用語集
全45件の神経科学用語を収録しています。
- 振動覚
- 振動覚(しんどうかく)は、音叉(おんさ)などの振動(ふるえ)を皮膚(ひふ)や骨(ほね)を通して感じる感覚のことです。これは、触覚(しょくかく)の一種で、特に速い機械的な刺激を感知する能力です。振動覚は、深部感覚(しんぶかんかく)の一部として、関節(かんせつ)の位置や体の動きを把握する上でも重要な役割を果たしています。この感覚が低下すると、末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)などの病気が疑われることがあります。 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 [神経系] 関節, 末梢神経, 感覚
- 大胸筋
- 大胸筋(だいきょうきん)は、胸の大部分を覆う扇状の大きな筋肉です。主に腕を体の前や内側に動かす(内転・屈曲)働きを担っており、物を押す動作や、腕立て伏せなどで重要な役割を果たしています。この筋肉は、鎖骨部、胸肋部、腹筋部の3つの部分に分かれており、それぞれが少しずつ異なる動きに貢献しています。 [神経系] 筋肉, 関節
- 後方屈筋群
- 後方屈筋群(こうほうくっきんぐん)は、主に下腿(かたい)の裏側、つまりふくらはぎの深い部分にある筋肉群のことです。膝関節(しつかんせつ)を曲げたり(屈曲)、足首を足の裏側に曲げる(底屈:ていくつ)働きをします。特に歩行や走行時において、足の動きを制御し、姿勢を安定させる上で重要な役割を担っています。この筋肉群には、後脛骨筋(こうけいこつきん)や長指屈筋(ちょうしくっきん)などが含まれます。 【図解】第14回講義ノート 図2:T6(胸椎6番)を境界とした筋群の分布 【図解】第17回講義ノート 図1:T6を境界とした屈筋抑制のメカニズム [神経系] 筋肉, 関節, 脊髄, 末梢神経, 運動
- 深部腱反射
- 深部腱反射(しんぶけんはんしゃ)とは、医師がハンマーで膝の下の腱などを軽く叩いたときに、足が自然と跳ね上がるような無意識の反応のことです。これは、筋肉が急に伸ばされたときに、それ以上伸びるのを防ぐために筋肉自体が縮むという、脊髄(せきずい)を介した単純な神経回路(反射弓)によって起こります。この反射の強さを調べることで、末梢神経や脊髄、さらには脳からの制御経路に異常がないかを評価する重要な手がかりとなります。 [神経系] 筋肉, 関節, 脊髄, 末梢神経, 運動, 臨床検査
- ルフィニ終末
- ルフィニ終末(ルフィニしゅうまつ)は、皮膚の深部や関節、腱などに存在する、ゆっくりと順応する(刺激が持続しても信号を送り続ける)タイプの機械受容器(きかいじゅようき)です。主に、持続的な圧迫や皮膚の伸展(伸び)、関節の位置や動きの変化といった情報を感知しています。これにより、私たちが体のどの部分がどのように曲がっているか(固有受容感覚)や、持続的に何かに触れている感覚を脳に伝える重要な役割を担っています。 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 [神経系] 筋肉, 関節, 感覚
- 筋伸長反射
- 筋伸長反射(きんしんちょうはんしゃ)は、筋肉が急に引き伸ばされたときに、その筋肉自身が縮む(収縮する)ことで、伸びすぎを防ぐための無意識の反応です。最も身近な例は、膝蓋腱(しつがいけん)を叩いたときに足が跳ね上がる「膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)」で、これは腱(けん)の奥にある筋肉の伸展を感知して起こります。この反射は、姿勢の維持や、急なバランスの崩れを防ぐ役割を果たしています。 [神経系] 筋肉, 関節, 運動, 臨床検査
- ピンチナーブ理論
