用語集
全74件の神経科学用語を収録しています。
- 中脳水道周辺灰白質
- 中脳水道周辺灰白質(ちゅうのうすいどうしゅうへんかいはくしつ)は、脳幹(のうかん)の中脳(ちゅうのう)にある、脳脊髄液(のうせきずいえき)が流れる水道の周りを取り囲む灰色の神経細胞の集まりです。特に「痛みの制御」に重要な役割を果たしており、ここが活性化することで、脳が自ら痛みを和らげる仕組み(内因性疼痛抑制系)を働かせます。また、恐怖や情動反応、睡眠・覚醒の調整にも関わる、生命維持に不可欠な部位です。 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 情動・心理
- 側坐核
- 報酬系の中枢的な脳領域。ポジティブな刺激により活性化され、ドーパミン放出、ATP産生、内因性オピオイド産生を促進する。患者の意欲(モチベーション)の再燃に重要な役割を果たす。 [神経解剖学] 痛み, 情動・心理
- 内因性オピオイド
- 辺縁系や側坐核がポジティブに活性化されると体内で産生される鎮痛物質。手技療法(外因性刺激)と異なり、脳内から分泌される鎮痛物質には副作用がない。 [神経生理学] 脳, 痛み, 情動・心理, 治療・リハビリ
- 扁桃体
- 大脳辺縁系に属する器官で、恐怖や不快感などの情動を処理し、刺激を報酬と懲罰に分別する。中心核、基底外側核、外側核から構成される。 [神経解剖学] 脳, 情動・心理
- 慢性痛
- 慢性痛(まんせいつう)は、通常の病気や怪我(けが)が治る期間(おおむね3ヶ月)を超えても持続する痛みのことです。単なる症状ではなく、痛みそのものが病気として扱われることがあります。これは、痛みを伝える神経回路(しんけいかいろ)が過敏(かびん)になったり、脳(のう)が痛みの信号を誤って処理し続けたりすることで生じます。生活の質を著しく低下させるため、身体的(しんたいてき)な治療だけでなく、心理的(しんりてき)な側面からのアプローチも重要になります。 【図解】第13回講義ノート 図1:急性痛と慢性痛の違い 【図解】第24回講義ノート 図2:嗅覚経路と辺縁系:感情と痛みの交差点 [神経系] 脳, 痛み, 情動・心理, 治療・リハビリ
- 観察による暖機運転
- 自分の過去の快調な時の歩行動画や理想的なフォームのアスリートの動画を見ることで、自分自身が動いていなくても脳の運動プログラムが発火する現象。ミラーニューロンの活性化による効果。 [臨床神経学] 運動, 情動・心理
- 情動学習
- 扁桃体を中心とした神経回路による学習機構。恐怖条件付けなど、情動を伴う経験から学ぶプロセス。 [神経解剖学] 脳, 情動・心理
- 交感神経
- 交感神経(こうかんしんけい)は、自律神経系(じりつしんけいけい)の一部で、主に身体を「闘争か逃走(fight-or-flight)」の状態に準備させる役割を担っています。ストレスや危険を感じた際に活性化し、心拍数や血圧を上げ、瞳孔(どうこう)を広げ、筋肉への血流を増やすなど、緊急事態に対応するためのエネルギーを動員します。リラックス時や休息時に優位になる副交感神経(ふくこうかんしんけい)と対になって、身体のバランスを保っています。 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経系] 筋肉, 運動, 自律神経, 血管・循環, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 情動・心理, 臨床検査
- 辺縁系
- 辺縁系(へんえんけい)は、脳の奥深く、大脳(だいのう)の中心部を取り囲むように位置する神経構造の集まりです。主に感情、記憶、意欲、そして学習といった、人間らしい心の働きを司っています。特に「扁桃体(へんとうたい)」が恐怖や喜びなどの感情処理を担い、「海馬(かいば)」が新しい記憶の形成に重要な役割を果たしていることが特徴です。生命維持に必要な本能的な行動とも深く関連しています。 【図解】第24回講義ノート 図2:嗅覚経路と辺縁系:感情と痛みの交差点 [神経系] 脳, 痛み, 情動・心理
- エピソード記憶
- 特定の時間と場所に関連した個人的な経験の記憶。扁桃体の活動性が低い場合、危険な経験から学ぶまでに通常より長時間を要する。 [神経学] 脳, 情動・心理
