用語集

全576件の神経科学用語を収録しています。

P2X受容体 (ぴーつーえっくすじゅようたい)
細胞外に漏出したATPが結合するイオンチャネル型受容体。組織損傷時に発痛シグナルを開始する主要な受容体の一つ。 [神経系] 痛み
PICA (ぴか)
後下小脳動脈(Posterior Inferior Cerebellar Artery)の略称。椎骨動脈から分岐し、延髄外側と小脳下面を栄養する動脈。この動脈の閉塞により、ワレンベルグ症候群(延髄外側症候群)が生じる。延髄外側には三叉神経脊髄路核、脊髄視床路、下小脳脚などの重要な神経構造が含まれる。 [解剖学] 脳, 脊髄, 末梢神経, 運動, 血管・循環
非識別性感覚 (ひしきべつせいかんかく)
刺激の位置や性質を正確に識別できない感覚。痛みや温度感覚など、主に脊髄視床路で伝達される。 [感覚系] 脳, 脊髄, 痛み, 感覚
皮質橋核路 (ひしつきょうかくろ)
大脳皮質から橋核へ向かう神経路。運動の「理想モデル」を小脳へ送るための情報経路。 【図解】第22回講義ノート 図1:縦橋線維と橋核の構造 脳, 運動
皮質脊髄路 (ひしつせきずいろ)
大脳皮質から脊髄に至る主要な運動経路。随意運動、特に巧緻運動の制御に重要な役割を果たす。 【図解】第8回講義ノート 図2:皮質脊髄路(錐体路)の経路 [運動系] 脳, 脊髄, 運動
ヒスタミン (ひすたみん)
マスト細胞や好塩基球から放出される炎症性メディエーター。血管透過性の増加、かゆみ、痛みの増強に関与する。 [生理学] 痛み, 血管・循環
尾側 (びそく)
脳幹において尾側(下位)を指す用語。三叉神経脊髄路核では、尾側レベルが顔面外側部(側頭部・耳周囲)の感覚に対応する。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 [神経解剖学] 脳, 脊髄, 末梢神経, 感覚
尾側 (びそく)
神経解剖学における方向を示す用語で、尾側(尾側)を意味する。脳幹においては、脊髄に近い側を尾側、中脳に近い側を吻側と呼ぶ。三叉神経脊髄路核のオニオンスキン配置では、顔面の中心部(口周囲)の感覚情報が尾側(延髄下部〜上位頸髄)に対応する。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 [解剖学] 脳, 脊髄, 末梢神経, 感覚
病的反射 (びょうてきはんしゃ)
中枢神経系の障害を示す異常な反射。バビンスキー反射、ホフマン反射、トレブナー反射などが含まれる。 [運動系] 運動, 臨床検査
ファストフェイズ (ふぁすとふぇいず)
眼振において、脳が視線のズレを修正しようと眼球を素早く元の位置に戻す相。スローフェイズの後に起こる急速な眼球運動。 [生理学] 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭
VA核 (ブイエーかく) Ventral Anterior Nucleus
視床の前腹側核。大脳基底核や小脳からの情報を受け、運動野へ送る。錐体外路の調整や、脳を覚醒させる上行性賦活系の重要拠点となる。 [神経系] 脳, 脊髄, 運動
VL核 (ブイエルかく) Ventral Lateral Nucleus
視床の外側腹側核。小脳や大脳基底核からの運動情報を受け、運動野へ中継する。運動の調整と上行性賦活系の一部を担う。 [神経系] 脳, 運動
VPM核 (ブイピーエムかく) Ventral Posteromedial Nucleus
視床の後内側腹側核。顔面・味覚の感覚情報を集約し、第一次体性感覚野へ届ける感覚中継核。 [神経系] 脳, 感覚
VPL核 (ブイピーエルかく) Ventral Posterolateral Nucleus
視床の後外側腹側核。体幹・四肢の感覚情報を集約し、第一次体性感覚野へ届ける感覚中継核。 [神経系] 脳, 感覚
複合性局所疼痛症候群 (ふくごうせいきょくしょとうつうしょうこうぐん) Complex Regional Pain Syndrome