- ピンチナーブ理論(ぴんちなーぶりろん)とは、脊椎(せきつい)の椎間孔(ついかんこう)と呼ばれる神経の通り道が狭くなることで、そこを通る神経根(しんけいこん)が圧迫(あっぱく)され、痛みやしびれなどの症状を引き起こすという考え方です。この圧迫は、椎間板(ついかんばん)の変性やヘルニア、骨棘(こつきょく)の形成などによって生じることが多く、坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)などの症状の原因を説明する際に用いられます。ただし、画像検査で圧迫が見られても症状がない場合もあり、症状と圧迫の関連性には議論の余地があります。 [神経系] 関節, 脊髄, 末梢神経, 痛み, 臨床検査
- 単シナプス反射
- 単シナプス反射(たんシナプスはんしゃ)とは、反射弓(はんしゃきゅう)の中で、感覚ニューロン(かんかくニューロン)と運動ニューロン(うんどうニューロン)がたった一つのシナプス(神経細胞間の接合部)を介して直接結合し、応答が起こる最も単純な反射のことです。膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)(膝の下を叩く検査)が代表的で、刺激に対して非常に速く筋肉が収縮する役割を持っています。この単純な構造により、遅延が少なく、素早い身体の制御に貢献しています。 【図解】第11回講義ノート 図2:単シナプス反射と多シナプス反射の比較 【図解】第19回講義ノート 図2:単シナプス反射の三層構造 [神経系] 筋肉, 関節, 感覚, 運動, 臨床検査
- 胸髄核
- 胸髄核(きょうずいかく)は、脊髄(せきずい)の胸部にある神経細胞の集まりです。主に、体幹や下肢の筋肉や関節から受け取った感覚情報(固有受容感覚)を小脳(しょうのう)へ中継する重要な役割を担っています。この情報伝達により、小脳は体の位置や動きを正確に把握し、バランスや運動の協調性を保つことができます。特に、後脊髄小脳路(こうせきずいしょうのうろ)と呼ばれる伝導路の起点となる細胞群として知られています。 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 [神経系] 筋肉, 関節, 脳, 脊髄, 感覚, 運動
- 屈曲逃避反射
- 屈曲逃避反射(くっきょくとうひはんしゃ)は、熱いものや鋭いものなど、体に危険を及ぼす刺激が加わった際に、意識するよりも早く刺激源から手足(四肢)を引っ込める防御的な反射です。脊髄(せきずい)内で処理されるため、脳に情報が届く前に素早く動作が完了します。これは、体を守るための緊急回避システムのようなもので、反射弓(はんしゃきゅう)という神経経路によって成り立っています。 [神経系] 関節, 脊髄, 運動, 臨床検査
- 感覚
- 感覚(かんかく)とは、私たちが外界や自分の体の状態を認識するための基本的な情報収集の仕組みです。目(視覚)、耳(聴覚)、鼻(嗅覚)、舌(味覚)による特殊な感覚と、皮膚や筋肉、関節などから得られる触覚、痛覚、温度覚、位置覚などの体性感覚(たいせいかんかく)に分けられます。これらの情報は神経を通じて脳に送られ、私たちが世界を理解し、適切に行動するための土台となります。 【図解】第1回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路核のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第1回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 【図解】第7回講義ノート 図2:ロンベルグ検査と姿勢制御 【図解】第8回講義ノート 図1:感覚―運動ループの仕組み 【図解】第13回講義ノート 図1:急性痛と慢性痛の違い 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 【図解】第14回講義ノート 図1:感覚運動ループと自律神経の関係 【図解】第14回講義ノート 図2:T6(胸椎6番)を境界とした筋群の分布 【図解】第15回講義ノート 