- CeLC
- 扁桃体中心核の外側部分(Centrolateral part of Central nucleus)。自律神経反応を制御する重要な領域。 [神経解剖学] 脳, 自律神経, 情動・心理
- ドパミン
- 中脳の黒質から産生される神経伝達物質で、運動制御、報酬系、情動に関与する。パーキンソン病ではドパミン不足が症状を引き起こす。 [生化学] 脳, 運動, 情動・心理
- 下降性疼痛抑制系
- 下降性疼痛抑制系(かこうせいとうつうよくせいけい)は、脳が自ら痛みを和らげるための仕組みです。脳幹(のうかん)から脊髄(せきずい)へ神経の経路が下りていき、痛みの信号をブロックしたり、弱めたりする働きをします。このシステムには、エンドルフィンなどの内因性(ないいんせい)の鎮痛物質が関わっており、ストレスや運動時などに活性化することで、痛みをコントロールする重要な役割を担っています。 【図解】第7回講義ノート 図1:下降性疼痛抑制系の構造 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 運動, 情動・心理
- 閾値 (いきち) Threshold
- 神経や受容器が反応を起こすために必要な最小刺激強度。閾値が高いほど反応しにくく(高閾値)、低いほど反応しやすい(低閾値)。炎症性メディエーターやストレスにより閾値が低下すると、通常では痛みを感じない刺激でも発火する「過敏化(感作)」が生じる。 [生理学] 痛み, 感覚, 情動・心理
- HPA軸 (えいちぴーえーじく) Hypothalamic-Pituitary-Adrenal axis
- 視床下部-下垂体-副腎系。ストレス応答や内分泌調節に関与する神経内分泌系の主要経路。女性ホルモンの急激な変動が視床下部にストレス信号を送り、隣接する自律神経中枢にも影響を与える。 [神経系] 内臓, 脳, 自律神経, 内分泌, 情動・心理
- エストロゲン (えすとろげん) Estrogen
- 卵胞ホルモン。女性の生理周期や更年期において急激に変動し、視床下部への強力なストレス信号となる。隣接する自律神経中枢にも影響を与え、自律神経失調症状を引き起こす。 [内分泌] 脳, 運動, 自律神経, 内分泌, 情動・心理
- 外側系(視床) (がいそくけい) Lateral thalamic system
- 痛みの視床経路の一つ。脊髄から視床の外側核群(腹側後外側核など)を経由して第一次感覚野(頭頂葉)に至る経路。「右指の先がチクッとする」という具体的な痛みの場所・強さ・性質を識別する「情報処理系」を担う。内側系(情動系)と対をなす。 [解剖学] 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 情動・心理
- 海馬 (かいば) Hippocampus
- 側頭葉内側に位置し、エピソード記憶の形成と空間認知を担う。パペッツの情動回路の起点となり、記憶と情動を統合する。 [神経系] 脳, 情動・心理
- 獲得形質 (かくとくけいしつ)
- 過去の不快な経験が「美味しいものを見ても口が乾く」といった負の反射として定着した状態。適切な感覚刺激で上書きし、神経系の働きを再構築することが臨床家の役割である。 [臨床神経学] 感覚, 運動, 情動・心理, 臨床検査
- 下降性疼痛抑制系 (かこうせいとうつうよくせいけい) Descending Pain Inhibition System
- 辺縁系から中脳水道周辺灰白質(PAG)、延髄を経て脊髄後角へと下る神経経路。痛みのゲートコントロールメカニズムにより、慢性痛や異常感覚を抑制する。 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 情動・心理
- 活動電位 (かつどうでんい)
- ニューロンが興奮した際に発生する電気的信号。ミトコンドリアによるATP産生が低下すると活動電位が不安定となり、難聴や耳鳴りといった症状として現れる。 [神経系] 痛み, 情動・心理
- 顆粒球 (かりゅうきゅう) Granulocyte