CRPSの正式名称。末梢神経の支配領域を超えて腕全体や半身などの広範囲に痛みが波及するのが特徴。これは末梢の問題ではなく、脊髄のIML(中間外側細胞柱)を含む中枢神経系の制御システムが破綻した結果である。タイプ1(神経損傷なし)とタイプ2(神経損傷あり)に分類される。 [病態生理学] 脊髄, 末梢神経, 痛み, 自律神経
複視 (ふくし) Diplopia
物が二重に見える症状。ダブルビジョンとも呼ばれる。眼球運動を繰り返す中でATPが枯渇し、外眼筋の収縮力が低下することで発生する。器質的な神経麻痺ではなく、エネルギー代謝の問題を示唆する重要な臨床サイン。 【図解】第26回講義ノート 図2:眼球の回転軸とATP枯渇のメカニズム [臨床神経学] 筋肉, 痛み, 運動, 眼・視覚
腹式呼吸 (ふくしきこきゅう) Diaphragmatic breathing
横隔膜を主動筋として行う深い呼吸法。副交感神経を優位にし、下降性疼痛調整系を活性化させる。慢性痛の治療において、酸素供給の最大化と自律神経バランスの回復に有効な手技。 [臨床神経学] 筋肉, 痛み, 自律神経, 治療・リハビリ
副腎髄質 (ふくじんずいしつ)
副腎の内側部分。交感神経の刺激を受けてアドレナリン・ノルアドレナリンを分泌し、急性ストレス反応(脈拍・血圧・呼吸数の増加)を引き起こす。 [解剖学] 内臓, 自律神経, 血管・循環, 内分泌, 情動・心理
不定愁訴 (ふていしゅうそ) Medically unexplained symptoms
「なんとなく体がだるい」「どこが痛いとはっきり言えない全身の重だるさ」など、検査では異常が見つからないにもかかわらず様々な自覚症状が続く状態。更年期障害・自律神経失調症・線維筋痛症などに多く見られる。神経生理学的には、ホルモン低下による痛み抑制機構の弱体化、辺縁系の過敏化、下降性疼痛調整系の機能不全が複合的に関与する。 [臨床神経学] 筋肉, 脳, 痛み, 運動, 自律神経, 内分泌, 情動・心理, 臨床検査
不動毛 (ふどうもう)
有毛細胞の先端に階段状に配列された複数の感覚毛。動毛とチップリンクで繋がれており、不動毛同士もチップリンクで連結されている。不動毛側への傾斜時にはチャネルが閉じて抑制が生じる。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学(図1:チップリンクの構造と働き)。 【図解】第32回講義ノート 図1:前庭有毛細胞のチップリンク構造と働き [解剖学] 感覚, 聴覚・前庭
負の情動 (ふのじょうどう) Negative emotion / Negative affect
恐怖・不安・不快・怒り・嫌悪などの不快な感情状態の総称。扁桃体が主要な制御中枢として機能する。慢性痛では結合腕傍核(PBN)から扁桃体への直接投射により、場所の特定を伴わない強烈な負の情動が生じる。痛みの「感情的側面」を担い、慢性痛の苦痛・回避行動・破局化思考の基盤となる。 [神経生理学] 脳, 痛み, 情動・心理, 臨床検査
プラシーボ (ぷらしーぼ)
治療作用のない物質(疑似薬)を投与しても良好な結果が出る現象。語源はラテン語「私は主を喜ばせる」。現代神経科学では、脳の期待感・条件付けが側坐核→PAG→内因性オピオイド系を駆動することで本物の鎮痛が生じると解明されている。 [神経学] 脳, 痛み, 治療・リハビリ
ブラジキニン (ぶらじきにん)
組織損傷や炎症時に産生されるペプチド。侵害受容器を直接活性化し、強い痛みと血管拡張を引き起こす代表的な炎症性メディエーター。 [生理学] 痛み, 感覚, 血管・循環
フリーラジカル (ふりーらじかる)
不対電子を持つ不安定な分子。ミトコンドリア電子伝達系の不完全還元によって生成され、細胞膜や神経終末を酸化・破壊して痛みの閾値を低下させる。 [生化学] 痛み, 情動・心理
プロスタグランジン (ぷろすたぐらんじん)
アラキドン酸から合成される脂質メディエーター。侵害受容器の感度を高め、発熱・炎症・痛みを増強する。NSAIDsはこの合成を阻害することで鎮痛効果を発揮する。 [生理学] 痛み, 感覚
吻側 (ふんそく)