図1:しびれの二つのタイプ:知覚鈍麻と知覚異常 【図解】第15回講義ノート 図2:感覚検査における情報処理の滞り 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第16回講義ノート 図2:小脳と大脳基底核の協調:動と静のバランス 【図解】第18回講義ノート 図1:視蓋脊髄路と前庭脊髄路による頭部安定化 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第21回講義ノート 図1:下降性調整経路の全体像 【図解】第23回講義ノート 図2:下降性疼痛抑制と暖気運転のメカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム 【図解】第28回講義ノート 図1:三叉神経の硬膜枝と脳脊髄液(CSF)の力学 【図解】第28回講義ノート 図2:耳下腺アミラーゼ分泌と咀嚼反射の神経経路 【図解】第29回講義ノート 図1:三叉神経脊髄路のコラム構造とオニオンスキン配置 【図解】第29回講義ノート 図2:耳管開放と口蓋帆張筋の神経経路 [神経系] 筋肉, 関節, 脳, 脊髄, 末梢神経, 痛み, 感覚, 運動, 自律神経, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 嚥下・発声, 臨床検査
- ホフマン反射
- ホフマン反射(ホフマンはんしゃ)は、指の爪(つめ)や末節骨(まっせつこつ)を軽く弾いたときに、親指の屈曲(くっきょく)と他の指のわずかな外転(がいてん)が起こる反射です。これは、錐体路(すいたいろ)と呼ばれる運動を司る神経経路に異常がないかを調べるために用いられる、病的反射(びょうてきはんしゃ)の一つです。健康な人には通常見られず、もし出現した場合は、脳や脊髄(せきずい)の運動系に障害がある可能性を示唆(しさ)する重要なサインとなります。 [神経系] 関節, 脊髄, 末梢神経, 運動, 眼・視覚, 臨床検査
- 多シナプス反射
- 多シナプス反射(たシナプスはんしゃ)とは、感覚受容器から受け取った情報が、脊髄(せきずい)内で複数の介在ニューロン(かいざいニューロン)を介して運動ニューロンに伝達され、筋肉の収縮を引き起こす複雑な反射のことです。単シナプス反射(たんシナプスはんしゃ)と異なり、複数の神経細胞の「つなぎ目」(シナプス)を経由するため、より柔軟で協調的な動作、例えば手足を引っ込める「屈曲反射(くっきょくはんしゃ)」などを可能にする役割があります。これは、危険から身体を守るための重要な防御機構です。 【図解】第11回講義ノート 図2:単シナプス反射と多シナプス反射の比較 [神経系] 筋肉, 関節, 脊髄, 感覚, 運動, 臨床検査
- バビンスキー反射
- バビンスキー反射(はんしゃ)は、足の裏の外側をかかとからつま先に向かってこすった際に起こる反射です。健康な成人では、足の指が内側に曲がる(屈曲(くっきょく))のが正常な反応です。しかし、この反射が陽性(ようせい)の場合、親指が上向きに反り、他の指が開く(開扇(かいせん))動きが見られます。この陽性反応は、大脳皮質(だいのうひしつ)から脊髄(せきずい)へ指令を送る錐体路(すいたいろ)と呼ばれる運動神経の経路に損傷があることを示す重要な兆候であり、中枢神経系の異常を判断するのに役立ちます。乳幼児期には正常な反射として見られますが、歩行が可能になる頃には消失します。 [神経系] 関節, 脳, 脊髄, 運動, 臨床検査
- 前方屈筋群
- 前方屈筋群(ぜんぽうくっきんぐん)は、主に腕や手のひら側(前方)にある筋肉の集まりです。これらの筋肉は、肘や手首、指を曲げる(屈曲させる)という重要な役割を担っています。物を掴んだり、持ち上げたりする動作の基本的な力を提供しており、日常生活における手の機能に不可欠です。この筋肉群が麻痺すると、握力が低下し、細かい作業が困難になります。 【図解】第14回講義ノート 図2:T6(胸椎6番)を境界とした筋群の分布 【図解】第17回講義ノート 図1:T6を境界とした屈筋抑制のメカニズム [神経系] 筋肉, 関節, 脊髄