- 白血球の一種で、交感神経の支配下にある。気圧の変化により顆粒球とリンパ球のバランスが揺さぶられ、低気圧時にはリンパ球が反応して炎症物質や不快感を増幅させる。 [生化学] 自律神経, 情動・心理
- 眼窩前頭皮質 (がんかぜんとうひしつ) Orbitofrontal Cortex
- 前頭葉の眼窩面に位置する皮質領域で、痛みの認知・評価・情動的側面の処理に関与する。嗅覚情報が直接投射されるため、匂いによる痛みの調節が可能となる。アロマセラピーが痛みを和らげるのは、この領域を介した下降性疼痛抑制系の活性化による。 【図解】第24回講義ノート 図2:嗅覚経路と辺縁系:感情と痛みの交差点 [神経系] 脳, 痛み, 眼・視覚, 情動・心理
- 感情 (かんじょう)
- 出来事に対して抱く内面的な「想い」。これ自体に直接的な行動や筋肉の収縮は伴わない。前頭前野による理性的な処理に関連する。 [神経系] 筋肉, 脳, 情動・心理
- 嗅神経 (きゅうしんけい) Olfactory Nerve (CN I)
- 第一脳神経。鼻腔の嗅上皮から嗅球へと伸びる感覚神経で、匂いの情報を脳に伝える。嗅覚情報は視床を経由せずに(または経由して)扁桃体や眼窩前頭皮質へと直接投射されるため、感情や痛みの認知と密接に関連する。アロマセラピーが慢性痛に有効な解剖学的根拠となる。 【図解】第24回講義ノート 図2:嗅覚経路と辺縁系:感情と痛みの交差点 [脳神経] 脳, 末梢神経, 痛み, 感覚, 眼・視覚, 情動・心理, 臨床検査
- クラッキング (くらっきんぐ) Cracking
- 首を急激に鳴らす行為で、1B発火(腱紡錘)による一時的な弛緩を狙ったもの。しかし、前庭受容器のチップリンク(バネ構造)を損傷させ、前庭動眼反射のエラー(眼振や不安定感)を助長する悪循環を招く。第34回講義ノート「垂直系前庭神経路の臨床解剖」で詳しく解説。 [臨床神経学] 筋肉, 末梢神経, 感覚, 運動, 血管・循環, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 情動・心理, 臨床検査
- 結合腕傍核 (けつごうわんぼうかく) Parabrachial nucleus
- 脳幹の橋(きょう)に位置する核群。進化的に小脳の出入り口(上小脳脚の傍)に位置し、現在では痛み情報を視床を介さず直接扁桃体へ送る「ショートカット路」として機能する。呼吸・循環・味覚・睡眠のコントロールセンターのすぐ隣に位置するため、これらの機能と痛みの情報が混線しやすい。コロナ後遺症による味覚障害が全身の痛みや情動低下を引き起こす一因とされる。 [解剖学] 脳, 痛み, 運動, 血管・循環, 情動・心理
- 眩暈 (げんうん)
- 自分または周囲が回転しているように感じる感覚。前庭系の障害により生じる真の眩暈と、ふらつきや不安定感などの偽性眩暈を区別することが臨床的に重要。眼振を伴う場合は前庭神経系の機能不全を強く示唆する。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学では、チップリンクの損傷が眩暈の原因となるメカニズムを解説している。 [症状] 感覚, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 情動・心理
- 視床 (ししょう) Thalamus
- 間脳の中核を成す神経核の集合体。感覚・運動・情動情報をフィルタリングし、大脳皮質の覚醒レベルや注意の対象を決定する動的インターフェース。核ごとに固有の入出力先を持ち、臨床症状の弁別に直結する。 [神経系] 脳, 感覚, 運動, 情動・心理
- 視床下部 (ししょうかぶ) Hypothalamus
- 間脳に位置し、自律神経系とホルモン系(内分泌系)の最高司令塔。体温・血圧・心拍・食欲・睡眠・性行動・ストレス反応などを統合的に調節する。痛み情報が視床下部に入力されると、心拍数上昇・血圧変動・ストレスホルモン(コルチゾール)分泌が促進される。閉経に伴うホルモン低下は視床下部を介した痛み抑制機構を弱め、50代以降の女性に不定愁訴が増加する一因となる。 [解剖学] 脳, 痛み, 自律神経, 血管・循環, 内分泌, 情動・心理
- 視床前核 (ししょうぜんかく) Anterior Thalamic Nucleus
