- 眼振 (がんしん) Nystagmus
- 眼球が不随意に揺れ動く状態。前庭動眼反射(VOR)の安定化機構が破綻し、眼位の維持・注視が困難になった結果として発生する。視覚情報の80%以上を失う危機的な状況であり、脳はこれを空間認知の混乱、すなわち「めまい」として認識する。[第33回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学:水平半規管における相反抑制と三重の制御機構](/article/vestibular-system-horizontal-canal-reciprocal-inhibition)で詳しく解説されている。 [症状] 末梢神経, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 眼振 (がんしん)
- 眼球が不随意に律動的に動く現象。前庭系の障害や中枢神経系の異常により生じ、真の眩暈(めまい)を伴う場合が多い。水平性・垂直性・回旋性など方向により病変部位の推定が可能で、神経学的診断において重要な所見となる。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学、第26回講義ノート:視運動性眼振のメカニズム。 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム [症状] 関節, 末梢神経, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 眼振 (がんしん)
- 眼球の不随意的なリズミカルな運動。小脳や前庭系の機能低下により生じる。左大脳皮質の機能低下では相同性の観点から右側の小脳が機能低下し、右側に眼振が出やすくなる。 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム [神経系] 脳, 末梢神経, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 顔面神経 (がんめんしんけい)
- 第VII脳神経。顔面の表情筋を支配し、味覚や涙腺・唾液腺の分泌にも関与する。 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第10回講義ノート 図2:中枢性と末梢性の顔面麻痺の違い 【図解】第30回講義ノート 図2:三叉・顔面神経による聴覚調整機構 [脳神経] 筋肉, 末梢神経, 聴覚・前庭, 嚥下・発声
- 機械受容性チャネル (きかいじゅようせいちゃねる)
- 物理的な力(圧力・張力)により開閉するイオンチャネル。有毛細胞ではチップリンクの張力により直接ゲートが開き、カリウムイオンが流入して受容器電位が発生する。触覚や聴覚、平衡感覚の基礎となる変換機構である。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学(図1・図2)では、機械受容性チャネルの開閉メカニズムとイオン流入の詳細を図解している。 【図解】第32回講義ノート 図1:前庭有毛細胞のチップリンク構造と働き 【図解】第32回講義ノート 図2:イオンチャネルによる電位変換メカニズム [生理学] 感覚, 聴覚・前庭
- 疑核 (ぎかく) Nucleus Ambiguus
- 脳幹下部に位置し、孤束核からの情報を得て、咽頭筋や喉頭筋(嚥下や発声)、副神経を介した運動を支配する運動中枢。嘔気と嘔吐の鑑別において重要な役割を果たす。第34回講義ノート「垂直系前庭神経路の臨床解剖」で詳しく解説。 [運動系] 筋肉, 脳, 末梢神経, 運動, 聴覚・前庭, 嚥下・発声
- 拮抗作用 (きっこうさよう) Antagonistic Action
- 一方が興奮した際にもう一方が抑制される、相反する作用。前庭系では、左右の半規管が互いに「押し合う(押し比べ)」ことで平衡感覚を保っている。一方が適切に抑制されなければ、ブレーキの効かない「綱引き」状態となり、眼球の異常運動(眼振)を招く。[第33回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学:水平半規管における相反抑制と三重の制御機構](/article/vestibular-system-horizontal-canal-reciprocal-inhibition)で詳しく解説されている。 [運動系] 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 気導伝導 (きどうでんどう)
- 音波が外耳道→鼓膜→耳小骨→蝸牛という正常な経路で伝わる聴覚伝達。リンネ検査では音叉を外耳道近くに保持して測定する。正常ではAC(気導伝導)> BC(骨伝導)となる。 【図解】第31回講義ノート 図1:ウェーバー・リンネ検査の実施方法 [神経系] 聴覚・前庭, 臨床検査
- 橋核 (きょうかく)
- 橋の腹側に位置する神経核。大脳皮質(特に前頭葉や運動野)からの指令を受け取り、対側の小脳へと中継する重要な情報変換局。大脳から筋肉への指令の40倍もの情報量を小脳へ送る。 【図解】第22回講義ノート 図1:縦橋線維と橋核の構造 【図解】第22回講義ノート 図2:中小脳脚の入出力関係 【図解】第23回講義ノート 図1:皮質橋小脳路と誤差検出のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム 筋肉, 脳, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭
- 起立性調節障害 (きりつせいちょうせつしょうがい) Orthostatic dysregulation
- 起立時に血圧や心拍数の調節がうまくいかず、めまい、立ちくらみ、朝の起床困難などが生じる状態。夜間低血糖による交感神経の緊急発動が朝の症状を悪化させる。 [神経系] 自律神経, 血管・循環, 聴覚・前庭
- 空間認知 (くうかんにんち) Spatial Cognition
- 自分の身体の位置や周囲の空間を認識する能力。視覚・前庭・固有感覚の三位一体のバランスによって維持され、前庭動眼反射(VOR)の破綻により空間認知が混乱すると「めまい」として認識される。[第33回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学:水平半規管における相反抑制と三重の制御機構](/article/vestibular-system-horizontal-canal-reciprocal-inhibition)で詳しく解説されている。 [神経科学] 末梢神経, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 口呼吸 (くちこきゅう)
- 常に口が開いている呼吸様式。嚥下反射が不全になりやすく、耳管が適切に開放されないため、慢性的な耳の詰まりや中耳炎を繰り返す原因となる。 [神経系] 運動, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
- クラッキング (くらっきんぐ) Cracking
- 首を急激に鳴らす行為で、1B発火(腱紡錘)による一時的な弛緩を狙ったもの。しかし、前庭受容器のチップリンク(バネ構造)を損傷させ、前庭動眼反射のエラー(眼振や不安定感)を助長する悪循環を招く。第34回講義ノート「垂直系前庭神経路の臨床解剖」で詳しく解説。 [臨床神経学] 筋肉, 末梢神経, 感覚, 運動, 血管・循環, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 情動・心理, 臨床検査
- 眩暈 (げんうん)
- 自分または周囲が回転しているように感じる感覚。前庭系の障害により生じる真の眩暈と、ふらつきや不安定感などの偽性眩暈を区別することが臨床的に重要。眼振を伴う場合は前庭神経系の機能不全を強く示唆する。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学では、チップリンクの損傷が眩暈の原因となるメカニズムを解説している。 [症状] 感覚, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 情動・心理
- 口蓋帆張筋 (こうがいはんちょうきん)
- 耳管の開放を司る筋肉。三叉神経下顎神経(V3)の内側翼突筋神経により支配され、嚥下時に収縮して耳管を開き、中耳腔の気圧を調整する。 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [解剖学] 筋肉, 末梢神経, 聴覚・前庭, 嚥下・発声
- 口蓋帆張筋 (こうがいはんちょうきん)
- 軟口蓋の筋肉の一つで、三叉神経の運動枝である下顎神経(V3)の翼突筋神経によって支配される。嚥下や欠伸の際に収縮し、耳管を開放して中耳腔の圧力を調整する。この筋肉の機能不全は、耳管開放症や耳管狭窄症を引き起こす。英語名はtensor veli palatini。 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [解剖学] 筋肉, 末梢神経, 運動, 聴覚・前庭, 嚥下・発声