- 位置覚
- 位置覚(いちかく)とは、目で見なくても、自分の体(手足や関節など)がどのような角度で、どの位置にあるかを正確に感じ取る能力のことです。この感覚は、筋肉や腱、関節の中にある「固有受容器(こゆうじゅようき)」というセンサーからの情報に基づいており、脳が体の姿勢や動きを把握し、スムーズな動作を計画・実行するために不可欠な機能です。バランスを保ったり、暗闇で物を掴んだりする際にも重要な役割を果たしています。 [神経系] 筋肉, 関節, 感覚, 運動
- 屈筋抑制
- 屈筋抑制(くっきんよくせい)とは、反射(はんしゃ)や随意運動(ずいいうんどう)を行う際に、主役となる筋肉(主動作筋:しゅどうさきん)の反対側にある筋肉(拮抗筋:きっこうきん)の活動を自動的に緩める(抑制する)仕組みのことです。これにより、動きがスムーズかつ効率的になります。例えば、腕を曲げる(屈曲)とき、上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)が収縮すると同時に、反対側の上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)の緊張が和らぎ、関節の動きを妨げないように調整されています。これは神経系の重要な協調(きょうちょう)機能の一つです。 【図解】第17回講義ノート 図1:T6を境界とした屈筋抑制のメカニズム [神経系] 筋肉, 関節, 運動, 臨床検査
- 伸筋
- 伸筋(しんきん)は、関節を伸ばす(伸展させる)働きを持つ筋肉のことです。例えば、肘(ひじ)や膝(ひざ)をまっすぐにするときに使われます。この筋肉が収縮(しゅうしゅく)することで骨が引っ張られ、関節の角度が大きくなります。曲げる働きを持つ屈筋(くっきん)と対(つい)になって働き、体の動きをコントロールする上で非常に重要な役割を担っています。 【図解】第18回講義ノート 図2:橋網様体と延髄網様体の相反する作用 [神経系] 筋肉, 関節, 脳
- TND
- TNDは、**Trigeminal Neuralgia(三叉神経痛)**の略称として用いられる場合、顔面領域の三叉神経の支配領域に発生する、電撃的な激しい痛みを特徴とする慢性的な神経障害である。通常、血管による神経根の圧迫(神経血管圧迫)が原因となり、痛みのメカニズムは脱髄と異常興奮に深く関連する。筋膜や顎関節機能不全(TMD)との鑑別が重要となる。 [臨床神経学] 筋肉, 関節, 末梢神経, 痛み, 血管・循環
- 筋紡錘
- 筋紡錘(きんぼうすい)は、骨格筋(こっかくきん)の内部に存在する小さな感覚受容器(かんかくじゅようき)です。筋肉の長さとその変化の速さを常に監視(かんし)しているセンサーの役割を果たしています。この情報が脊髄(せきずい)や脳に送られることで、無意識のうちに筋肉の緊張度(きんちょうど)が調節され、姿勢の維持や円滑な運動制御(うんどうせいぎょ)に役立っています。有名な膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)などの「伸張反射(しんちょうはんしゃ)」を引き起こす起点でもあります。 【図解】第11回講義ノート 図1:筋紡錘の構造と働き 【図解】第11回講義ノート 図2:単シナプス反射と多シナプス反射の比較 【図解】第16回講義ノート 図1:脊髄の前処理機能と小脳への情報伝達 【図解】第19回講義ノート 図1:脊髄における情報統合と前処理 【図解】第19回講義ノート 図2:単シナプス反射の三層構造 【図解】第20回講義ノート 図1:α-γ連関のメカニズム 【図解】第20回講義ノート 図2:ゲインとセンシビリティの関係 【図解】第21回講義ノート 図2:1Aと1Bの使い分け [神経系] 筋肉, 関節, 脳, 脊髄, 感覚, 運動, 臨床検査
