用語集
全34件の神経科学用語を収録しています。
- 異常知覚 (いじょうちかく)
- 侵害受容器が低頻度で不適切に発火している状態。患者が「シビレ」と訴える症状の正体。 [感覚系] 痛み, 感覚
- Aα線維 (えーあるふぁせんい) A-alpha fiber
- 最も太い有髄神経線維(直径12〜20μm)。伝導速度は70〜120 m/sと最速。筋紡錘の一次終末(1A線維)や腱器官(1B線維)からの固有感覚情報を伝える。運動・姿勢制御の中核を担う。 [感覚系] 筋肉, 末梢神経, 感覚, 運動
- Aγ線維 (えーがんませんい) A-gamma fiber
- 有髄神経線維(直径2〜8μm)。伝導速度15〜30 m/s。筋紡錘の錘内筋線維を支配し、筋紡錘の感度(感受性)を調整するγ運動ニューロンの軸索。1A線維と密接に連携し、筋の感度が適切に保たれないと身体は微細な変化を「脅威(痛み)」と誤認する。 [感覚系] 筋肉, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動
- Aδ線維 (エーデルタせんい)
- 有髄神経線維の一種で、伝導速度は5-30 m/s。鋭い痛み(一次痛)を伝達する。 [感覚系] 末梢神経, 痛み, 感覚
- 遠近調節 (えんきんちょうせつ) Accommodation
- 視覚における焦点距離の調整機能。遠方視では交感神経支配により瞳孔が散大し水晶体が薄くなり、近位視では副交感神経支配により瞳孔が縮瞳し水晶体が厚くなる。意図的に自律神経を操作できる稀有な窓口である。 [感覚系] 感覚, 自律神経, 眼・視覚
- 下降性抑制系 (かこうせいよくせいけい)
- 中脳や網様体から脊髄へと降りてくる抑制命令。セロトニン・ノルアドレナリンを放出して痛み信号を抑制する中枢性の疼痛抑制機構。 [感覚系] 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 内分泌
- 感作 (かんさ)
- 神経細胞の膜電位が上昇し、わずかな刺激でも発火しやすくなる状態。ATP産生低下が原因。 [感覚系] 痛み, 感覚
- ゲートコントロール (げーとこんとろーる)
- 太い神経線維(Aβ、1A、1B)に刺激が入ると、脊髄後角で細い神経(Aδ、C)の信号を遮断する末梢性の疼痛抑制機構。 [感覚系] 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚
- 高閾値侵害受容器 (こういきちしんがいじゅようき) High-threshold nociceptor
- 組織損傷を起こしうる強度の刺激(高閾値)に対してのみ反応する侵害受容器。Aδ線維が代表的で、53℃以上の高熱や5℃以下の極寒など、組織破壊の危険がある刺激で発火する。通常の感覚刺激では反応しない。 [感覚系] 末梢神経, 痛み, 感覚
- 後半規管 (こうはんきかん) Posterior Canal
- 前庭受容器の一つで、頭部が斜め後方へ回転した際に作動し、転倒防止において最も重要な「地面の視覚情報」を守る役割を担う半規管。前庭神経核の内側核を通り、同側の下直筋および反対側の上斜筋を収縮させる。第34回講義ノート「垂直系前庭神経路の臨床解剖」で詳しく解説。 [感覚系] 筋肉, 感覚, 眼・視覚, 聴覚・前庭
- サイレント侵害受容器 (さいれんとしんがいじゅようき) Silent nociceptor
- 通常の状態では全く反応しない「沈黙した」侵害受容器。主に内臓・関節・皮膚に存在する。炎症や組織損傷が起きると覚醒し、一度活性化すると極めて過敏になる。普段の消化活動やわずかな膨らみさえも激痛として脳に送り続ける慢性痛の主因となる。 [感覚系] 関節, 内臓, 痛み, 感覚
- サテライト前庭神経核 (さてらいとぜんていしんけいかく) Satellite Vestibular Nucleus
- 前半規管からの信号を受ける特異的な中継部位で、Yグループとも呼ばれる。反対側の下斜筋と同側の上直筋を収縮させる興奮性経路の起点となる。第34回講義ノート「垂直系前庭神経路の臨床解剖」で詳しく解説。 [感覚系] 筋肉, 感覚, 聴覚・前庭
- C線維 (シーせんい)
- 無髄神経線維で、伝導速度は0.5-2 m/s。鈍い痛み(二次痛)を伝達する。 [感覚系] 末梢神経, 痛み, 感覚
- 識別性感覚 (しきべつせいかんかく)
- 刺激の位置、強度、性質を正確に識別できる感覚。触覚や振動覚など、主に後索-内側毛帯路で伝達される。 [感覚系] 脊髄, 感覚
- 手根管 (しゅこんかん)
- 手首の掌側にある骨と靭帯で囲まれたトンネル状の構造。正中神経が通過する。 [感覚系] 関節, 末梢神経, 感覚
- 受容器 (じゅようき)
- 外部または内部からの刺激を受け取り、神経信号に変換する構造。皮膚、筋肉、関節など全身に分布する。 【図解】第6回講義ノート 図2:皮膚の受容器の種類と分布 【図解】第13回講義ノート 図1:急性痛と慢性痛の違い 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 [感覚系] 筋肉, 関節, 痛み, 感覚
- 侵害受容器 (しんがいじゅようき)
- 痛みや組織損傷を検出する感覚受容器。Aδ線維やC線維を介して脊髄に信号を伝達する。 [感覚系] 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚
- 水平半規管 (すいへいはんきかん) Horizontal Semicircular Canal
- 内耳の前庭器官の一部で、頭部の水平方向の回旋を検出する感覚器。左右一対の半規管が相反するように機能し、リンパ液の流れによって有毛細胞が刺激される。前庭動眼反射(VOR)の入力源として重要な役割を果たす。[第33回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学:水平半規管における相反抑制と三重の制御機構](/article/vestibular-system-horizontal-canal-reciprocal-inhibition)で詳しく解説されている。 [感覚系] 関節, 末梢神経, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 正中神経 (せいちゅうしんけい)