神経解剖学における方向を示す用語で、頭側(吻側)を意味する。脳幹においては、中脳に近い側を吻側、脊髄に近い側を尾側と呼ぶ。三叉神経脊髄路核のオニオンスキン配置では、顔面の外側部(耳周囲・側頭部)の感覚情報が吻側(延髄上部)に対応する。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 [解剖学] 脳, 脊髄, 末梢神経, 感覚
吻側 (ふんそく)
脳幹において頭側(上位)を指す用語。三叉神経脊髄路核では、吻側レベルが顔面中心部(口周囲)の感覚に対応する。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 [神経解剖学] 脳, 脊髄, 末梢神経, 感覚
吻側延髄腹側内側部 (ふんそくえんずいふくそくないそくぶ)
RVM(Rostral Ventromedial Medulla)とも呼ばれる延髄の中継核。PAGからの鎮痛指令を受け取り、セロトニン作動性ニューロンを介して脊髄後角へ伝達する。大縫線核・傍巨大細胞網様核を含む領域で、温熱的侵害刺激の下行性抑制を担う。 [神経系] 脳, 脊髄, 痛み, 内分泌
分泌 (ぶんぴつ) Secretion
腺組織から特定の物質(涙、唾液、ホルモンなど)を産生・放出する生理機能。受容器が「乾き」などの刺激を察知して初めて反射として機能する。分泌機能はミトコンドリアでのATP産生に依存するため、エネルギー代謝の状態が直接影響する。 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 [生理学] 筋肉, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 内分泌, 臨床検査
偏位 (へんい) Deviation
正常な位置や方向から外れること。神経学的診察では、舌を出してもらった際の偏位が重要な指標となる。舌がどちらかに偏位していれば、それは対側の脳皮質の機能低下を疑うサインとなる。皮質の機能が低下すれば、下降性の調整能力が落ち、結果として末梢の筋肉は異常な緊張(トーン)を強いられる。 [生理学] 筋肉, 嚥下・発声
偏位 (へんい)
正常な位置からズレること。眼球運動においては、麻痺や機能低下により眼球が特定の方向へ固定されてしまう状態を指す。 [神経学] 運動, 眼・視覚
辺縁系 (へんえんけい) Limbic System
大脳の内側に位置し、情動・記憶・動機づけを司る神経系の総称。扁桃体、海馬、帯状回、眼窩前頭皮質などが含まれる。嗅覚情報が直接投射されるため、匂いと感情・記憶の結びつきが強い。慢性痛患者では辺縁系の過活動が見られることが多く、受容器の発火を伴わない「脳が作り出す痛み」の中枢となる。 【図解】第24回講義ノート 図2:嗅覚経路と辺縁系:感情と痛みの交差点 [神経系] 脳, 痛み, 感覚, 眼・視覚, 情動・心理
扁桃体 (へんとうたい) Amygdala
側頭葉内側に位置する辺縁系の一部で、恐怖・不安・怒りなどの情動処理を担う。嗅覚情報が直接投射されるため、匂いによる情動反応が即座に引き起こされる。慢性痛患者では扁桃体の活動が亢進しており、痛みの情動的側面(不快感・恐怖)を増幅させる。 【図解】第6回講義ノート 図1:痛みの情動増幅メカニズム 【図解】第24回講義ノート 図2:嗅覚経路と辺縁系:感情と痛みの交差点 [神経系] 脳, 痛み, 情動・心理
扁桃体 (へんとうたい) Amygdala
側頭葉内側に位置し、恐怖や不安などの情動反応を司る。エピソード記憶と結びついて「危険の回避」という強力な知恵をパッケージ化する。 [神経系] 脳, 情動・心理
扁桃体 (へんとうたい)
大脳辺縁系に属する神経核の集合体。感情、特に恐怖や不安の処理に関与し、痛みに対する情動的な意味づけを行う。 【図解】第6回講義ノート 図1:痛みの情動増幅メカニズム 【図解】第24回講義ノート 図2:嗅覚経路と辺縁系:感情と痛みの交差点 [神経解剖学] 脳, 痛み, 情動・心理
弁別 (べんべつ)
臨床において、患者の痛みが急性の侵害受容性疼痛なのか、中枢の誤作動による慢性痛なのかを見極める能力。適切な治療介入の選択に不可欠なスキル。 [臨床神経学] 痛み, 治療・リハビリ
ポリモーダル受容器 (ぽりもーだるじゅようき) Polymodal receptor
