用語集
全23件の神経科学用語を収録しています。
- パーキンソン病
- 黒質のドパミン神経が変性する神経変性疾患。静止時振戦、筋固縮、無動などの症状を呈する。基底核の直接路・間接路の不全が原因。 [病態生理学] 筋肉, 脳, 運動
- 求心路遮断性疼痛 (きゅうしんろしゃだんせいとうつう) Deafferentation pain
- 末梢からの感覚入力(求心路)が遮断・減少した結果として生じる痛み。「触っても感覚がないのに、その場所がズキズキ痛む」という一見矛盾する現象として現れる。末梢からの刺激(特にAβ線維の入力)が極端に低下すると、後続のニューロンが「刺激不足」という飢餓状態に陥り、感度を異常に高めて自ら激しく発火し始める(自発発火)。無感覚痛とも呼ばれる。 [病態生理学] 痛み, 感覚
- 局在性 (きょくざいせい)
- 痛みの場所がはっきりしている性質。S1が活性化している急性痛の特徴。慢性痛(S2発火)では局在性が失われ、「どこが痛いか分からない」状態になる。 [病態生理学] 痛み
- 虚血 (きょけつ)
- 組織への血流が不足し、酸素や栄養が十分に供給されない状態。脳幹の虚血はバランスを司る神経核の機能低下を引き起こす。 [病態生理学] 脳, 痛み, 血管・循環
- 幻肢痛 (げんしつう) Phantom limb pain
- 切断などにより手足を失った後も、存在しないはずの部位に痛みや感覚を感じる現象。脳の第一次感覚野(体性感覚野)にある「脳内地図(ホムンクルス)」の混乱が原因。末梢からの入力が途絶えると、脳はその空白を埋めようとして地図を書き換え、隣接する身体部位の感覚が侵入することで痛みが生じる。ミラーセラピーが有効な治療法として知られる。 [病態生理学] 痛み, 感覚, 治療・リハビリ
- CRPS (しーあーるぴーえす) Complex Regional Pain Syndrome
- 複合性局所疼痛症候群(ふくごうせいきょくしょとうつうしょうこうぐん)の略称。軽微な外傷や神経損傷の後に、損傷部位を大きく超えた範囲に持続的な激しい痛み・浮腫・皮膚変化・自律神経症状が生じる難治性疾患。タイプ1(神経損傷なし、旧:反射性交感神経性ジストロフィー)とタイプ2(神経損傷あり、旧:カウザルギー)に分類される。IMLを含む中枢神経系の制御システムの破綻が主因とされる。 [病態生理学] 脊髄, 痛み, 運動, 自律神経, 臨床検査
- 刺激の飢餓状態 (しげきのきがじょうたい)
- 神経細胞が長期間にわたって適切な入力刺激を受けられない状態。聴覚野において特定の周波数の音が聞こえなくなると、その周波数を処理していた神経細胞が刺激の飢餓状態に陥り、自発的に発火し始める。これが感音性耳鳴りの原因となる。 [病態生理学] 聴覚・前庭
- 侵害受容性疼痛 (しんがいじゅようせいとうつう)
- 組織の損傷や炎症によって侵害受容器が活性化されることで生じる痛み。急性痛の主体であり、生体の防衛反応として機能する。 [病態生理学] 痛み, 感覚
- 神経原性炎症 (しんけいげんせいえんしょう)
- 末梢神経(主にC線維・Aδ線維)の末端から放出されるsubstance Pなどの神経ペプチドによって引き起こされる局所炎症反応。血管拡張・血管透過性亢進・炎症メディエーターの遊離を特徴とし、組織の腫脹・発赤・熱感を伴う。機械的侵害刺激の過剰入力時に特に顕著に現れる。 [病態生理学] 末梢神経, 血管・循環
- 線維筋痛症 (せんいきんつうしょう) Fibromyalgia
- 全身の広範囲な慢性疼痛・疲労感・睡眠障害を特徴とする中枢性感作症候群。画像検査で異常が認められないことが多く、下降性疼痛抑制系の機能不全が主要な病態と考えられている。 [病態生理学] 筋肉, 痛み, 臨床検査
- 中耳炎 (ちゅうじえん)
- 中耳腔の炎症。急性中耳炎は細菌感染が原因で抗生物質が必要だが、繰り返す慢性中耳炎の場合は耳管の排泄機能障害が根本原因であることが多い。小児では耳管が短く水平に近いため、中耳炎を起こしやすい。 [病態生理学] 聴覚・前庭