- 視床の前部に位置し、乳頭体からの情報を帯状回へ中継する。パペッツの情動回路において重要な役割を果たす。 [神経系] 脳, 情動・心理
- 上丘 (じょうきゅう)
- 中脳に位置する視覚情報の中継核。視覚刺激を受けて孤束核へ投射し、迷走神経系を介した情動反射(吐き気、嘔吐)を引き起こす。 [神経系] 脳, 末梢神経, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 嚥下・発声, 情動・心理, 臨床検査
- 情動 (じょうどう)
- 刺激に対する生理的な応答。交感神経の亢進(手に汗を握る)、涙が出る、恐怖によるフリーズ(身震い)など、生存に関わる具体的な身体の「動き」を伴う。パペッツの情動回路を通じて記憶、意識、運動制御と密接にリンクしている。 [神経系] 運動, 自律神経, 情動・心理
- 侵害情報 (しんがいじょうほう) Nociceptive information
- 組織損傷を引き起こす可能性のある刺激(機械的・熱的・化学的)に関する感覚情報。侵害受容器(ノシセプター)で受容され、Aδ線維(速い鋭い痛み)とC線維(遅い鈍い痛み)によって脊髄後角へ伝達される。扁桃体には嗅覚・味覚・視覚とともに侵害情報がダイレクトに入力され、生存に関わる危険評価に用いられる。 [神経生理学] 脳, 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚, 眼・視覚, 情動・心理
- 髄板内核 (ずいばんないかく) Intralaminar nuclei of thalamus
- 視床の内側に位置する核群の総称。内側系(情動系)の中継点として、脊髄からの痛み情報を扁桃体・帯状回・前頭前野などの辺縁系に伝える。意識・覚醒・注意の調節にも関与する。慢性痛の形成において、この経路を通じた扁桃体への繰り返し入力が「痛みの記憶」を固定化させる。 [解剖学] 脳, 脊髄, 痛み, 情動・心理
- 静止膜電位 (せいしまくでんい)
- 神経細胞が興奮していない安静時の膜電位(通常-70mV前後)。活性酸素やエネルギー不足によって不安定化すると閾値に接近し、わずかな刺激でも発火しやすくなる。 [神経系] 情動・心理
- 青斑核 (せいはんかく)
- 橋(きょう)に位置するノルアドレナリン作動性ニューロンの主要な集団。DLPTルートの中心核として、PAGからの指令を受けて脊髄後角へノルアドレナリンを放出し、α₂受容体を介してsubstance Pの放出を抑制することで機械的侵害刺激を遮断する。覚醒・注意・ストレス応答にも深く関与する。 [神経系] 脳, 脊髄, 内分泌, 情動・心理
- 前帯状回 (ぜんたいじょうかい) Anterior cingulate cortex (ACC)
- 大脳皮質の内側面に位置する帯状回の前部。痛みの感情的・認知的評価(「どれほど辛いか」「どれほど不快か」)を担う。急性痛の情報処理において視床→S1→ACC の経路で活性化し、注意・動機づけ・情動調節にも関与する。慢性痛では過活動状態となり、痛みの「破局化」や「恐怖回避」行動の形成に寄与する。 [神経解剖学] 脳, 痛み, 情動・心理
- 前頭眼野 (ぜんとうがんや)
- ブロードマンエリア8番に位置する脳領域。視線制御に関与し、パペッツの情動回路からの投射を受ける。「心の状態が目に出る」のは、情動の動きが視線制御にまで波及するためである。 [神経系] 眼・視覚, 情動・心理
- 相同性 (そうどうせい) Homology
- 発生学的に同じ起源を持つ構造や神経核が、機能的にも連動しやすい性質。脳幹を縦に走る動眼神経・滑車神経・外転神経・舌下神経の核は相同関係にあり、一つの神経が発火すると仲間も連動して発火しやすい。臨床では、舌の動きが悪い患者に眼球運動を併用させることで、脳幹全体を再起動(リプログラミング)させるリハビリテーションに応用される。 【図解】第24回講義ノート 図1:外眼筋の単独作用と眼位 【図解】第24回講義ノート 図2:嗅覚経路と辺縁系:感情と痛みの交差点 【図解】第30回講義ノート 図2:三叉・顔面神経による聴覚調整機構 [神経学] 筋肉, 脳, 末梢神経, 痛み, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 情動・心理, 治療・リハビリ