- MIAS (エムアイエーエス) Mechanically Insensitive Afferent Nociceptor
- 機械刺激低感受性求心性線維(Mechanically Insensitive Afferent)の略称。関節包や骨膜に分布する侵害受容器の一種で、正常な関節運動の範囲内では非常に高い閾値を持ち一切発火しない。しかし、関節のねじれ逸脱や持続的な虚血により閾値が劇的に低下(感作)し、わずかな刺激でも激痛信号を発するようになる。サイレント受容器とも呼ばれる。 [神経生理学] 関節, 痛み, 感覚, 運動, 血管・循環
- 顎関節 (がくかんせつ)
- 下顎骨と側頭骨をつなぐ関節。顎の歪みや噛み締めにより顎関節の機能が障害されると、三叉神経の機能低下を引き起こし、口蓋帆張筋の働きが悪くなって耳管の開閉障害が生じる。 [解剖学] 筋肉, 関節, 末梢神経, 聴覚・前庭, 嚥下・発声
- 下降性疼痛調整系 (かこうせいとうつうちょうせいけい) Descending pain modulation system
- 脳から脊髄へ向かう下行性の痛み抑制・促進システム。中脳水道周囲灰白質(PAG)→延髄吻側腹内側部(RVM)→脊髄後角という経路で、脊髄レベルでの痛み信号の伝達を調整する「脳内の天然の痛み止め」。関節の位置覚・視覚・聴覚・皮膚感覚などの正しい求心性入力によって再起動される。入力不足(求心路遮断)が続くと機能不全に陥り慢性痛の原因となる。 [生理学] 関節, 脳, 脊髄, 痛み, 感覚, 眼・視覚, 聴覚・前庭
- 滑車神経 (かっしゃしんけい)
- 第IV脳神経。上斜筋を支配し、眼球の内下方への回旋運動に関与する。最も細い脳神経。 [脳神経] 筋肉, 関節, 末梢神経, 運動, 眼・視覚
- 活性酸素 (かっせいさんそ) Reactive oxygen species (ROS)
- 顆粒球が異物を攻撃する際に産生する酸化力の強い酸素化合物。高気圧時に顆粒球が活性化すると活性酸素が増加し、自己免疫疾患(リウマチ・膠原病)では自身の関節組織を攻撃してしまう。これが晴天時にリウマチの痛みが増すパラドックスの原因である。 [生理学] 関節, 痛み, 臨床検査
- 眼振 (がんしん)
- 眼球が不随意に律動的に動く現象。前庭系の障害や中枢神経系の異常により生じ、真の眩暈(めまい)を伴う場合が多い。水平性・垂直性・回旋性など方向により病変部位の推定が可能で、神経学的診断において重要な所見となる。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学、第26回講義ノート:視運動性眼振のメカニズム。 【図解】第27回講義ノート 図1:視運動性眼振(OKN)の神経経路と二相性メカニズム 【図解】第27回講義ノート 図2:三叉神経(CN V)の眼神経枝と涙分泌反射のメカニズム [症状] 関節, 末梢神経, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 関節包 (かんせつほう)
- 関節を包む結合組織の袋。内側の滑膜が関節液を産生する。侵害受容器が高密度に分布しており、変形した軟骨片による持続的侵襲でATPが漏出し発痛の源となる。 [解剖学] 関節, 痛み, 感覚
- 筋紡錘 (きんぼうすい) Muscle Spindle
- 筋肉内に存在する固有感覚受容器で、筋肉の長さや伸展速度を検出する。この感覚入力が正しく脳で統合されることで、適切な筋緊張(トーン)が維持される。トーンが崩れているということは、筋紡錘などの感覚入力が正しく脳で統合されていないことを意味し、我々が診ているのは筋肉そのものではなく、その裏側に隠れた「神経のトーン」なのである。 [生理学] 筋肉, 関節, 感覚
- 固有感覚 (こゆうかんかく) Proprioception