- 上肢の主要な神経の一つ。手根管を通る枝と通らない掌枝があり、感覚検査で絞扼部位の特定に使用される。 [感覚系] 末梢神経, 感覚, 臨床検査
- 脊髄後角 (せきずいこうかく)
- 脊髄の背側部分で、感覚情報が中継される領域。ゲートコントロール機構が働く場所。 [感覚系] 脊髄, 痛み, 感覚
- 前庭動眼反射 (ぜんていどうがんはんしゃ) Vestibulo-Ocular Reflex (VOR)
- 頭部が回旋する際に、視線を安定させるために眼球を頭部の動きと逆方向に動かす反射。網膜像の安定化を目的とし、視覚情報の維持に不可欠な機能である。この反射が破綻すると眼振が発生し、めまいの原因となる。[第33回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学:水平半規管における相反抑制と三重の制御機構](/article/vestibular-system-horizontal-canal-reciprocal-inhibition)で詳しく解説されている。 [感覚系] 関節, 末梢神経, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 前半規管 (ぜんはんきかん) Anterior Canal
- 前庭受容器の一つで、頭部が斜め前方へ回転(ピッチ回転)した際に駆動して眼位を「外上方」へと誘導する半規管。サテライト前庭神経核(Yグループ)を介して、反対側の下斜筋と同側の上直筋を収縮させる。第34回講義ノート「垂直系前庭神経路の臨床解剖」で詳しく解説。 [感覚系] 筋肉, 感覚, 眼・視覚, 聴覚・前庭
- 知覚消失 (ちかくしょうしつ)
- 神経の発火が途絶えているか極端に低下している状態。患者が「シビレ感」と訴える症状の正体。 [感覚系] 感覚
- 知覚鈍麻 (ちかくどんま)
- 感覚の鈍さ。侵害受容感覚の低下を指す。 [感覚系] 痛み, 感覚
- 中心窩 (ちゅうしんか) Fovea Centralis
- 網膜の中心部に位置し、最も視力が高い領域。前庭動眼反射(VOR)によって、頭部が動いても中心窩で捉えた画像を安定させることで、鮮明な視覚情報を維持できる。[第33回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学:水平半規管における相反抑制と三重の制御機構](/article/vestibular-system-horizontal-canal-reciprocal-inhibition)で詳しく解説されている。 [感覚系] 末梢神経, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 低閾値侵害受容器 (ていいきちしんがいじゅようき) Low-threshold nociceptor
- 比較的低い強度の刺激から反応する侵害受容器。C線維が代表的で、43〜45℃程度のぬるい熱刺激から発火し始める。過敏化(感作)が生じると閾値がさらに低下し、通常では痛みを感じない刺激でも発火するようになる(アロディニア)。 [感覚系] 末梢神経, 痛み, 感覚
- デルマトーム (でるまとーむ)
- 特定の脊髄神経が支配する皮膚領域。皮膚分節とも呼ばれる。 [感覚系] 脊髄, 感覚
- パチニ小体 (ぱちにしょうたい)
- 皮膚深層や関節に存在する機械受容器。振動や圧力の変化を検出し、急速に順応する特性を持つ。 【図解】第6回講義ノート 図2:皮膚の受容器の種類と分布 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 [感覚系] 関節, 感覚
- 非識別性感覚 (ひしきべつせいかんかく)
- 刺激の位置や性質を正確に識別できない感覚。痛みや温度感覚など、主に脊髄視床路で伝達される。 [感覚系] 脳, 脊髄, 痛み, 感覚
- ポリモーダル受容器 (ぽりもーだるじゅようき) Polymodal receptor
- 機械的刺激・熱刺激・化学的刺激のすべてに反応するオールラウンドな侵害受容器。急性期の組織損傷を中枢へ伝える最前線のセンサーであり、C線維やAδ線維の末端に存在する。 [感覚系] 末梢神経, 痛み, 感覚
- マイスナー小体 (まいすなーしょうたい)
- 皮膚の真皮乳頭に存在する機械受容器。軽い接触や振動の検出に関与し、急速に順応する。 【図解】第6回講義ノート 図2:皮膚の受容器の種類と分布 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 [感覚系] 感覚
- 無痛性疼痛 (むつうせいとうつう)
- 長期にわたって入力が途絶えた神経系で、二次ニューロンが勝手に発火し始める現象。触っても感覚がないのに痛い・痺れると訴える原因。 [感覚系] 痛み, 感覚
- メルケル細胞 (めるけるさいぼう)
- 表皮基底層に存在する機械受容器。持続的な圧力や形状の識別に関与し、順応が遅い特性を持つ。 【図解】第6回講義ノート 図2:皮膚の受容器の種類と分布 [感覚系] 感覚
- 網膜像の安定化 (もうまくぞうのあんていか) Retinal Image Stabilization
- 頭部が動いても視線を固定し、網膜の中心窩で捉えた画像を安定させる機能。前庭動眼反射(VOR)によって実現され、移動しながら物体を認識できる能力の基盤となる。この機能が破綻すると眼振が発生し、視覚情報の80%以上を失う危機的な状況となる。[第33回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学:水平半規管における相反抑制と三重の制御機構](/article/vestibular-system-horizontal-canal-reciprocal-inhibition)で詳しく解説されている。 [感覚系] 末梢神経, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査