- 帯状回 (たいじょうかい) Cingulate Gyrus
- 大脳皮質の内側面に位置し、情動と認知の統合を担う。パペッツの情動回路の一部を構成し、海馬へ情報を送る。 [神経系] 脳, 情動・心理
- 帯状束 (たいじょうそく) Cingulum / Cingulate bundle
- 帯状回(前帯状回・後帯状回)の皮質下に走行する白質線維束。パペッツの情動回路の一部を構成し、海馬・扁桃体・視床・前頭前野などを連絡する。大脳皮質連合野からの適切な投射がこの帯状束を通じて情動回路へ流れ込むことで精神の安定が保たれる。不動や廃用により皮質からの投射が低下すると帯状束の「流れが淀み」、うつ状態や慢性痛の過敏化につながる。 [神経解剖学] 脳, 脊髄, 痛み, 情動・心理
- 第二次体性感覚野 (だいにじたいせいかんかくや)
- S2。痛みの情動面(嫌悪・恐怖・拒絶)を処理する。慢性痛ではS1が沈黙しS2のみが異常発火する「S1沈黙・S2発火」現象が起きる。 [神経解剖学] 痛み, 感覚, 情動・心理
- 大脳辺縁系 (だいのうへんえんけい) Limbic System
- 本能、情動、および生命維持の最高中枢。海馬、扁桃体、帯状回、乳頭体などを含み、外部環境への適応と回避行動を決定づける神経系の総称。 [神経系] 脳, 情動・心理
- 中脳水道周囲灰白質 (ちゅうのうすいどうしゅういはいはくしつ) Periaqueductal gray (PAG)
- 中脳の中心管(中脳水道)を取り囲む灰白質領域。下降性疼痛調整系の主要な起点であり、脳内のオピオイド受容体が高密度に分布する。PAGが活性化されると、延髄を経由して脊髄後角での痛み信号の伝達が抑制される(内因性鎮痛)。モルヒネなどのオピオイド鎮痛薬はこの領域に作用する。ストレスや強い感情によっても活性化される(ストレス誘発性鎮痛)。 [解剖学] 脳, 脊髄, 痛み, 情動・心理, 臨床検査
- 中脳水道周辺灰白質 (ちゅうのうすいどうしゅうへんかいはくしつ) Periaqueductal Gray
- 中脳の中央に位置し、下降性疼痛抑制系の中枢として機能する。辺縁系からの投射を受けて、脊髄後角での痛みの伝達をブロックする。 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 情動・心理, 臨床検査
- 中脳辺縁ドパミン系 (ちゅうのうへんえんどぱみんけい)
- VTA(中脳腹側被蓋野)を起始とし、内側前脳束を経由して側坐核・扁桃体・海馬・前帯状回・前頭前野へ広大な投射を行う報酬・鎮痛の中枢システム。慢性疼痛では機能低下する。 [神経解剖学] 脳, 痛み, 運動, 情動・心理
- 腸腰筋 (ちょうようきん)
- 腰椎と大腿骨を結ぶ筋肉。座位での股関節屈曲位が続くと過収縮を起こし、みぞおち付近に痛みを生じるため、患者が「胃が悪い」と誤認することがある。辺縁系の機能低下(ワインドダウン)にも関連する。 [解剖学] 筋肉, 関節, 内臓, 脳, 脊髄, 痛み, 情動・心理
- 疼痛受容性扁桃体 (とうつうじゅようせいへんとうたい) Nociceptive amygdala / Pain-receptive amygdala
- 扁桃体の中心外側核(CEl)に存在するニューロンのうち、約80%が痛みの情報処理に特化しているとされる神経群の概念的呼称。特に下肢(膝・股関節・足首)からの侵害刺激に対して高い感受性を持つ。不動(廃用)によって下肢からの適正な感覚入力が途絶えると、このネットワークが過敏化(感作)し、わずかな組織変化を「重大な危機」として増幅する。 [神経生理学] 関節, 脳, 痛み, 感覚, 情動・心理
- 島皮質 (とうひしつ) Insular cortex (Insula)
- 大脳皮質の外側溝(シルビウス裂)の奥に位置する皮質領域。痛みの感覚と感情を統合する「痛みの情動的評価」の中枢。内受容感覚(身体内部の状態認識)・共感・嫌悪感にも関与する。幼少期の経験によって発達が左右され、過保護な環境では正常に育たず、成人後の痛み過敏につながる可能性がある。 [神経解剖学] 脳, 痛み, 感覚, 情動・心理