- 中枢感作 (ちゅうすうかんさ)
- 脊髄後角や脳の神経回路が過剰に興奮した状態。シナプス後膜の受容器数が増加し、通常では痛みを感じない刺激にも激痛として反応するようになる。慢性痛の主要なメカニズム。 [病態生理学] 脊髄, 痛み, 感覚
- TND (てぃーえぬでぃー)
- Trans-Neural Degenerationの略。神経が脆弱化し異常発火している状態。強刺激による介入は神経系をさらに破壊し、永続的な症状を誘発する危険がある。 [病態生理学]
- 糖質炎症 (とうしつえんしょう)
- 果糖(フルクトース)などの過剰摂取によって引き起こされる慢性的な低レベルの炎症。炎症性メディエーターの放出により侵害受容器の閾値を下げ、慢性痛の素地を作る。 [病態生理学] 痛み, 感覚
- トランスニューラル・ディジェネレーション (とらんすにゅーらる・でぃじぇねれーしょん)
- 神経が脆弱化し異常発火している状態(TND)。ATP不足や虚血により聴覚路などの多段階経路で生じやすく、強い外因性刺激は禁忌。内因性刺激による再起動が必要。 [病態生理学] 痛み, 血管・循環, 聴覚・前庭
- 内リンパ水腫 (ないりんぱすいしゅ)
- 内耳のリンパ液が過剰に貯留し内圧が上昇した状態。蝸牛と半規管の両方に影響を及ぼし、めまいと聴覚障害を同時に引き起こす。 [病態生理学] 聴覚・前庭
- 脳脊髄液減少症 (のうせきずいえきげんしょうしょう)
- 脳脊髄液が減少する病態。硬膜の緊張が増加し、頭痛や頸部痛などの症状を引き起こす。 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 [病態生理学] 脊髄, 末梢神経
- 瘢痕組織 (はんこんそしき)
- 手術や外傷後に形成される線維性の組織。正常な神経支配が変化し、微弱な侵害刺激を中枢に持続的に送り続けることで、遠隔部位の慢性痛や自律神経失調の原因となる場合がある。 [病態生理学] 痛み, 運動, 自律神経
- 複合性局所疼痛症候群 (ふくごうせいきょくしょとうつうしょうこうぐん) Complex Regional Pain Syndrome
- CRPSの正式名称。末梢神経の支配領域を超えて腕全体や半身などの広範囲に痛みが波及するのが特徴。これは末梢の問題ではなく、脊髄のIML(中間外側細胞柱)を含む中枢神経系の制御システムが破綻した結果である。タイプ1(神経損傷なし)とタイプ2(神経損傷あり)に分類される。 [病態生理学] 脊髄, 末梢神経, 痛み, 自律神経
- 末梢感作 (まっしょうかんさ)
- 末梢の侵害受容器の閾値が低下し、過敏になった状態。炎症性メディエーターの放出によって引き起こされ、軽微な刺激でも強い痛みを生じる。 [病態生理学] 痛み, 感覚
- 末梢神経障害 (まっしょうしんけいしょうがい) Peripheral Neuropathy
- 末梢神経の機能障害の総称。感覚障害、運動障害、自律神経障害を呈する。分布パターンにより単神経障害、多発単神経障害、多発神経障害に分類される。 [病態生理学] 末梢神経, 感覚, 運動, 自律神経
- 慢性疼痛 (まんせいとうつう) Chronic pain
- 6ヶ月以上持続する痛みの総称。単なる「長引く痛み」ではなく、中枢神経系の可塑的変化により痛みの処理システム自体がエラーを起こしている状態。画像診断で組織異常が見当たらなくても痛みが続く「病態生理学的な痛み」へと変貌する。 [病態生理学] 痛み, 臨床検査
- 無感覚痛 (むかんかくつう) Anesthesia dolorosa
- 感覚が麻痺または消失しているにもかかわらず、その部位に痛みを感じる状態。求心路遮断性疼痛の一形態。手術後の癒着や長年の放置による感覚麻痺が原因となることが多い。治療の標的は痛みそのものではなく、失われた「感覚(求心性入力)」の復元である。 [病態生理学] 痛み, 感覚, 治療・リハビリ