機械的刺激・熱刺激・化学的刺激のすべてに反応するオールラウンドな侵害受容器。急性期の組織損傷を中枢へ伝える最前線のセンサーであり、C線維やAδ線維の末端に存在する。 [感覚系] 末梢神経, 痛み, 感覚
ホルネル症候群 (ほるねるしょうこうぐん) Horner Syndrome
交感神経の障害により、縮瞳(瞳孔が小さくなる)、眼瞼下垂、顔面の発汗低下などが生じる症候群。本記事では、その対極として交感神経の抑制不全による瞳孔散大を説明している。 [神経系] 自律神経, 眼・視覚
マイクロ牽引 (まいくろけんいん) Micro Traction
筋肉が反発するギリギリのトーン(緊張)を捉え、微小な牽引力を加える治療技術。神経学的な手技において非常に示唆に富むアプローチで、この極めて繊細な刺激が、筋紡錘を介して中枢(脳)をリセットし、異常なトーンを解除する。これは力尽くの矯正ではなく、神経という「精密な情報網」との対話である。 [臨床神経学] 筋肉, 臨床検査, 治療・リハビリ
マイスナー小体 (まいすなーしょうたい)
皮膚の真皮乳頭に存在する機械受容器。軽い接触や振動の検出に関与し、急速に順応する。 【図解】第6回講義ノート 図2:皮膚の受容器の種類と分布 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 [感覚系] 感覚
膜電位 (まくでんい)
神経細胞の細胞膜内外の電位差。通常は約-70mVの静止膜電位を保っているが、ATP産生が低下してナトリウム・カリウムポンプが機能しなくなると、脱分極方向に傾き、神経が異常に発火しやすくなる。 [生理学] 痛み
末梢感作 (まっしょうかんさ)
末梢の侵害受容器の閾値が低下し、過敏になった状態。炎症性メディエーターの放出によって引き起こされ、軽微な刺激でも強い痛みを生じる。 [病態生理学] 痛み, 感覚
末梢神経 (まっしょうしんけい)
中枢神経系(脳・脊髄)以外の神経の総称。脳神経と脊髄神経からなり、感覚・運動・自律神経機能を担う。 [末梢神経] 脊髄, 末梢神経, 感覚, 運動, 自律神経
末梢神経障害 (まっしょうしんけいしょうがい) Peripheral Neuropathy
末梢神経の機能障害の総称。感覚障害、運動障害、自律神経障害を呈する。分布パターンにより単神経障害、多発単神経障害、多発神経障害に分類される。 [病態生理学] 末梢神経, 感覚, 運動, 自律神経
末梢性感作 (まっしょうせいかんさ)
末梢の侵害受容器が繰り返しの刺激や炎症によって過敏化した状態。閾値が低下し、通常では痛みを生じない刺激でも発火するようになる。 [神経系] 痛み, 感覚
慢性疼痛 (まんせいとうつう) Chronic pain
6ヶ月以上持続する痛みの総称。単なる「長引く痛み」ではなく、中枢神経系の可塑的変化により痛みの処理システム自体がエラーを起こしている状態。画像診断で組織異常が見当たらなくても痛みが続く「病態生理学的な痛み」へと変貌する。 [病態生理学] 痛み, 臨床検査
ミオシン (みおしん) Myosin
筋肉の収縮に関与する太いフィラメント状のタンパク質。アクチンと結合して筋収縮を引き起こし、ATPのエネルギーを使って解離することで筋弛緩が起こる。 [生化学] 筋肉, 痛み
ミトコンドリア (みとこんどりあ)
細胞内のエネルギー産生器官。酸化的リン酸化によりATPを産生し、細胞機能を支える。 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 [生化学] 痛み, 運動, 臨床検査
耳鳴り (みみなり)
聴覚神経系が静止時に発火頻度を高めた状態。実際には外部から音が入っていないにもかかわらず、「キーン」「ジー」といった音が聞こえる現象。約90%のケースで何らかの難聴を伴う。 [症状] 聴覚・前庭
耳鳴り感 (みみなりかん)
実際には神経発火が起きていないにもかかわらず、耳が詰まったような違和感を覚える状態。プールで水が入ったような感じ、ボワンとこもる感覚として表現される。耳管の閉塞が原因であることが多い。 [症状] 感覚, 聴覚・前庭