- 身体の位置、運動、力の感覚。筋紡錘、腱紡錘(ゴルジ腱器官)、関節受容器などの固有感覚受容器から得られる情報が、中枢神経系で統合されることで、適切な姿勢制御や運動制御が可能となる。頸椎周辺の筋肉には全身の固有感覚受容器の約80〜90%が集中しており、首の筋肉が過緊張を起こせば、全身のセンサーが狂い始める。 [生理学] 筋肉, 関節, 脊髄, 感覚, 運動
- ゴルジ腱器官 (ごるじけんきかん)
- 腱に存在するⅠb線維の感覚受容器。筋肉の張力(収縮力)を感知する。アジャストメント(スラスト)では関節を極限まで絞り込んだ瞬間に高速低振幅の刺激を加えることでⅠb線維を爆発的に発火させ、抑制性インターニューロンを介してアルファモーターニューロンをシャットダウン(筋弛緩)させる。 [神経系] 筋肉, 関節, 感覚, 治療・リハビリ
- サイレント侵害受容器 (さいれんとしんがいじゅようき) Silent nociceptor
- 通常の状態では全く反応しない「沈黙した」侵害受容器。主に内臓・関節・皮膚に存在する。炎症や組織損傷が起きると覚醒し、一度活性化すると極めて過敏になる。普段の消化活動やわずかな膨らみさえも激痛として脳に送り続ける慢性痛の主因となる。 [感覚系] 関節, 内臓, 痛み, 感覚
- 子宮間膜 (しきゅうかんまく) Uterine Ligament / Broad Ligament
- 子宮を骨盤壁に固定する膜状の結合組織。広間膜(こうかんまく)とも呼ばれる。子宮は正中線に位置する臓器であり、脳に対して身体の中心位置を示す固有受容情報を常に発信している。骨盤の歪みや不良姿勢により子宮間膜が一方向へ牽引(ねじれ)されると、脳への位置情報にエラーが発生し、集約説を介して首の痛み、腰痛、肩こり、めまいなど全身の不定愁訴を誘発する。 [解剖学] 関節, 内臓, 痛み, 感覚, 運動, 聴覚・前庭
- 視放線 (しほうせん) Optic Radiation
- 外側膝状体から後頭葉の一次視覚野へと視覚情報を伝える神経線維束。視野情報を空間的に保存したまま伝達し、脳内で視野の位置関係を再構成する。視放線の損傷は対側の視野欠損(同名半盲)を引き起こす。 [神経系] 関節, 脳, 眼・視覚
- 手根管 (しゅこんかん)
- 手首の掌側にある骨と靭帯で囲まれたトンネル状の構造。正中神経が通過する。 [感覚系] 関節, 末梢神経, 感覚
- 受容器 (じゅようき)
- 外部または内部からの刺激を受け取り、神経信号に変換する構造。皮膚、筋肉、関節など全身に分布する。 【図解】第6回講義ノート 図2:皮膚の受容器の種類と分布 【図解】第13回講義ノート 図1:急性痛と慢性痛の違い 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 [感覚系] 筋肉, 関節, 痛み, 感覚
- ジョージステスト (ジョージステスト) George Test
- 椎骨動脈不全テスト。頸部を回旋・伸展させて椎骨動脈の血流を制限し、視床・小脳への酸素供給を評価する検査。眼振の方向(地面方向:代償可能、天井方向:異常)によって小脳の状態を弁別する。 [臨床神経学] 関節, 脳, 脊髄, 運動, 血管・循環, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 水平半規管 (すいへいはんきかん) Horizontal Semicircular Canal
- 内耳の前庭器官の一部で、頭部の水平方向の回旋を検出する感覚器。左右一対の半規管が相反するように機能し、リンパ液の流れによって有毛細胞が刺激される。前庭動眼反射(VOR)の入力源として重要な役割を果たす。[第33回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学:水平半規管における相反抑制と三重の制御機構](/article/vestibular-system-horizontal-canal-reciprocal-inhibition)で詳しく解説されている。 [感覚系] 関節, 末梢神経, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 脊髄小脳路 (せきずいしょうのうろ)
- 脊髄から小脳へ筋・腱・関節からの固有感覚情報を伝える神経路。無意識的な姿勢制御や運動協調に関与し、1A・1B線維からの入力を小脳へ届ける。 [解剖学] 筋肉, 関節, 脳, 脊髄, 感覚, 運動
- 前庭頸反射 (ぜんていけいはんしゃ) Vestibulocollic Reflex (VCR)
- 前庭系からの入力により、頸部の筋肉に直接的な反射を引き起こす機構。顔が左に回旋すると、左の水平半規管が発火し、右の頸部筋を興奮させ、左の頸部筋を抑制することで、顔を正面へと引き戻す防御反応を担う。第34回講義ノート「垂直系前庭神経路の臨床解剖」で詳しく解説。 [運動系] 筋肉, 関節, 運動, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 前庭動眼反射 (ぜんていどうがんはんしゃ) Vestibulo-Ocular Reflex (VOR)
- 頭部が回旋する際に、視線を安定させるために眼球を頭部の動きと逆方向に動かす反射。網膜像の安定化を目的とし、視覚情報の維持に不可欠な機能である。この反射が破綻すると眼振が発生し、めまいの原因となる。[第33回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学:水平半規管における相反抑制と三重の制御機構](/article/vestibular-system-horizontal-canal-reciprocal-inhibition)で詳しく解説されている。 [感覚系] 関節, 末梢神経, 感覚, 運動, 眼・視覚, 聴覚・前庭, 臨床検査
- 代償性斜頸 (だいしょうせいしゃけい)
- 眼球運動の異常(特に回旋エラー)を補正するために、頭部を傾ける適応反応。滑車神経麻痺で健側へ頭を傾けることが典型的。 [神経学] 関節, 末梢神経, 運動, 眼・視覚
- チップリンク (ちっぷりんく)
- 有毛細胞の不動毛同士を繋ぐバネ状の微細構造。物理的な頭部の傾きを機械受容性イオンチャネルのゲート開閉に直結させる。老化や急激な回旋運動により損傷すると、前庭系の情報エラーが恒常化する恐れがある。【関連記事】第31回講義ノート:前庭神経系の臨床生理学(図1:チップリンクの構造と働き)では、チップリンクの力学的メカニズムを詳細に解説している。 【図解】第32回講義ノート 図1:前庭有毛細胞のチップリンク構造と働き [解剖学] 関節, 運動, 聴覚・前庭
- 腸腰筋 (ちょうようきん)
- 腰椎と大腿骨を結ぶ筋肉。座位での股関節屈曲位が続くと過収縮を起こし、みぞおち付近に痛みを生じるため、患者が「胃が悪い」と誤認することがある。辺縁系の機能低下(ワインドダウン)にも関連する。 [解剖学] 筋肉, 関節, 内臓, 脳, 脊髄, 痛み, 情動・心理
- 疼痛受容性扁桃体 (とうつうじゅようせいへんとうたい) Nociceptive amygdala / Pain-receptive amygdala
- 扁桃体の中心外側核(CEl)に存在するニューロンのうち、約80%が痛みの情報処理に特化しているとされる神経群の概念的呼称。特に下肢(膝・股関節・足首)からの侵害刺激に対して高い感受性を持つ。不動(廃用)によって下肢からの適正な感覚入力が途絶えると、このネットワークが過敏化(感作)し、わずかな組織変化を「重大な危機」として増幅する。 [神経生理学] 関節, 脳, 痛み, 感覚, 情動・心理
- パチニ小体 (ぱちにしょうたい)
- 皮膚深層や関節に存在する機械受容器。振動や圧力の変化を検出し、急速に順応する特性を持つ。 【図解】第6回講義ノート 図2:皮膚の受容器の種類と分布 【図解】第13回講義ノート 図2:表在感覚の4つの主要受容器 [感覚系] 関節, 感覚